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[MOM297]筑波大DF車屋紳太郎(4年)_川崎F内定、攻守でピッチを支配するCB

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.16 関東大学リーグ1部第3節 筑波大 1-1 東京国際大 たつのこフィールド]

 強豪・川崎フロンターレ入りを決めた大学サッカー界を代表するCBが攻守両面で印象的なプレーを見せた。筑波大CB車屋紳太郎(4年=大津高)は今月12日に早くも来季の川崎F内定が発表された注目DF。J5クラブが争奪戦を展開していた車屋は大学サッカーに集中したいという考えと、自身の決断が長引くことで各クラブに迷惑をかけたくないという思いもあってこの時期に進路を決めた。熊本の名門・大津高、筑波大とともにプレーしてきたMF谷口彰悟やDF山越享太郎という先輩たちがプレーしていること、川崎Fの攻撃的なサッカースタイルもあるが、川崎F入りを決断させた最も大きな理由は筑波大でも1年強の期間指導してもらっている風間八宏監督の存在だという。「(風間監督による)人が見ていて楽しいというサッカーが一番。自分もそういうサッカーが好きだし、面白いし、観客も見ていて面白いと思う。(筑波大で風間監督の下)1年の頃からやっていてそれが好きでした。風間さんの下でもう一度やりたいというのが一番大きかったですね」

 CBという守備の要のポジションでありながら、まるでボランチや左SBかのように敵陣のアタッキングゾーン、PA近くで積極的に攻撃に関わる。そしてドリブルで簡単にDFのマークを外し、パス交換しながら守備網を深く切り裂いていく姿は痛感だ。この日は得点に絡むことはなかったものの、CBの位置から再三ドリブルで攻め上がると後半16分にギャップをつく好パスで得点機を演出したほか、左足から繰り出すサイドチェンジなどで攻撃をコントロール。試合終盤は司令塔のように非常に多くボールに絡み、チームメートに声をかけながら1点を目指し続けていた。

 守備面は後半43分にCKから失点。不安定だったセットプレーでの守りのズレを修正することができなかったことを悔やんだ。ただ強力FW福島遼ら相手アタッカー陣に1対1へ持ち込まれても、相手の足からわずかにボールが離れる瞬間を見逃さずに引っ掛けてすぐに自ら攻撃をスタート。ピンチの芽はシンプルに摘み取りつつ、奪えるタイミングでは必ずボールを奪取して攻撃につなげていく。視野の広さとクレバーな守り。通称“ピッチの支配者”は攻守両面で目立つ存在だった。

 CBに加えてボランチ、SBなどを器用にこなす万能型。将来、どのポジションを自身の主戦場にしていくのかにも注目が集まる。「今のポジション(CB)をずっとやっているので、CBが自分の勝負するポイントかなと思っている。(相手にとって厄介なドリブルも、Jリーグで)前で受けて相手のDFラインのところでドリブルするというのは、ボクもそんなに抜けていくことはできないと思う。CBで、後ろから上がっていくからドリブルできる」と自己分析。最終的にはチームの判断次第だが、180cm、70kgのDFは現時点ではCBでの勝負を希望している。

「(マッチアップしてみたい相手は)佐藤寿人さん。どんなレベルなのか。一回戦ってみたいところがあります。(理想とする選手像は)頭がいい選手というか、ただ上手いというのではなくて、状況に応じたプレーができる選手。その部分を追及出来たら自分ももっと上にできると思っている」と車屋。早々に進路を決めた注目DFは大学最終年へ向けて「筑波が勝つことが第一。自分が特別な存在になるとかそういう考えはない。自分がやるべきことをただやるというだけですね。安定してパフォーマンスを発揮したい」と誓った。

(取材・文 吉田太郎)
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