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試合前に差別撲滅宣言、阿部「未来は自分たちで変えていける」

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[3.23 J1第4節 浦和1-1清水 埼玉]

 クラブとして再出発の日と位置づけた一戦を終え、浦和レッズのDF阿部勇樹は「ここからがスタート。悪い意味ではなく、いい意味で今後につなげていきたい」と神妙な表情で語った。キックオフ2時間前には浦和のベンチ入りメンバー18人がピッチ中央に整列。チームを代表してキャプテンの阿部が「差別撲滅宣言」をした。

「人種、肌の色、性別、言語、宗教、または出自などに関する差別的あるいは侮辱的な発言または行為を認めないことを宣言します。サッカーはスポーツや社会から差別を撲滅する力を持っています。私たちはサッカーを通じて結ばれた仲間とともに差別と戦うことを誓います」

 無人のスタンドを前に、あらためて口に出すことで誓った宣言。「大事なことは、チームとして新たな気持ちでやっていくことを示すこと。過去は変えられないけど、この先の未来は自分たちで変えていけるものだと思う。そのことを考えながら、これからもやっていきたい」。この日の経験を経て、一人ひとりが何を感じ、今後につなげていけるか。無観客試合がどんな意味を持つことになるかは、今後にかかっている。

 DF槙野智章は「想像以上だった」と、無観客試合の特殊性を実感した。「いいプレーに対しての拍手や歓声があるから、僕らの勇気づけになるし、いつも以上のテンションでプレーできる。ミスしたときのため息、いいプレーをしたときの拍手。そういうサポーターが生み出すものの大きさを感じたし、サポーターあっての選手なんだと痛感した」。

 今回の無観客試合という制裁につながる差別的横断幕が掲げられた8日の鳥栖戦後、だれよりも早く反応したのが槙野だった。自身の『Twitter』に問題の横断幕の画像を投稿し、「こういう事をしているようでは、選手とサポーターが一つになれないし、結果も出ない」などとツイート。「選手やチームが前に立って、ダメなものはダメだと言っていかないといけない。怖がってモノを発しないのではなく、しっかり発言、行動することが大事だと思う」と、あらためて自身の思いを語った。

(取材・文 西山紘平)

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