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MF白崎凌兵、高校ナンバー1アタッカーからリオの星へ

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 大器がついにその実力を発揮し始めた。U-20日本代表MF白崎凌兵(カターレ富山)は山梨学院高校(山梨)時代に「高校ナンバー1アタッカー」「逸材」「得点王候補」などと評されていた注目の若手アタッカー。これまでなかなか出場機会に恵まれてこなかったが、今年8月の移籍と出場機会増加によってその才能がJの舞台で発揮されつつある。ドリブル、パス、シュート全てで違いを生み出すことのできるリオ・デ・ジャネイロ五輪世代の逸材が代表への思いや高校時代、そして相棒であるフットボールスパイク「アディゼロ F50」について語ってくれた。

―J2では終盤戦だけで4得点。試合に出れば結果を出すということを証明した
「試合に出れば、結果を残せるなという思いはありました。もちろんJ2に移籍して試合に出られるという保証はない。もっと厳しい環境に身を置くことになると思いましたし、もちろん最初は“助っ人”で行くなんて気持ちは全くなく、もう一度そこで勝負するという気持ちで入りました。ちょっとずつ(周囲と)合って来て、結果を残せるようになってきたのはいいところだったと思います。でも、全然物足りないし、課題も多く見えたと思います」

―その課題とは
「1試合の中でチャンスも来ますし、チャンスをつくれています。ただ、そこで味方が決められなかったとしたら、もっとほかにいい選択肢がなかったのかと考えますし、自分の結果というところでももっと点を取れたし、もっとその結果にはこだわらないといけない。J2の下位のチームということで、より1チャンスをものにする力は本当に必要だと思った。高校時代とかは正直、味方に決めさせるのも楽しかったし、ゴールだけに固執するというイメージはなかったんですけど、自分が何とかしなければいけないという環境を残留争いの中で体験しましたし、本当に厳しい状況になったときに求められたのはゴールだった。そういう部分を結果として来年はもっともっと残したいということが明確になりました」

―プロ2年目。なかなか出場機会がなく、凄くもがいていたと思うが
「やれるという気持ちはずっと持っていましたし、まずは試合で絶対に結果を出すということは意識していました。やれるところからやっていかなければいけない。こんなはずじゃなかったという思いもありましたけれど、でも結果が全てですし、1年目にもっと点を取れていれば変わったかもしれないとか、自分自身のところへ目を向けて意識できたところは良かった」

―まだまだ全く満足はしていないと思うが、プロとしての自分の道が拓けてきた
「点を取り始めてきたこともそうですけど、こっちへ来て試合に出ていない人も盛り上げようという光景を目の当たりにして、ボクが1年目にしていた態度は凄く良くなかったなと思いました。上手いのにな、という人が出ていなくても一喜一憂せずにやり続けていた。そういう人たちの分までやらなければいけないという思いも出ましたし、チームの中心として戦えたということも大きいですけど、ベテランの選手からは特に刺激を受けたと思います」

―新天地での活躍もあってU-20代表に選出。選ばれたときの心境は?
「(辞退などあり遠ざかっていたが、)代表に関しても、行って、そこで(主力として)やる自信はありました。こうやってチャンスをもらって、少しずついい方向へ進んでいって、しっかりプレーしていれば評価してもらえるなというところは素直に嬉しかった。見ている人がいるというのは嬉しかったです」

―日の丸への思いは
「あのユニフォームを着てしっかりとピッチに立ちたいという思いはありますし、いかないといけないという思いはあります。だけど、今は一日一日刺激を受けていて、練習でも自分でできると思っていたことが『これ、苦手だったんだな』ということがありますし、駆け引きの中でも『こうやれば抜けるじゃん』とか、そういう感覚とかも試合に多く出ることで高校時代の感覚が戻ってきているので、今はサッカーが楽しい。結果を残して代表に呼ばれたいというのはありますけれど、結果を残していれば代表に呼ばれると思いますし、先のことはまだ分からないですけど、自分がやれることを日々やっていけばいいと思います」

―リオは現実的な目標。同じ世代の選手を引っ張っていく立場にならないといけない
「オリンピックはもちろん絶対に出たい。そこで結果を残したい。ただ、その前にまず競争がありますし、そこに生き残らなければいけない。長いようであっという間だと思うので一日一日大切にして、オリンピックが目標であることは間違いないので、そこに向けてやれることをやっていかないといけないと思います」

―実際にメンバーに入ったらどのようなプレーを
「違いは見せられると思いますし、ゴール前の質というのは絶対に必要になってくる。そこで違いを出せる自信はあります。結果を残せるという気持ちはあります。代表でやるからには中心としてやっていきたいですし、チームを引っ張っていける存在になれるように。競争は今から始まっていると思うので、そこを見据えてやっていきたい」

―高校時代、冬の全国大会を振り返ると
「いい思い出はあまりないんですけど…3年生の時はあまり結果を出せなかった。でも、2年の時の大会がきっかけでこうやってプロへの道が拓けたし、そういう意味でも高校時代の監督の存在もそうですし、ボク自身、高校で成長できた部分が大きいので、高校時代というのはボクにとっては大事な時間だったかなと思います」

―冬の全国大会で最も注目されていたが、3年時は初戦敗退
「もちろん、この大会を目指してやってきましたし、注目してもらいました。そういう中で結果を残せなかったということで甘いなと感じましたし、あの試合を忘れることはないと思う。でも、結果を残せなかったですけど、あの大会で感じたことは今も残っていますし、これからも残っていくと思うので、あそこに立った時の気持ちは大切にしていきたい」

―いろいろなチームにチャンスがある大会
「独特の雰囲気だし、どこが勝ってもおかしくないというのは本当にそう思いますね。ボクらのチームはずっと攻めていたけれど、失点してリズムが狂ってやられちゃった。ワンプレーで変わると思いますし、全力で戦ってほしいですね」

―ワンプレーで変わるというのは出場選手たちへのメッセージにもなる
「この全国大会もそうですけど、プロに入ってからもワンプレーで変わったなということはありましたし、それがサッカーの面白さだと思う」

―高校時代は一個一個のプレーの質にとてもこだわっていた
「今も試合が終わった後に映像を3回くらい見直します。監督も一緒に見てくれるのでマンツーマンで見て、また見直してとか。パスを出す前の状況で選択肢が他にもあったけれど、辞められなくてパスを出してミスったとか。あそこ、どうできたかなとか。ピッチと上から見た映像だと違いますし。でも良い時は上から見ているような絵で見える時がある。そういうイメージを戻せるように、その感覚というのは常に持っていたいと思います」

―高校の時もこだわりをかなり持っていたが、周りにそこまで考えている選手はいた?
「いないっすね。話合わなかったっす(苦笑)。あの時の、あのシーン覚えている?みたいなこと言ってもみんな覚えていないというし、咬み合わなかったですね。(今のチームでも意見しあうことがあるが)もちろん相手の言い分もありますし、聞かなくちゃいけない。(J2の)最終戦もスッキリしないプレーがあったので、それで眠れない時もある」

―高校時代、同じ「アディゼロ F50 」を履く宇佐美選手をリスペクトしていると話していたが
「今もリスペクトしていますよ。一個上なんで、もちろん負けないという目で見ていますけれど、宇佐美選手はボクの年の時にドイツでやっていた。凄い選手。でも、直接対戦して一番感じたことは、ゴールへの意識が他の選手とは全然違ったということ。どこからでも撃ってくる怖さがあったし、そこは刺激を受けましたね。シュートを撃たないと怖くないし、監督からも言われるんですけど、上手い選手はいるけれど、上手くて怖い選手はいない。宇佐美選手は上手くて、怖い選手だと思います。多少、体勢を崩していても撃ってきますし、現に多少角度のないところからでもシュートを決めている」

―宇佐美選手のように、Jリーグで違いをつくれる選手にならなければいけない
「今、違いという面は見せられていると思うんですけど、ああやって毎試合毎プレーで違いを見せられるくらいにならないといけない」

―このスパイク「アディゼロ F50」は高校の時から履いていた
「軽いので。あとデザインも好きですね。本当に軽いっすね。最初、ビックリしましたもん。ランシューみたいじゃないですか。あと、格好良くないですか? 格好いいですよね。このスパイクを選んでいる理由はその2つですね」

―とても軽いスパイクだが、どのような点が自分の良さを引き出してくれる?
「一瞬のスピードとか、キレとかは大事にしているんですけど、そのキレだったりとかは軽い方が出ると思いますし、このスパイクを履いたら他のスパイクは履けないですね。他のスパイクは重いですよ」

―高校時代も最初のインパクトが凄かったと
「グラウンドで話題になって。先輩が最初の黄色のヤツを持ってきて自慢していたんですよ。みんな、『ヤバイ』と。『持たせてください』とか、本当は言いたくなかったんですけど、オレも欲しいなと思っていたから、そこは『ちょっといいすか』って持たせてもらって…(笑)」

―このスパイクによって活躍がもたらされている
「間違いないです。スパイクは結構気にしているんですよ。今までは合ったスパイクがなくて、色々変えたり迷ったりしていたんですけど、これを履いてからは浮気しないですね」

―最後に来シーズン、白崎凌兵のどのようなところを見てもらいたい?
「ゴール前で違いを見せたり、ゴール、アシストがオレの特長であることは変わらないですし、チームのために走る姿勢とかもちょっとずつですけど変わってきたと思います。オフの動きとかも意識していて、動きでも相手を抜くことができますし、そういうところの楽しさも見出してきているので見て欲しいですね」

―90分間白崎凌兵から目を離すなと。
「そうですね。動き出しも意識して見て欲しいですね」

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(取材・文 吉田太郎)

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