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香川にPKを譲った本田「譲ったのは自分のためでもある」

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[3.5 キリンチャレンジ杯 日本4-2ニュージーランド 国立]

 その瞬間、ピッチにポジティブなエネルギーが満ちあふれた。ドリブルで中央突破を図ってペナルティーエリア内で倒され、PKを得たMF香川真司(マンチェスター・U)が、MF本田圭佑(ミラン)にPKを蹴らせてくれと訴えたときだ。

 マンUでの苦境を自らの足で打破していこうという香川の意欲的な申し出。気圧されたというより、うれしく思ったに違いない。かつてMF遠藤保仁(G大阪)から半ば力づくでPKキッカーの座を譲り受けた本田は、香川の前で自然と頷いていた。

「PKは、その瞬間に行けると思った人間が蹴るべきだと思っている。今日は真司がその決断をした。僕としては譲ることに迷いはなかった」

 香川とは、同じイメージを共有できる“盟友”の関係だ。ピッチ内ではいつもアイコンタクトを交わし、近い距離でプレーすることを好む。それが何より日本の力になると信じているからだ。

 その盟友が見せた必死な姿。加えて、本田自身がビッグクラブのミランに移籍し、背番号10を背負う経験をしているからこそ、マンUで香川が直面している苦悩の本質を理解したという側面があるのかもしれない。

 本田は「真司は本当に、マンUの中心になれるくらいの…なれるくらいのじゃなく、中心になれるクオリティーがある」とはっきりと言い、「彼のタイプとしては良い指導者、監督に巡り会うことが課題。まあ、彼の課題ではないんですが、運も必要なのかなと」と、日本代表の背番号10をおもんぱかった。

 もっとも、本田とて、簡単にPKを譲ったわけではない。「W杯まで1年以上あれば、たぶん譲らなかったと思う。譲ったのは自分のためでもある。真司が取れば俺も加速できる」と、その理由を明かした。W杯で目標とする「優勝」にたどり着くには、香川の活躍が不可欠と思っているのだ。

「イタリアではいろいろ悩む。簡単ではないですけど、楽しみながら、これまでと変わらず前進して行くのみです」

 本田にしろ香川にしろ、苦しい状況が今すぐに解決されるということはないかもしれない。だが、何かきっかけめいた匂いの漂った国立競技場。本田はさらに歩みを早めてW杯へ向かう。

(取材・文 矢内由美子)

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