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日本vsニュージーランド 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[3.5 キリンチャレンジ杯 日本4-2ニュージーランド 国立]

 日本代表は5日、東京・国立競技場でニュージーランド代表と対戦し、4-2で勝った。W杯イヤーとなる2014年初陣は前半4分にFW岡崎慎司のゴールで先制すると、同8分にMF香川真司がPKで追加点。同11分にDF森重真人のA代表初ゴール、同17分に岡崎の2得点目で加点し、あっという間に4点のリードを奪った。ところが前半39分に1点を返され、後半35分にも2失点目。4点目以降はゴールを奪うことができず、4万7670人が押し寄せた改修工事前最後の国立での代表戦は4-2というスコアで幕を閉じた。

以下、試合後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
―今日の試合は満足できるものだったか?
「非常に有益な試合だったと思っている。これまでチャンスのなかったメンバーを試合の中で見ることができた。この試合の目的は、どこまで自分たちのやり方を覚えていて、それを出せるか、そして出場機会の多くなかった選手がどこまでできるかというところだった。最初の25分間はスピードに乗った中でテクニックを出せていた。それが出せてこそ、国際レベルで渡り合える。相手は我々よりパワーと走力があったと思う。その後は早い時間で4点をリードしたことで、チームとして少しペースを落としてしまった。ケガのリスクマネジメントをしている選手もいた。チーム本来のプレーを止めてしまい、少し流しにかかった時間帯で、個々の選手がその状況からどう抜け出そうとするのか観察することもできた。できるだけ多くのゴールを奪うのが我々のスタイルだが、同時に失点も減らさないといけない。そのためにまずは失点を減らそうという気持ちが必要だ」

―2列目の岡崎、香川、本田はポジションが固定されすぎではないか?
「岡崎はあそこのポジションが適正だと思っている。あそこから相手のDFラインに飛び出す動きに特徴があり、精度も高い。本田の適正ポジションも真ん中にあり、そこで彼の良さが出る。サイドになると、その良さが落ちると思う。香川と本田の関係については、2人の距離を近くするのではなく、本田にはエリア内に飛び込んでほしいと話した。香川がトップ下のポジションでも生きることは把握しているが、今日見たように左でも能力を発揮できる。本田は真ん中で相手を背負えるし、キープもできる。香川はサイドから中に入って、ゴールを向きながらボールを受けられるが、背負って受けるのはあまり得意ではない」

―遠藤が3試合連続途中出場なのは戦術的な理由か?
「4年間言い続けてきて、まだ信じてもらえていないのかもしれないが、親善試合はテストの場だと考えている。その意味で他の選手を試す必要があると思っているし、山口や青山、細貝といったメンバーを使って、より成長を促しながら、だれがW杯に連れて行くのにふさわしいか選んでいきたい」

―インパクトを残した選手は?
「最初の25分間は良い時間帯が続いたので、当然注意して見ていたが、それ以外のチームがうまく回っていない時間帯に何ができるのか、どういうリアクションをするのかを見るのにも役に立った試合だった。全体的に及第点以上のプレーをしていたと思うし、監督にインパクトを与えたのではないか。良かった選手、そうでなかった選手もいるが、相対的にはみんな及第点だった。今後、W杯の最終メンバー発表まで試合ができないのは残念だが、選手たちはそれぞれのクラブに戻って、それぞれの実力をアピールしてくれると思う。4月の国内合宿は有意義に使いたい。何度も言うが、W杯の23人のメンバーは決めていない。海外組、国内組に関わらず、持っている力をアピールしてほしいと思う」

―これまで準備期間が長いときは良いプレーができても、短い期間では難しいと話してきたが、今日の試合の序盤で良い時間帯をつくれたのは?
「良いサプライズではあった。そうなるといいと思っていたが、あそこまでできるとは思わなかった」

―課題は?
「フォーカスしなければならないのは技術力であり、それが日本代表のストロングポイント。ただし、技術力単体ではなく、スピードもないといけない。世界レベルではスピードを伴った技術力が大切だし、足元足元にならないように、スペースで受けるパスを供給しないといけない。チームとしてダイナミズムのある動きを出していければ、世界と渡り合えると思う。今日のように10平方mで5分、10分と細かいパスをつないでも、それだけでは何も起こらない。札幌での韓国戦も3-0からペースを落としてしまった。我々の出来が非常に良くて相手がいないような試合運びをしていたり、非常に簡単な試合から急に相手が強い存在になって劇的に試合の流れが変わることがある。その場合、相手が走力やフィジカルで優れていることが多い」

―香川や本田に所属チームの監督へのメッセージを残してほしいと話していたが、今日の試合でそれは果たせたか?
「前半の25分では良いメッセージを発信できたと思う。2人のコンビネーションは、特にその25分はダイナミズムと正確性にあふれていた。あれだけのスピードと精度でパス交換できるのは彼らのストロングポイントだと思う」

―こういう試合でしっかり失点を抑える必要性は感じているか?
「前半の25分間のペースで攻め続けていれば、相手にあれほどチャンスを与えなかったと思う。サッカーの傾向として、得点を多く取るチームは失点も多くなりがちだし、得点の少ないチームはより失点を少なくしようとする。できるだけ多くのゴールを挙げて失点をしないバランスを見つけることが大切だが、我々の失点は守備陣の陣形が整っている状態でやられている。1失点目はリバウンドが相手に渡ってしまったし、2失点目もしっかり戻っていたのにやられてしまった。失点するなら、相手をほめるような失点が好ましいと思っているが、自分たちが集中力を欠いてミスしてしまうことも起こっている。その意味で、注意力をより高めないといけない。攻撃的になりすぎてバランスを失い、失点するのが最も嫌だが、まだバランスは崩れていないと思っている。

 今回は国立での最後の試合となった。一時代を築いた歴史的なスタジアムが幕を閉じるのは残念だが、改修された新しいスタジアムでクオリティーの高い試合が行われることを望んでいる。それがすなわち日本サッカーが成長し続けることになると思う」

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