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2014年スケジュール発表、ザッケローニ監督会見要旨

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 日本サッカー協会は12日、日本代表各カテゴリの2014年スケジュールを発表した。来年3月5日に東京・国立競技場でニュージーランド代表とキリンチャレンジ杯を行うことも決定。日本代表応援プロジェクト「夢を力に2014」を本格スタートさせることも合わせて発表され、アルベルト・ザッケローニ監督が記者発表に出席した。

以下、ザッケローニ監督の会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「今回で4度目の年間スケジュール発表会見に参加することになった。私が日本に来てから長い時間が経ったのだなと感じるし、ここまで来るにあたって、たくさんの試合をこなしてきたんだなという思いでいる。

 2014年の最大の目標は当然、W杯に向けて最高の準備をし、最高の状態で臨むということ。当然、その準備はすでに始めているし、対戦相手も具体的に決まってきたので、その準備をさらに具体的に進めることができる。相手の力も警戒しないといけないが、まずは自分たちに目を向けないといけない。自分たちの力にはある程度の自信を持っているし、自分たちの目指すサッカーをピッチで表現できれば、ブラジルの地でも輝くことができるのではないかと考えている。私の仕事はW杯に向けて最高のチームを準備すること。自信を持って臨み、できる限りいい結果を日本に持って帰ってきたい」

―ニュージーランドは仮想ギリシャになるのか?
「3月の試合のときには2日ぐらいしか集まることができない。代表チームとして集まって、トレーニングをして、代表チームのやり方を復習し、選手たちに思い出してもらうことを最大の目的に置いている。今年の11月から来年の3月まで(代表の活動は)時間が空く。海外組もいれば、国内組もいるので、3月の時期はシーズン中の選手もいれば、オフ明けの選手もいる。また、各々が異なる監督の下で、異なったチームメイトと異なるサッカーをやっている。代表チームとして集まって、代表チームのやり方を思い出すことが大事になる。選手たちが久しぶりに集まり、日本のサッカーをピッチで表現することがこの試合の目的になる」

―2013年を振り返ると?
「たくさんの試合を行い、たくさんの目標を達成できた。まずはW杯の出場権を勝ち取ることができたのは大きなことだった。コンフェデレーションズ杯では厳しいグループに入り、勝ち点こそ奪えなかったが、その戦いの中で自分たちもある程度はできるんだということを感じることができた。W杯の1年前に、その場でリハーサルできたことも大事だと思う。移動の距離や気候を1年前に感じることができたのは大きな収穫だった。

 コンフェデレーションズ杯まではW杯の出場権を勝ち取ったメンバーで臨んだが、東アジア杯では若い選手を連れて行きながら勝利できたことは大きな収穫だった。そのメンバーが現在のフル代表に食い込んで来ている。レギュラー格の選手が多くなったのかなと思うし、有意義な大会だったと思う。

 それ以外の親善試合も有意義なものだった。チームとしてテストした試合もあれば、個々の力を図るためにテストの場として使った試合もあった。2013年はポジティブな1年だったと評価している。結果にも満足しているし、W杯に向けた準備が進んだという意味でもポジティブな1年だった。2013年が終わろうとしている時点で、代表候補の選手は63人いる。彼らがW杯に向けて、これからまた競争していくことになる」

―5月の壮行試合や事前キャンプではどんな相手と対戦したいか?
「そうしたことをプログラムする前に、まずは事前合宿をどこにするか。それを決めてから考えようかなと思っている。合宿地が決まったうえで、その周辺で試合が組める国があるのか探っていきたいし、同じグループに入った国と似たようなチームがあればいいと思う。(W杯で同じグループに入ったのは)3つの異なる大陸のチームで、異なるタイプのチーム。もちろん、できることなら似たようなチームとやれることが好ましいので、原さん(原博実技術委員長)にお任せします(笑)」

―本田のミラン移籍が発表されたが?
「そのニュースは私ももちろん聞いたが、どこまでオフィシャルなものなのか分からない。ただ、ガッリアーニが発言したということで、本田がミランに行くことになるとすれば、彼の持っている技術やフィジカルは十分にイタリアで、今のセリエAで戦えると思っているし、当然、彼の活躍を祈っている。本田は技術面、戦術面だけでなく、強いパーソナリティーを持っている選手で、それはミランでプレーするには必要不可欠な要素だと思う。ビッグクラブでプレーするには、強い気持ちを持ち合わせていないと難しい。

 香川がマンチェスター・ユナイテッドに移籍することになったときにも、『移籍して入団することが到達点ではなく、あくまでスタート地点であり、ビッグクラブでレギュラーとしてコンスタントにプレーしてこそ、ビッグクラブの選手だ』と言った覚えがあるが、その言葉をそのまま本田にも送りたいと思う。歴代の10番にはいい選手たちがそろっている。レギュラー争いも熾烈になると思う」

―事前キャンプ地は暑熱対策なども踏まえて決めるのか?
「最終的なジャッジを下す前によく考えないといけない。W杯の大切さはよく分かっているので、冷静に、いい判断をしていきたい。今大会に関しては32か国が順当に勝ち上がってきた。サプライズの国は一つもなかった。国民のみなさんの期待に応えられるように努力していきたい。W杯でいい戦いができるように、できることはすべてやりたいし、全力で臨みたいと思っている。その意味で、(キャンプ地をどうするかの)決断を下す部分も大切になる。できる限り精度の高い判断を下したい」

―日本代表応援プロジェクト「夢を力に2014」については?
「選手たちが一つの輪になり、喜びを爆発させている表情を見るだけで、一監督としてうれしくなる。小さいときは常に夢を持って生きてきた。子供のころはサッカー選手になりたいという夢だったし、そのあとは監督になりたいという夢を持った。最初は遠くて叶わないだろうなという夢だったが、今では現実のものになった。夢を持つことはだれにでも平等に与えられた権利であり、それをするのは自由で、だれにも止めることはできない。日本全体として同じ夢を一緒に見ていくことが大切だと思う」

―監督のリアルマネキン「IL MISTER」の出来栄えは?
「みなさんが驚いた声はしっかりと聞きました(笑)。当然、私自身はこういったものが製作されることを知っていたが、ここまでの精度とは本当に驚いた。近くから見ると、皮膚の感じまで自分にそっくりで、驚いている。こうしたシンボルが製作されたことをうれしく思うし、みなさん、愛情を持って接してください。一人でこっそり外出したいときには、これを家に置いておこうと思います(笑)」

―監督にとってW杯に出ることは夢だったか?
「夢というよりは目標というニュアンスのほうが正しいのかなと思う。以前はクラブチームの監督をずっとやっていたので、W杯に参加するというのは、考えてもいないことの一つだった。以前、他の代表チームからも2つほど話を受けたことはあったが、そのときはまだ自分はクラブチームの監督だろうなと思っていた。それまでは具体的に意識していなかったが、日本からオファーを受けたときには、すでに飛行機に片足を入れている気持ちだった。そういう意味で運命を感じている。クラブではさまざまな国際レベルの大会に参加してきた。W杯は(自分のキャリアで)今まで足りなかったものなので、参加することができてうれしく思っている」

―なぜ他の2チームは断り、日本からのオファーは受けたのか?
「理由としては、分からないというのが正直なところだ。本能的に日本代表の監督をやりたいと思った。テレビで日本の映像を見たり、イタリアに来ている日本人観光客の振る舞いを見ていたりして、日本に対していい印象を持っていたし、魅力的な国の一つとして挙げていた。そういうことが重なって、オファーが来たときには本能的にやろうと思った。

 断った2か国に関しては、現地まで行って話をしたりもしたが、文化や振る舞いが自分には少し合わないのかなと思い、決断を下すには至らなかった。一監督として、自分が仕事をしていくだけのエネルギーを蓄えるだけでなく、周囲にもエネルギーを与えられるような強いものを持っていないといけない。2つの国については、そういうことはできないのかなと思った。

 自分のキャリアを振り返っても、ミランに行くまでは毎回、単年契約だった。結果的に長く残ったチームもあったが、単年契約を結んでいたのは常に居心地がいい場所で仕事をしたいと思ったからだ。日本に来たときも、その文化、スタイルを気に入ることができたら長くいたいなと思っていた」

(取材・文 西山紘平)

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