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柴崎岳が高校生へアドバイス「高校生のうちにやっておかなければいけないことはいっぱいある」

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 いよいよ始まった冬の高校日本一決定戦。わずか4年前の09年度大会で国立を沸かせ、翌10年度大会では最も注目される中で輝きを放ったMF柴崎岳(鹿島アントラーズ)は今やJリーグを代表するMFのひとりとなり、A代表も経験した。戦う場所が高校サッカーからプロの世界へと変わる中、毎年、着実に階段を登り続けているMFに高校サッカーについて、そして今年W杯に臨む日本代表への思いについて語ってもらった。

―高校サッカーを卒業して3年。入学する前と卒業したあとでの高校サッカーの印象は違う?
「あまり変わらないですね。高校サッカーの何がいいかと言うと、指導者がサッカーだけではないところまで目を配ってくれているところがあると思います。高校サッカーでは日常生活もそうですし、学校でも授業態度、先生への会話の対応、礼儀、全て教えられますし、ボクはどっちかというと、そちらの方が指導してもらった印象があります」

―柴崎選手の学生生活のイメージがあまり沸かないが
「サッカーをする上で凄くいい環境を与えてもらって、悪く言えば“ほったらかし”にされていました(笑)。それは監督も、コーチも自分は考えられる選手だということが分かっていたので、もちろん分からないところは聞きに行きますけれども、ボクは自分で考えて改善してやっていた。どちらかと言うと、卒業してからの、社会人としての礼儀とか、言葉遣いとかというものを一番重視して教えられているのが青森山田のサッカー部。実際、ボクはそっちの方が大事だと思います。サッカーだけじゃない、一番大事なことを教えられたのが高校サッカーだったと思います」

―その中で自分自身が一番重視してきたトレーニングとは?
「いっぱいありますね。特別どれを重視していたという訳ではないですけど、ボランチとして、試合の中で起こりうることを想定した中で練習をしていた。(中央でもサイドでも)そのポジションの人って、ある程度は決まった動き、決まったプレーというものが多いと思うんですけど、その多いプレーをミスのないようにすること。例えばショートパスもそうですし、ボランチだったら、サイドチェンジのロングボールを蹴る回数が多い。また当時、一番多いシュートはミドルシュートだったので、中長距離のボールを蹴らなきゃいけないとか、そういうプレーを想定していた。チームの練習ももちろんやりますけれど、チームの練習と同じくらい自分の自主練習に時間を充ててやっていました」

―今、もっとこういう角度からやっていれば良かったと思うことは?
「自分の中であまり後悔することもないし、そのときのベストのことをやってきたつもりです。その自信もありますし、これ以上ないってくらい高校時代は練習もできましたし、やることをやって卒業したって感じですね」

―冬の全国大会は高校生サッカー部員にとって特別な大会。柴崎選手は1回戦敗退も、決勝での敗戦も経験していますけれど、柴崎選手にとってはどのような大会だった?
「あの時期に開催することが異例であって、他の競技だったら早ければ夏の全国大会や秋で終わる。ボクの高校もそういった部活が多かったですし、一番長くやっていたのはサッカー部員。1月までやるなんて、他はほとんどないですよね。夏の全国大会が終わったからといって自由な、遊ぶ時間もないですし、大会が終わったら3年生はすぐ卒業。ただ、部活生は皆、この大会に出るためにやっているところもあるじゃないですか。それが一年に一回しかない大会であって、3年生にとって本当の最後となると、本当に懸けたいですよね。最後ということで、思いの強い大会になると思う。自分自身、どの大会もやっぱり思い出になっていますし、覚えていますけれども、最後の冬の大会が最も印象に残っています」

―今はプロ選手になって注目されているけれど、高校時代もかなり注目されていた。注目されることって大変ではなかった?
「そんなに注目しなくてもいいんじゃない? とは思っていました。ただ、そんなにプレッシャーとかは感じなかったです。いいプレーをしなければとか、何々しなければいけない、とかは考えなかったです。どっちかというと前にチャレンジしていくイメージです。ボクは小学校の頃から取材もありましたし、注目されていることに少し慣れていた。徐々に(取材する)人が集まってきたという印象だったので、驚くこともなかったです」

―例えばカラオケに行きたいとか、いろいろな誘惑に負けちゃいそうな高校生もいると思うが、彼らにアドバイスがあるとしたら
「結局は何をしたいかという部分が一番大事。自分の中に目標があれば、そういうところに行っている暇もないと思いますし、高校生であればなおさらです。プロサッカー選手にカラオケの歌唱力は必要ないですし。ボクは指導者ではないので、自分の経験しか話せないですけど、『オレはそんな風にはならなかったぞ』と。一瞬も。ただ、プロになってから気づいたことなんですけど、ボクのような(自分への要求が高い)人って多くないんだな、と。当時はそれが普通だと思っていました(笑)」

―自分の経験しか言って上げられないということですけど、逆に今の高校生にはどういうことを言ってあげたい?
「サッカーという枠組みはなしにして、高校生のうちにやっておかなければいけないことはいっぱいある。ひとつのことにとらわれる必要はないし、どの世界に対しても通じるものが必ずあると思うし、どういう世界で生きていくにしても大切なものを高校生の時から学んでおくことじゃないでしょうか。それは人と話す態度にしても、言葉遣いにしてもそっちの方が大事ですから。インサイドパスが上手いけれど言葉は適当とかよりも、サッカーはまだだけど人として素晴らしい方が価値はある。真の部分に目を向けてやってほしいと思います」

―世界についてはいつ頃から意識を
「中学校1年生の時ですね。ボクは青森の田舎のチームにいたんですけど、縁あって全国大会に出ることができて、いろいろな人から目を向けられるようになって、エリートプログラムではじめて中国に行ったんですね。だけど、面食らって何もできなくて、世界を意識したのはそれからですね。初めて全国大会へ出た時も『こんなチームがいっぱいあるんだ』という感覚ですよ。そこからちょっとスケールが変わっただけで、青森から全国へ出て行って、そこからまた海外に出て行くという感覚でした」

―対世界ということは日本代表にもつながってくると思うが、現状、日本代表と自分の距離間はどのように捉えている?
「近いと思いますよ。現実的に考えて過大評価も過小評価もしていないんで、近いと思いますけれども、少しの運も必要だと思っています。東アジア大会に出られなかったことは非常にタイミングが悪かったなと思っています。でも出られなかったことを後悔している訳ではないし、まだチャンスはあると思ってやっている。(ザッケローニ監督の)目には入っていると思いますし、Jで結果を残すことをずっとやっていかないといけないと思っています」

―W杯までもう1年を切っている状況だけど、焦りを感じることはない?
「いや、ないですね。高校時代も含めてですけど、一日一日、やりたいと思っていることを全部やっている感覚なので後悔はないですし、今で言うと、やれることはたくさんできる訳ではないし、焦ってもやれることは変わらないから別に焦りもない。自分のやれることを自分の中でしっかりと持ってやる。それがいい方向にいけばいいと思っています」

―当時は高校を早く卒業したいと思っていたということだが、今後については
「別に考えていないことはないですし、先のことは誰にも分からないので。ボク自身、凄くリアリストですし、目の前のことをしっかりと一日一日過ごしていくということがまず大前提にあるので、先のことはあまり話さないです」

―口にはしないけれど、目標を心のなかで考えている?
「ありますね。知りたいですか? ダメです(笑)。ボクはそういうスタイルではないので、ボクが引退したら全て話します」

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(取材・文 吉田太郎)


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