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1トップで出場の豊田と川又は明暗分かれる

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[4.9 練習試合 日本代表候補2-0流通経済大]

 1トップ争いは明暗を分けた。前半、1トップで先発したのは昨年7月の東アジア杯以降、コンスタントに代表に招集されているFW豊田陽平(鳥栖)。前半17分、MF青山敏弘の縦パスからシュートを狙うが、GKの正面を突き、同24分にMF高萩洋次郎の右クロスに合わせたボレーシュートもゴール上に浮いた。

 チームとしても無得点のまま前半を終えると、フィールド選手を総入れ替えした後半は日本代表候補初選出のFW川又堅碁(新潟)が1トップに入った。後半6分、DF塩谷司の右クロスからフリーで合わせた右足ボレーは浮かしてしまったが、同30分にDF鈴木大輔の右クロスからニアでFW南野拓実がそらしたところに飛び込み、体を投げ出しながら左足で蹴り込んだ。

「ただ単に点を取っただけ。もうちょっと顔を出せる場面はあったし、もっとゴールに向かうプレーを出したかった」。ゴールを決めた川又は素っ気なかったが、豊田は明らかにライバルを意識していた。

「ちょうどゴールのシーンは(ロッカールームに)入っていて見てなくて……」と言いながらも、「クロスからとは聞いた。(鈴木)大輔が上げたとか」と情報は耳に入っていたようで、「争っているFWのメンバーが点を取ったというのは、悔しいというのはないけど、僕も前半にチャンスがあったし、決め切らないと。勝負の世界なので、そこは大事だなと」と、自分自身が無得点に終わったことをあらためて反省した。

 1トップのポジション争いではFW柿谷曜一朗とFW大迫勇也の2人がリードしているのは確かだ。この2人に割って入るか、あるいは3人目の枠でW杯メンバーに食い込むか。いずれにせよ、ブラジル行きの切符をつかみ取るには、Jリーグでも突出した結果を残し続けるしかない。

 初の代表候補合宿を終えた川又は「すごく刺激になったし、勉強になった。もっともっとサッカーがうまくなりたいと思ったし、またここに戻ってきたい」と、充実した表情を浮かべた。一方、チームコンセプトの理解度という点では川又をリードしている豊田。「最善を尽くすために来たし、悔いの残らないようにと思って来た。(悔いが)ないと言ったら嘘になるけど、今日で決まるわけじゃない。引き続きアピールしないといけないし、そういう思考、メンタルで最後までアピールしていきたい」と、気持ちを切り替える。

 川又が「体の向きだったり、ゴールとボールが見える位置というか、そういうのは意識してやれた。それをチームに持って帰って、最近点を取っていないので、今日のゴールで勢いに乗って、リーグ戦につなげたい」と話せば、豊田も「あとは点だけだった。感覚的には引き続き、いいものがある。次のJリーグで取れそうな予感はある」と自信を見せる。ゴールという形で結果が如実に表れるストライカー。W杯メンバー発表まで残り1か月、Jリーグでの“競争”がさらに激しさを増しそうだ。

(取材・文 西山紘平)

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