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[大学選手権]快進撃ついに止まるも…4年生が引っ張った国士舘大は堂々の準V

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[12.25 大学選手権決勝 国士舘大1-3大阪体育大 国立]

 国士舘大の快進撃は決勝でストップした。関東大学リーグ1部前半戦を最下位で終えながらも、9月4日の中央大戦を2-1で制してから11戦連続不敗の快進撃を見せるなど4位フィニッシュ。出場権を獲得した全日本大学選手権ではJ内定5選手を擁した阪南大、総理大臣杯全日本大学トーナメント優勝の流通経済大、そして九州王者の鹿屋体育大を連破して11年ぶりとなる決勝まで勝ち上がった。1936年生まれの元監督、大澤英雄チームアドバイザーの下でサッカーの基本となるボールとゴールを奪う、守ることから徹底し、どん底から浮上。だがこの日の決勝では関西王者・大阪体育大の前にシュート5本、被シュート19本と差をつけられて敗れた。

 試合の流れは引き寄せていた。前半24分、左サイドを突破したMF進藤誠司(3年=流通経済大柏高)のクロスボールを2分前に投入されたばかりのFW服部康平(4年=国士舘高)が胸でのコントロールから左足で突き刺して先制。だが、前半アディショナルタイムにクロスボールのクリアミスを突かれて失点すると、立て直すことができないまま迎えた後半2分に勝ち越されてしまう。相手の強力2トップ、FW澤上竜二とFW伊佐耕平を封じ込んだ国士大だったが、一瞬の隙を突かれて失点を重ねてしまった。

 同点ゴールに絡んでしまった右SB石川喬穂主将(4年=広島皆実高)は「集中はしていたんですけど、少ない隙を見せてしまった。決勝まで来る相手にああやって隙を見せてしまうとやられてしまう。きょうはみんなよく戦ってくれていたんですけど、自分の不用意なミスで失点して、自分の中で自分が『やらかした』というか、そういうゲームになってしまった」と無念の表情。前半44分には相手FW伊佐の決定的なヘディングシュートをゴールライン上でスーパークリアした石川だったが、試合後も自分のプレーを責め続けていた。

 ただ、この躍進をもたらしたのは石川をはじめとした4年生の力が大きかったことは間違いない。この日先発した4年生は石川とFW福田真也(4年=日本航空高)、MF橋本拓門(4年=柏U-18)の3人だけだったが、個性の強い4年生たちがひとつになってどん底から這い上がってきた。石川は「自分が引っ張ってきたというよりは4年が凄い引っ張ってくれて。ヤンチャなヤツが多かったですけど、自分が呼びかけたことにみんながついてきてくれた。チームとしては4年生が凄く仲良くて、下のヤツを引っ張ろうとみんなでやってくれた」と感謝する。4年生に引っ張られたチームはピッチ上の選手たちが相手以上にアグレッシブなプレーを見せ、応援リーダーのDF渡邉元貴(3年=新羽高)やGK松田速人(2年=高松工芸高)を中心としたスタンドの応援も対戦相手を上回る声でチームを後押し。主力も、控え選手も一丸となった結束の強さで国士大は堂々の全国準優勝を果たした。

 これから、4年生と下級生は別のステージで戦っていく。プロ志望の石川は「優勝していたらこのままで調子に乗っていたと思う(微笑)。勝つことが簡単じゃないんだということを思い知らされた。自分にもまだまだ課題があると思うので、もっともっといい選手になって、応援してくれる人の前でプレーできるように一生懸命頑張りたいです。この悔しさをバネに、明日からしっかりトレーニングしていきたい」と語り、後輩には「自分たちは今回、こういう悔しい思いをしたけれど、1年生、2年生、3年生には来年があるんで、ボクたちが悔しい思いをした分、必ず優勝してくれと伝えました」とメッセージを送ったという。1999年度以来となる日本一は来年以降に再挑戦。国立決勝の舞台を経験した下級生たちはこの悔しさをバネに必ず来年、日本一を手にする。
 
(取材・文 吉田太郎)

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