beacon

原口「今までとは違う」手応え

このエントリーをはてなブックマークに追加

 ゲーム形式の練習で1本目は左サイドハーフ、2本目はFW南野拓実とポジションを入れ替えてトップ下に入ったFW原口元気(浦和)。サイドでのプレーでは「今まではよく分かっていなかったところもあったが、今回はそこを含めて動き方がだいぶん整理できている。呼ばれた回数はサイドでは一番多いと思うので」と手応えを口にした。

 ザック戦術でサイドハーフの選手に要求されるのは、まずはいったんワイドに張るポジションを取ることだ。反対に浦和ではファーストポジションが中に設定されていることから、これまでの原口は練習中にザッケローニ監督から動き方を注意されることも少なくなかった。

 加えて、原口がうまく対応できていなかったのは「パス&ゴー」の動き。「出して動くという基本的なことを多くやることを求められているのだけど、僕の場合、普段からのプレーのクセで止まってしまうことがあった。でも今年はチームでもそれを意識している。パス&ゴーは一番大事」と、ワンランク上のスタイルを見せることができていると力を込める。

 さらには、足元だけでなく裏を取る回数も増やしており、ザッケローニ監督からは、「動き方が良くなっている」とお褒めの言葉をもらった。

 初めて代表候補合宿に呼ばれたのは11年8月だった。11年9月からは“候補”が取れて代表合宿にも呼ばれ始めた。これまでに呼ばれた回数は、代表選手としての合宿が6度、代表候補としての合宿が今回で4度目。豊かな才能はだれもが認めるところで、Jで不調でも呼ばれることがあった。指揮官の期待が高かったのは確かだ。

 しかし一方で、戦術への対応で柔軟性に欠ける面があったのも否めず、「成長していない選手」として名指しで指摘されたこともあった。

 今回は「ラストチャンス」との覚悟が強い分、周囲にはあえて目を向けていない。自分がやるべきこと、示すべきことに集中している。「みんなの雰囲気の違いは分からないけど、僕の気持ちは違う。最後の合宿ですから」と言う。

 9日には大学生との練習試合がある。「このチームのコンセプトをこれだけ理解しているよということを見せること。今までと同じでは定着してこられなかったわけですから、いろいろ考えてやってきた部分をプラスアルファで出すことが一番大事なことだと思っている」。原口の目に力が入った。

(取材・文 矢内由美子)

TOP