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細貝萌インタビュー「失点シーンを見て考えることが増えた」

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 2011年1月、浦和レッズからドイツ・ブンデスリーガに渡って3年。昨夏にヘルタ・ベルリンへ移籍したMF細貝萌はシーズン前半戦のリーグ全17試合にボランチとして先発出場し、8勝4分6敗で6位と好位置にいるチームで存在感を見せている。ドイツメディアで「ヘルタの中盤に欠かせない選手」と評されている細貝が、ヘルタのこと、日本代表のことを語った。

―充実のシーズン前半だったのでは?
「数多くの試合に出ることができていて、レバークーゼンで経験したこと以上のことを経験できた前半戦だったと思います」

―前半戦は17試合すべてに先発し、チームも6位と好調ですね。
「ヘルタ・ベルリンはここ数年うまくいかないシーズンが続いていました。2部から上がって1年で落ち、また上がってまた1年で落ち、また上がってきたというのが今シーズン。開幕当初のチームの目標は1部残留で、それは今も変わりません。ただ、レバークーゼンやアウクスブルクでの経験を踏まえたうえで、開幕前にヘルタで新しくチームメイトになった選手たちを見たときに、僕は『このチームはもっと上に行ける』と思っていました。ドイツの取材でもそう話していました」

―現在の6位という順位をどう感じていますか?
「6敗の中には、内容でずっと押しているのに勝てなかったなど、もったいない敗戦もあったし、もったいない失点もありました。だから、僕個人としては全然満足していません」

―もったいないところに自分が関与していたということ?
「失点したシーンを見ると、ボランチの選手は何かしら関わっているんですよ。センターバックももちろんそうだと思うんですけど、例えばクサビが入って、その選手が落として裏にボールが出て3人目のプレーのような形で1対1になったりする。そうなったときに、クサビの位置やパスコースにボランチの選手がいたら、クサビへのパスが通っていないわけじゃないですか」

―直接じゃなくても数プレー前で関わっている。
「テレビで見たりするだけなら、最終的にマークについている選手の部分だけに目がいきがちなんですが、よく考えてみたら自分がクサビのところに入れさせていなかったら、その選手は他のところを選択するんですよ。もちろん、サイドに行ってクロスからやられるかもしれないので結果論ではあるのですが、やはりサイドより真ん中の方が危険ですし、ここにもし自分がいたら失点を防げたのかなと思うことがある」

―細かいところを考えるようになった?
「今までは、例えば自分が1対1で抜かれて失点したら、この対応は悪かったなと思う。でも、それは当たり前です。自分が関与していないようで関与しているシーンが、ボランチの選手にはある。もっと自分が感覚的なところを研ぎ澄ませていればやられなかったんじゃないかと。失点シーンを見て考えることが今までよりも増えました」

―なぜ増えたのでしょう。
「昨シーズン、プレーしたレバークーゼンでは、ボランチでは出ていませんでした。試合に多く出ていた前半戦のポジションは左サイドバックでしたから。でも、逆にボランチとしてのブランクがあったからこそ、ヘルタでボランチをやって思うことが増えたのだと思います」

―サイドバックで出ていたことや、試合に出なかった時期が生きている?
「そうですね。それくらいレバークーゼンの時期をポジティブにとらえています。今、気になるのは得点シーンよりも失点シーンです。得点シーンに絡んでいればもちろんいいですし、点を取るなら取ったほうが良いのは当たり前なんですが、それより失点シーンを見たとき、『これは俺が少しサボっているな』とか『ここに俺がいることが可能な距離なら跳ね返せていたかな』とか、今まで以上に考えるようになりました」

―ドイツメディアでは『ヘルタの中盤に欠かせない選手』と評されました。
「うれしいですね。評価してもらえるのはうれしいですし、しかもブンデスリーガ内で評価されているというのがうれしいです。僕はブンデスリーガーだから、そこで評価されるのがうれしいし、ヘルタ・ベルリンの選手だから、ヘルタ・ベルリンのサポーターに評価してもらえるのはうれしいですね」

―サポーターの評価も感じている?
「この半年を終えて、ヘルタ・ベルリンのサポーターが評価してくれているのは自分でも感じることができています。試合後に挨拶に行ったときに自分のユニフォームを着てくれている人がいたり、『お前、良かったぞ』と声をかけてくれる人がいる。そうすると、『俺はここの選手なんだな』と思いますし、だからこそもっと頑張らないといけないと思います」

―ブンデスリーガの日本人選手が所属しているチームの中で、前半戦6位は最高順位です。日本人選手とそういう話題になることはありますか?
「順位が一番いいという話にはなりませんが、お互いのチームの状況は話します。オカちゃん(岡崎慎司)と電話で話したのですが、シュツットガルトのときとは状況が違って充実感があるし、やりやすいと言っています。そういうのを聞くと僕も頑張らないといけないと刺激になります」

―来年のCLも見える順位だが?
「今の順位でいけばそうですが、でもやっぱり取りこぼしているし、無駄な失点もある。今はポイント差もそんなにないですから、後半戦が始まって結果が出なければ、一気に下に落ちてしまう。けれども、勝ち点を積み重ねればもっと上にもいける。これからだと思っています」

―私生活ではベルリンの歴史も勉強中?
「せっかくベルリンという都市に住んでいるのだから、やっぱり把握しておきたいですよね。でも、すごく難しいんですよ。ベルリンの壁の崩壊もインターネットで検索して読んでみたりしたのですが……。ただ、こういう歴史があったんだなと気にするようにはなっていますね」

―ホームは2006年W杯の決勝会場でもあるオリンピック・スタジアム。
「8万人くらい入る大きなスタジアムです。だから7万人くらい来ても、完全には埋まっていないんですよ。シャルケやバイエルンでは、スタジアムが満員になりますよね。僕としては満員にならないのが悔しいんですよ。シャルケ戦では7万人入りましたが、満員ではなかった。僕ら選手たちが結果を残すことで、見に行こうと思う人がいるでしょうから、毎試合8万人に来てもらって満員のスタジアムでやれるように頑張らないといけないと思っています」

―生活は問題ない?
「今まで住んだ都市の中で一番大きいですし、一番住みやすいです。とにかく困ることがない。住んでいる場所が市の中心から少し離れているので静かだし、時間に追われている感じがない。生活しやすい環境にあります」

―ところで、中田英寿さんのバランスの良さを参考にしたいとブログに書いていましたが?
「プレースタイルはまったく違いますが、僕自身、中田ヒデさんがすごく好きなんです。何が凄いって、フィジカルは当然だけど、体のバランスを崩さずに前に運んでいく強さがあるじゃないですか。自分も前に運んで行こうとは思わないけど、ああいうフィジカルの強さのところ、バランスのところで、ヒデさんのプレーを見て感じることが多いです」

―中田選手より激しい感じですが?
「はっきり言ってチームでもファウルが多いですからね(笑)。ブンデスでもファウルが多い方。でも、ポジティブな意味でファウルをしにいっているのがありますからね。センターバックの選手や周りの選手に負担がかからないように自分のところでつぶしていくのは重要だと思っています」

(取材・文 矢内由美子)

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