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[関東リーグ]フウガすみだ『卒業』の一戦で2年半ぶり黒星。新生ファイルフォックスは2位を確定

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[12.28 関東リーグ第18節 フウガすみだ2-4ファイルフォックス 駒沢]

 フットサル関東リーグ1部は28日、最終節を迎え、来シーズンよりFリーグに昇格する首位のフウガすみだは、2位のファイルフォックスと対戦した。昨シーズン、関東リーグを無敗(11勝3分)で制したフウガすみだは、今季も14勝1分けと無敗ですでに連覇を決めていた。全勝優勝の掛かった一戦だったが、古豪ファイルフォックスに先制されると、その後も相手の堅守を崩しきれず、鋭いカウンターから失点を重ねて2-4で敗れた。『関東リーグ卒業』の一戦で、2011年6月18日の柏イーグルスTOR'82戦(1-2)以来、約2年半ぶりとなる黒星を付けられてしまった。

 4節を残してリーグ連覇を決めていたフウガすみだは、FP杉尾浩平、FP中村歩、FP岡山和馬、FP荻窪孝、FP外川海斗という普段は先発しない選手たちが、スタメンに名を連ねていた。この起用について須賀雄大監督は試合後に、チームの総合力を上げる狙いがあったことを明かしたが、ファイルフォックスの選手たちは、敏感に反応していた。前半はベンチに控えていた元日本代表GK石渡良太は「最初に、いつものセカンドセット、サードセットで来ていたから、『なめんじゃねーぞ』という気持ちはありましたね」と語気を強めた。

 試合の入りに成功したのは、ファイルフォックスだった。フウガすみだの攻撃を受け止めながら、カウンターからゴールを狙う。前半2分には右サイドから選手兼監督のFP吉成圭がゴール前のFP三木一将にパスを通すが、三木のシュートはGK大黒章太郎にブロックされた。その後もフィニッシュに持ち込むファイルフォックスはFP徳嶽裕太、FP瀬戸真司がゴールを狙うが、ゴールを割ることはできない。

 両チームがフィールドプレーヤーを総入れ替えして迎えた前半6分、優勢に試合を進めていたファイルフォックスが先制点を挙げた。中央突破を仕掛けたFP田村佳翔がDF2人を突破し、ゴール前でルーレットを見せる。半回転したところでゴールを背に向けた状態から、意表を突くヒールキックシュートを打つと、これが決まって先制した。

 リードを許したフウガすみだは、ここまで温存していたファーストチョイスであるFP金川武司、FP諸江剣語、FP宮崎暁、FP太見寿人のセットをピッチに送り出した。ここからはフウガすみだが押し込む展開になる。前半8分に左サイドから宮崎がゴール前に速いボールを入れるが、ファーサイドにいた金川はつめられず。同9分にはエースの太見が右足のキックフェイントでマークを外し、左足でゴールを狙っていたが、GK三浦拓が対応して、得点を許さなかった。

 守備を最優先に戦うファイルフォックスだが、彼らは同時に、したたかに2点目を狙い続けていた。ボールを奪った瞬間、もっともゴールに近い選手は相手ゴール前に走り、そこへパスを出す。その選手がシュートに持ち込むことを第一の選択肢にしながらも、ボールが収まった場合は、もう一人が逆サイドのゴール前に詰めるという動きを徹底。少ない人数で手数を掛けない速攻を、フウガすみだの喉元に突きつけ続けた。

 これが奏功したのが前半12分。それまで田村のドリブルが最大の脅威になっていたが、この場面では田村からのスルーパスがFP杉本聖和に通る。杉本はGKを外して、左足でシュート。これが決まり、ファイルフォックスがリードを2点に広げた。このゴールで勢いづいたファイルフォックスは、その後もチャンスをつくったが、あと一歩、ゴールにはつながらない。

 前半14分にはフウガもFP内田淳二がゴール前でパスを受け、反転から左足でシュートを打つ。しかし、これもGK三浦に阻まれる。利き足のシュートはFPがブロック、逆足のシュートはGKが防ぐというファイルフォックスの守備が機能し続けた。その後も両チームが決定機をつくりあうが、得点は動かずにファイルフォックスが2点をリードして前半を折り返した。

 後半に入り、フウガすみだはGKを揚石創に、ファイルフォックスは石渡にそれぞれ変更する。ボールを保持するフウガすみだは、ボール回しの底辺の位置で諸江、宮崎がマークを外し、太見に縦パスを入れようとするが、ファイルフォックスの守備を崩せずにシュートまで持ち込めない。なかなかフィニッシュに持ち込めなかったフウガすみだは、セットを変えた後半4分に中村が強引にシュートを打つが、ボールは枠外へ飛んで行った。

 後半6分には、フウガすみだが速攻を見せる。相手のパスをカットした宮崎がドリブルで2人抜き、右サイドの金川に展開。折り返しに諸江が合わせたが、GK石渡が鋭い反応でゴールを死守する。その後も押し込むフウガすみだは、同8分にCKから1点を返す。キックインからのボールが右サイドに流れると、いち早く反応した太見が左足でゴールネットを揺らし、1点差に詰め寄った。

 一気に同点に追いつきたいフウガすみだだったが、わずか1分後に再び失点してしまう。ファイルフォックスの田村が右サイドのFP藤本豊にパス。藤本が左足で放ったシュートは、左ポストの内側を叩いて、ゴールに決まった。ファーポスト前には瀬戸も詰めていたファイルの要所を抑えた攻撃がハマり、フウガすみだを追い詰める。

 関東リーグで追う展開になることがほとんどなかったフウガすみだは、少しずつ焦りが見え始める。後半12分には5つ目のファウルを犯してしまい、以降の直接FKに値するファウルは相手の第2PKにつながる状況に陥る。それでも攻めるしかないフウガすみだは、ゴール前までボールを運ぶが、GK石渡の壁を突破できない。

 試合を決定づけるゴールが決まったのは、後半16分だった。フウガすみだのFP神尾佳祐の意識が前に行った瞬間を逃さず、三木が左サイドの高い位置に絶妙なポジションを取る。そこに田村からパスが通ると、三木がライン際で巧みなボールコントロールから右足のシュートに持ち込む。これが決まって、ファイルフォックスガリードを3点に広げた。

 試合終盤、エースの太見にボールを集めてゴールを狙ったフウガすみだだったが、体を張るファイルフォックスの守備を攻略できない。残り56秒、太見から金川というホットラインでゴールに迫るが、シュートは左ポストに嫌われた。残り13秒、キックインから宮崎が意地のゴールを返したが、反撃もここまで。フウガすみだは、2年半ぶりの敗戦で関東リーグの戦いを終えることになった。一方、今季開幕前に主力選手が多数退団していたファイルフォックスにとっては、王者を破り、シーズン2位を確定付けるという大きな自信につながる、まさに金星となった。

 なお、リーグ優勝のフウガすみだ、2位のファイルフォックス、そして3位のブラックショーツは、2014年2月21日から23日に愛知県で行われる地域チャンピオンズリーグに関東代表として出場する。

(取材・文 河合拓)

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