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元代表FW小倉氏が育成世代へアドバイス「言ってもらおうとするんじゃなくて、自分で考えていってほしい」

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 アディダスジャパンは2日、「すべてをかけろ。世界はもう、夢じゃない」というテーマのもと、U-14世代へ向けた5対5のミニゲーム大会「adidas UEFA YOUNG CHAMPIONS 2014 (UEFA ヤングチャンピオンズ)」の日本代表選考九州大会を開催。5月にポルトガル・リスボンで開催される世界大会に臨む「adidas UEFA YOUNG CHAMPIONS 2014 日本代表」としてGK津村和希(ヴィテス福岡FC)と野寄和哉(CAグランロッサ)を選出した。今後4月5日に関東大会が行われ(関西大会は3月31日に開催済み)、世界大会に臨む日本代表全6選手が決定する。

 九州大会後、「adidas UEFA YOUNG CHAMPIONS 2014 日本代表」の選考を担当した“レフティーモンスター”こと元日本代表FW小倉隆史氏が「adidas UEFA YOUNG CHAMPIONS 2014」についてコメントし、育成年代に向けてのアドバイスも行った。

―まずは大会を総括して
「ボクらの時代は中学年代でこんな大会はなかったですね。世界という目標ある中でアディダスさんがやられている取り組みというのは、中学年代にとっては非常に嬉しいんじゃないですかね。いかにちっちゃいうちから、いろいろな国の人たちとゲームで対戦して肌で感じることも大事ですし、サッカーが世界で一番やられている球技だと思うので、その中で世界観を感じられるのは、今の時代にも合っていると思います」

―今回日本代表として選ばれた選手たちは世界と戦います。小倉さんは10代からオランダで海外経験を積まれました
「(オランダで)外から日本を見るというのも面白かったですし、国が違えばサッカーも違っていろいろな違いも感じられてやれたのはいい経験になれたと思うし、自分は日本人なんだというナショナリティを感じた部分もありましたね」

―いいところ、悪いところとは
「いろいろなところですね。生活すると、ニュースや社会のことなどもやっていますし、テレビから得られる情報の中での日本との比較をしたりしていました。特にサッカーに関しては南アフリカの時でもそうでしたけれど、日本は協調性とか、礼儀とか、時間を守るとか、そういった部分のところ。個性も違いを感じました。(自分が高校時代の日本の指導は)言われたら、ハイというしかないようなものが多かった。でもオランダではこういう理由だから、体力をつけないといけないから10周走れとか(選手にしっかりと納得させたり)指導の仕方が違う。この間S級の指導者研修でオランダに行ったときにも11歳、12歳の子が(元オランダ代表の)ロイ・マカーイに平気で意見言っている。マカ―イ相手にですよ! 『ボクはこう思うんだけど』とか。主張できるかできないか。日本の教育の場ではまだまだ与えられていない部分があるんじゃないかと思う。自分の意見を言う機会もなかなかないんじゃないかと思います」

―今回の彼らのように小倉さんがチャンスを掴んだ瞬間とは
「ボクらの年代の頃はこういう機会はなかなかなかったですし、各年代代表のアンダーカテゴリーも昔はちょっと今と違ったので、当時の選考は静岡や東京、九州中心で、東海の選手は目に留まることがなかった。オリンピック代表に入ったりして、いろいろなことを考えられることができたと思うし、アンダーカテゴリーで代表に入っていなかったから、自分で(その経験不足を補うために)世界(オランダ)に出ていくことをしたのかなと思いますね」

―今、育成年代に伝えたいことは
「中学生年代は思春期の独特の不安と言っていいのか、難しい時期だと思う。その中で普段から子供たちにも言っているんですけど、目標としてJリーガーになりたい、日本代表に入りたい、海外のビッグクラブに行きたいという目標を立ててやるんだったら、コーチの人に与えられるんじゃなくて、言ってもらおうとするんじゃなくて、自分で考えていってほしいなと思いますね。絶対に上手くなる指導方法なんてない。よりベターなチームづくりの方法はあっても上手くなっていくかどうかは自分次第。だから与えてもらおうというんじゃなくて、自らいろいろ工夫して掴んで行く姿勢の方がいい。目標ができたときにはそういう姿勢で向かっていってほしいですね」

―改めて日本代表に選出した2選手の選考理由を教えてください
「GKの津村クンはずっと声を出していっていたのが非常に印象的でしたし、何回か危ないシーンを止めているシーンを見ることができたので良かったと思います。またゲームに取り組む姿勢というのも負けていてもずっと声を出している。キャプテンシーも発揮してくれるんじゃないかと思って選びました。野寄クンは1対1で仕掛けられる個というのと1対1のところで粘り強く頑張ってプレーする、また負けん気の強さもプレーに表れていたので、国際大会とかやる時には一番ハート強いヤツじゃないと戦えないので。彼からはハートの強さの部分が見えた。1対1などの技術の高さ、それプラスハートの部分も見えたので学年に関係なく選びました」

―彼らは宮本恒靖監督の下、世界と戦います。エールを
「いい選手を選んでいるので、負けたらツネ(宮本)のせいです(笑)」

(取材・文 吉田太郎)

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