beacon

劇的勝利で就任後初白星の大宮・大熊監督「ちょっとうれしい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.15 J1第3節 川崎F3-4大宮 等々力]

 劇的勝利で就任後初白星も、満面の笑みとはいかなかった。大宮アルディージャは2度にわたってリードしながらそのたびに追いつかれ、後半41分には2-3と逆転を許した。それでも後半45分にMF家長昭博の左FKにDF菊地光将が頭で合わせ、この日2点目となる同点ゴール。さらに後半アディショナルタイム、カウンターからMFチョ・ヨンチョルが個人技で再逆転となる決勝点を奪った。

「うれしいですけど、この記者会見が終わったら、勝ったことを忘れて、次の試合を考えたい」。試合後の会見で初勝利の感想を聞かれた大熊清監督はそう答え、「すごいうれしいとかはない。ちょっとうれしいぐらい」と、報道陣を笑わせた。

 シュート数は8本対24本。試合内容的にも終始押し込まれる苦しい展開だった。「狙いとしていたことができた部分もあれば、まだまだチームとして力不足も感じた試合だった」。そう振り返った指揮官は「交代で出た選手が今までよりも具体的なプレーをしてくれたことは今後につながる。ただ、最初の11人でも安定した試合をして、リードしたときにさらに追加点を取るような力を付けないといけない」と、収穫と課題を挙げた。

 決勝点のチョは2-2の後半30分に投入していた。「付き合って何か月かだが、すごくまじめな子で、いろいろサジェスチョン(指示)すると、そっちに頭が行き過ぎるところがある。いろいろ言うことで迷いが出ることがあるので、最近は『思い切り行け』というぐらいで、あまり言わないようにしている。やりたいことをやれと」。決勝点の場面。左サイドからドリブルで中央に切れ込んだチョは対峙したMF山本真希に対し、縦に仕掛けて角度のない位置から豪快に左足を振り抜き、ニアサイドを破った。これには大熊監督も「慣れない左足で思い切り打ったことはよかったと思う」と手放しで喜んだ。

 初勝利にも冷静なのは監督も選手も同じだ。2得点の菊地は「自分の仕事はディフェンス。これで3節終わって7失点している。連敗が止まったのはよかったけど、3失点しているので100%は喜べない」と表情を崩さなかった。守備面について問われた大熊監督も「ゾーンとか受け渡しとか、ロジック(理論)に入ると、どうしようもない。ボールを奪う力がないと、ゾーンも受け渡しも関係ない」と指摘。「戦術論とか人のせいにするやつが出てくる可能性もある。ロジックやフォーメーションに逃げないように、しっかり鍛えていくことが必要だと思っている」と力説した。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
[J1]第3節スコア速報

TOP