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[特別対談:前編]C大阪MF長谷川×南野「地に足を付けて」「結果を出す!」

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 2014シーズンのJリーグ開幕前に、新たにランコ・ポポヴィッチ監督を迎えたセレッソ大阪。昨季、リーグ最優秀新人賞に輝いたMF南野拓実のいる中盤には、新監督の秘蔵っ子であるMF長谷川アーリアジャスールが新たに加わった。一緒にプレーをするようになって、まだ3か月。それでも中盤で息の合ったコンビネーションを見せる2人は、ピッチ外の呼吸もバッチリだ。特別対談の前編では、新シーズンについて、2人のチームメイトとなったFWディエゴ・フォルラン選手について、そして2014 FIFAワールドカップ ブラジルについて、語り尽くした。

―今シーズンも開幕しました。長谷川選手は移籍という大きな決断をしました。南野選手も新監督の下、2年目を迎えましたが、オフからここまでを振り返っていただけますか?

長谷川「そうですね。僕は自分のサッカー人生を考えて、移籍という決断をしました。チームメイトたちも温かく迎え入れてくれて、普段の生活もそうですし、プレーでも自分のやりたいことをわかってもらえているかなというのが率直な印象です。ただ、まだキャンプから一緒にプレーしている時間は短いので、もっともっと時間を重ねることで良くなっていくかなと思います」

南野「キャンプから新しいチームで、監督もポポヴィッチ監督に変わりましたが、自分は結構すんなりやれている印象です。ファミリーのような雰囲気で練習もやれていますし、普段のロッカールームの雰囲気もファミリーみたいで、いいと思います。プレーに関しては、全然、悪くはないと思いますが、開幕したばかりですし、ここからもっと良くなっていくと思います」

――南野選手は、同じMFの長谷川選手が加入すると聞いたときは、どのような心境でしたか?

南野「やっぱり、昨年FC東京と対戦したとき(※2013シーズン第31節)に、アーリアくんにエグいシュートを決められていた印象があったので、チームメイトになると心強いなと思いましたね。プレースタイル的にもチームに合うだろうし、やれるだろうなと思っていたんです。でも、実際は思っていた以上にとてもフィットしています。僕のプレースタイルや特徴を理解してくれるし、試合中もお互いに気にしながらプレーしています。確実にチームのプラスになっていると思いますよ。さっきアーリアくんも言っていたように、今後、連係も深まっていけば、さらに良くなると思います」

長谷川「ありがとうね(笑)」

南野「いやいや。思っていることを、そのまま言っているだけです(笑)」

――どのような話をしているのでしょうか?

長谷川「結構、拓実とは普段の生活でも、いろいろ話をしています。あとは、僕の方がポポヴィッチ監督と一緒にやっている期間は長いので、監督のやりたいことや、サイドで求められていることを伝えるようにしています。たとえば、監督が拓実にアドバイスをしたときには、『多分、こういう意図を持って言っているんじゃないの』というふうに。そうやって、みんなに還元できることはどんどんしていかないといけないと思っていますし、ちょっとずつですけど、もっともっとチームが良くなるように話しています。『こういうことを求められている』って僕が言えば、拓実も考えながらいろんなことができると思いますし、拓実だけじゃなくて、ほかの選手たちとも、そういうコミュニケーションを積極的にとろうと思っています」

南野「ピッチでは、僕が前向きにボールを持った時に、アーリアくんがすごい良い距離間にいてくれるんです。その辺で、どう打開していくかっていう話は、要所、要所、プレーが終わった後に話し合うことが多いですね。これは話ではないのですが、練習の中からアーリアくんのボールの受け方だったり、関わり方っていうのを自分は参考にしています。その上で練習から、お互いに話し合ったりしていますね。だから、良い感じにやれているかなと思います」

長谷川「うちの選手たちの持っている能力は、一人ひとり高いよね! その厳しい環境に自分も身を置いて…。まぁ、監督は僕のことを知っていますが、またイチからスタートを切って、自分にプレッシャーを掛けるという意味でも、今回の移籍を決めました。やっぱり、このチームは一人ひとりの能力が高いし、力があります。その中で、どう自分が生きていくかは、まだまだ必要な部分ですし、また新たな環境でゼロからアピールすることで、また成長できると思いました。まだシーズンは始まったばかりですし、監督の求めるサッカーが1か月、2か月でできるわけはないので、みんなが同じ方向を向いて、やっていくことが一番大事だと思っています」

――外から見て、セレッソはどういうチームに見えていたのでしょうか?

長谷川「みんな若くて動くし、細かいパスも上手い。中央を突破できる。加えて、左右のサイドバックからもクロスが入ってきて、ニアに選手も入ってくる。本当に攻撃的なサッカーをやるなっていう印象ですよね。あとは、FC東京対C大阪の試合のときは、拓実にも点を決められているので(笑)。『若くて良い選手がいるなぁ』と思いながら、ずっと見ていましたけどね」

――その中に長谷川選手は、すっかり溶け込んでいる感じですね。

南野「みんな仲が良いんですけど、アーリアくんも、あっという間に馴染みましたね」

長谷川「うん。オレも本当にすんなり入れたと思う。これは自分の勘違いかもしれませんが、昨年の対戦で、あのゴールを決めていたのが、良い意味でインパクトを与えていたと思うんですよ」

南野「それはそうだよね」

長谷川「チームメイトにもそうですし、ファン・サポーターも含めて、そういうのが結構大事だと思う。そこでちょっとした会話もできるじゃないですか。『あのときのシュートがどうだった』って。それで拓実が言っていたように『エゲつないシュート』って思っていてくれているんだったら、より一層、こっちも普通に話せますし。自分より歳が下ということもあって、話しやすいのはありますよ。でも、加入したばかりのチームで、いきなり馴れなれしくするのもよくないと思うんです。リスペクトして、敬意を払って話すことが必要だなというのは、横浜F・マリノスからFC東京に移籍したときも思っていたので。それは一回経験している分、今回はすんなり入れたのかなという感じですね」

南野「うん。本当にプレーもそうですけど、最初からまったく違和感がなかった。アーリアくんも、僕たちの話をちゃんと聞いてくれるし、そのうえで、意見交換をしてくれるので。そういうところも、自分としては尊敬するところというか、見習うところですね」

長谷川「持ち上げるね(笑)」

――ビジュアル的にもセレッソ顔というか、イケメンですよね。

南野「そうですよね!」

長谷川「いやいや。タカ(扇原貴宏)と拓実の方が、イケメンですよ」

南野「そこでも十分チームのプラスになっているのは間違いないです」

長谷川「あはは、全然ですよ(笑)。ディエゴ(・フォルラン)もいますし、やっぱりかなわないですよ。このチームのファンの多さと言ったら!! キャンプのときはあまりの人の多さに、ちょっとビックリしましたね」

――フォルラン選手は、1時間以上もサインに応じていたとか?

長谷川「やっていましたね。海外では、どうなんですかね? 車で練習場から出て来たところにファンが寄って行って、車の窓を開けてサインを書いていくっていう映像は見ますけど、あんなにやってなかったんじゃないですかね。会見もすごかったよね?」

南野「あれはすごかったですね」

長谷川「あそこから、本気度というか、『やってやる』っていうのが、伝わってきましたし。2分間くらい、全部日本語で覚えてしっかり挨拶するっていうのは、本当にすごい人だなって。そういうことをしようとする気持ちもそうですし、準備もしているわけですから、本当にすごいですよね」

――そのフォルラン選手。実際、一緒にプレーしてどんな印象をお持ちですか?

南野「練習のときから、要所、要所で世界レベルのミドルシュートを打ってきます。左右両足で蹴れるのですが、僕も攻撃的なポジションなので、そういうシュートの技術とかは見習うところがあります。それに練習中から、みんなに思ったことを発信してくれているので、そういうところでも、チームを引っ張っていくっていう気持ちは見えますね。そのうえで、今後もっと連係が高まっていけば、本来のディエゴ・フォルランになっていくと思います。時間の問題だと思いますね」

長谷川「うん。やっぱり海外でやっていて、いきなり日本に来たわけだからね。海外から、日本のサッカーは格下に思われているかもしれないけど、やることはたくさんあると思います。厳しい守備も、攻撃もあるし、いきなり来てフィットするっていうのは難しいと思う。でも、拓実が言ったように、ああいうシュートだったり、要所、要所で見せるものは、すごいものがあるから、時間を重ねていけば、もっともっと良くなると思います。オレらも、もっとディエゴのことを知ることで、どういうプレーをしたいのか、どういう要求しているのかが分かってくると思う。そこに関しては、本当に時間が解決してくれると思います。ちょっと足が痛くて、プレーしていない時期もありましたし、試合も1回しかやらないまま開幕戦を迎えているので。サッカーは一人でやるわけではないので、どうしても難しい部分はあると思います。でも、その中で見えて来た課題をいかに修正できるか。本当に、これからだと思います」

――フォルラン選手にも、普通に要求できますか?

長谷川「話すよね?」

南野「はい」

長谷川「要求っていうか、向こうも話してくれるしね。こう持ったら、こうしたいとか。言葉は難しいので通訳を介してになりますが、どんどんコミュニケーションをとっていけたらと思います」

――今年は4年に一度のW杯イヤーでもあります。南野選手は『絶対に出たい』と口にしていますね。

南野「サッカー選手をやっている以上、そう思うのは当たり前だと思います。そのためには、やらないといけないことが、まだまだあります。まずは所属チームで結果を出して、勝利することが大前提です。その中で、自分の良いところをどんどん出していって、そこで結果を出すことが、そういうところにつながっていくと思うので。まずはチームで、目の前の試合を全力でやることが、今の自分にできることだと思っています」

長谷川「本当にその通りだよね。代表はみんな目指しているところだと思いますけど、上ばかり見ていて、自分の足元が見えないようだったら、歩くこともできないからね。今、自分がいる現状だったり、今何ができるか。それをやっていくことで、その先が見えてくると思うので、オレも拓実と同じですが、まずはクラブで結果を出すことが、そういうところに繋がっていくと思いますし、その先にもつながると思う。しっかりと地に足を付けて、足元からやっていきたいと思います」

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