[12.31 全国高校選手権1回戦 神村学園0-1岐阜工 味フィ西]

　第92回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行い、味の素フィールド西が丘では神村学園(鹿児島)と岐阜工(岐阜)が対戦した。試合は0-0のまま、PK戦に突入するかと思われたが、終了間際のアディショナルタイム1分にDF庄司圭輝(3年)主将が蹴りこんだCKが直接決まり、岐阜工が1-0で勝利した。

　終了間際のアディショナルタイム1分、岐阜工がチャンスを演出。PA内で細かくパスをつなぎ、ゴール前のMF堀奎斗(3年)がシュートを放つが神村学園GK加藤大喜(3年)に身体全体で弾かれた。ゴールが決まると思われた瞬間に、相手守護神のビッグセーブ。神村学園の応援スタンドは一気に盛り上がり、その勢いのまま0-0でPK戦に突入するかと思われた。

　しかし、試合はまさかの展開を迎える。このGK加藤のセーブによって、岐阜工が獲得したラストワンプレー。左CKから庄司主将が右足で蹴り込んだボールは、ゴール前に詰めていた5人の味方に触れることなく、そのままゴールネットへ吸い込まれた。「たまたま入った。いつもと違うコースにいったので、やばいなと思った」。試合後、庄司は笑って話したが、これが決勝点となり、岐阜工が初戦突破を決めた。

　勝利した岐阜工だが、この日の試合では立ち上がりに大きなチャンスを逃すと、その後は神村学園に押し込まれる苦しい展開だった。前半10分、岐阜工が左サイドから押し込むとMF立花稜也(2年)が中央へ折り返す。ループ気味のボールはGK加藤が処理を誤り、ゴール前へ。フリーのFW永田薫(2年)がシュートを放つもクロスバー上方へ大きく外れた。

　するとその後はポゼッションで大きく上回る神村学園が押し込んだ。FW半田優希(3年)を中心に積極的に仕掛けていく。前半15分にはMF水口智浩(3年)が前線へロングボール。PA内のDF熊迫大陽(3年)が頭で落とすもDFにクリアされた。同28分にはカウンターからチャンスを演出。抜け出た半田がPA手前左からシュートを狙うが、飛び出したGK大西裕之(2年)がシュートコースを切り、枠を外れた。

　押し込む神村学園は前半36分に決定機。水口が前線へループパス。抜け出した半田がPA右からシュートを放つ。枠を捉えるもGK大西が右手一本で弾いてみせた。そのままスコアは動かず。0-0で前半を折り返した。

　すると後半立ち上がりから、岐阜工が流れをつかんだ。得点にはつながらなかったものの、立て続けにCKを獲得。相手ゴールを脅かす。さらに神村学園の攻撃陣をDF飯島龍寿(3年)とDF村瀬大地(2年)の両CBがストップし、攻撃へ転じる。後半28分にはMF山田雄作(3年)が積極的にミドルシュートを放つが枠を外れた。

　後半34分にはショートパスをつないでチャンスメイク。途中出場のMF高木涼輔(3年)が右サイドへ展開。山田が中央へ折り返し、堀が落としたところを最後はFW和田凌成(3年)がシュートを放つがGKに弾かれた。同36分にはセットプレーから決定機。庄司の右CKからファーサイドの飯島がヘディングシュートを狙うがクロスバー上方へ外れた。

　そして迎えた最後のワンプレー。岐阜工がラッキーな形でものにして、1-0で勝利を勝ち取った。試合後、岐阜工の清本勝政監督は「信じられない」と劇的勝利に驚いた様子。CKが直接入ったことは「あれはミスキックと本人(庄司)も言ってました」と話したが「前半からCKを取りにいくように指示をしていた。あの(後半の)時間にCKが増えたことは、神村学園の守備陣は嫌だったと思う。それがボディーブローのように効いていた」と勝因を分析していた。　

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文　片岡涼)

---

▼関連リンク
【特設】高校選手権2013