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W杯審判に初の「日本人トリオ」。西村主審、相樂副審、名木副審が抱負

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 国際サッカー連盟(FIFA)によってブラジルW杯の審判として選ばれた西村雄一主審、相樂亨副審、名木利幸副審が16日、日本サッカー協会で会見を開き、抱負を語った。

 西村主審と相樂副審は10年の南アフリカW杯で韓国人の鄭解相(ジョン・ヘサン)副審との3人組で参加しており、2大会連続2度目のW杯となる。名木副審は初めての選出。日本からのW杯審判派遣は、98年フランスW杯から5大会連続になるが、主審と副審2人の「トリオ」が全員日本人というのは初めてだ。

 会見では、西村主審が「どの試合も決勝戦のつもりで臨みたい。お世話になった方々への感謝を込めて、キックオフの笛を吹きたい」と抱負を述べると、相樂副審は「3人のコンビネーションの良さを生かし、絶妙の連係があるからこそのレフェリングをブラジルで発揮したい」と意気込みを語った。

 また、42歳でトリオ最年長の名木副審は、W杯審判の定年が45歳とされていることから、「トリオの一員としてW杯に行けるのは最初で最後。光栄なことで、どうやって気持ちを表現していいか、言葉が見つからない」と感慨深げに語った。

 FIFAは11年に世界各国の52トリオ(アジアサッカー連盟からは7トリオ)をブラジルW杯審判候補として選抜。各国際大会でのレフェリングやセミナーで選抜していき、このほど25トリオが発表された。

 西村トリオはすでに12年8月のロンドン五輪と13年6月のコンフェデレーションズ杯で審判を担当しており、“ゲームコントロールの実践テスト”を2回終えていた。

 日本サッカー協会の上川徹審判委員長は「日本人トリオはFIFA審判委員会のメンバーから高い評価を受けている」と言い、西村主審について「彼のストロングポイントは、判定能力の高さはもちろん、動きやポジション取りが良いこと。西村自身がいろいろなチームの戦術を研究したうえでのポジショニングなので、説得力のある判定ができている」と説明する。

 今回、アジアから選ばれたのは、南アフリカW杯と同じ4トリオ。アジアで最高評価を受けているイルマトフ主審がいるウズベキスタントリオや、オーストラリア、バーレーンのトリオが選出された。西村トリオらは、2月と4月にFIFAのセミナーやフィジカルテストを受けつつ、Jリーグでも審判を務めながら、6月上旬にブラジル入りする予定だ。

 南アフリカW杯では、準々決勝のオランダ対ブラジル戦で笛を吹いた際にフェリペ・メロ(ブラジル)にレッドカードを出したことや、スペイン対オランダの決勝戦で第4の審判を務めたことでも知られる西村主審は、「2010年は失うものはないと思ってやっていたので、緊張することなく、ありのままに大会に臨んだが、自分としてはあまり上手ではなかったと思う」と言ってさらなる技術向上を誓い、相樂副審も「日本に戻ってから映像を見ると、もっとうまくできたのではないかと思った。今度はより完成度の高いレフェリングをしたい」と話した。

 日本代表チームと並び、5大会連続でW杯の舞台を踏む日本人審判トリオ。本大会での“活躍”が期待される。

(取材・文 矢内由美子)

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