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[関東1部]「1-0で勝つ」堅守とスーパーゴール!流通経済大が明治大との強豪対決制す

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[4.16 関東大学リーグ1部第3節 明治大 0-1 流通経済大 たつのこフィールド]

 JR東日本カップ2014第88回関東大学サッカーリーグ戦1部第3節が16日に行われ、昨年の総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント決勝の再戦、同王者・流通経済大明治大との一戦はFW富樫大介(3年=鶴岡工高)の決勝ゴールによって流経大が1-0で勝った。

 ともにリーグ優勝を狙う強豪同士が激突した序盤戦の大一番。両チームは今季ここまで1勝1敗で、敗れれば上位との差が開くだけに互いに「負けたくない」という心理がプレーにも表れた試合だった。流経大は昨年の総理大臣杯“得点王”のMF江坂任(4年=神戸弘陵高)が負傷離脱中。だが広島・森保一監督を父に持つMF森保圭悟(3年=広島ユース)が負傷から復帰して今季初出場したほか、多数のJリーガーを育てている中野雄二監督が「ミスがほとんどない。いろいろな種類のボールを右左関係なく蹴ることができる」と称賛する1年生の10番MF野口翼(広島ユース)や昨年の全国高校総体得点王の1年生FW立花歩夢(流通経済大柏高)らが先発した。主力組は開幕後の9日に日本代表候補と練習試合を行うなどゲームの多いチームスケジュールの中で疲れの見えてきている選手もいるが、指揮官が「きょうはどういう内容でも負けたくなかった。ある意味、アグレッシブというよりも慎重になった。勝つなら1-0だった」というサッカーを実践する。

 一方の明大は大黒柱の全日本大学選抜FW和泉竜司(3年=市立船橋高)が怪我のために長期離脱中。開幕から苦しい陣容での戦いを強いられているが、前節はFW苅部隆太郎(4年=川崎F U-18)の2ゴールなどによって4-1で桐蔭横浜大を下し、勢いに乗って流経大戦を迎えていた。この日ほぼパーフェクトな対応を見せていた全日本大学選抜CB山越康平(3年=矢板中央高)を中心にディフェンスが安定し、攻撃面では再三右サイドからオーバーラップした全日本大学選抜SB室屋成(2年=青森山田高)がクロスへと持ち込んでいく。前半は20分に左サイドを切れ込んだFW矢島倫太郎(4年=浦和ユース)の折り返しにMF藤本佳希(3年=済美高)が決定的な形で飛び込み、32分にも敵陣でインターセプトした藤本がドリブルシュート。MF差波優人(3年=青森山田高)のゲームコントロールからFW石原幸治(4年=市立船橋高)のスピードなども活かして攻める明大は42分には苅部のポストプレーから矢島が右足を振りぬくなど押し込んだ。

 明大は後半も10分に藤本のラストパスからPAへ潜り込んだ苅部が右足を振りぬき、12分には差波が右足ボレーでゴールを狙ったほか、室屋が右サイドからシュートシーンに絡んできていた。ただ神川明彦監督は試合後、押し気味の展開とはいえ、リードもしていないのに「きょうは行ける」という油断が出てしまっていたことを指摘。また指揮官が「どうしても勝つんだいう姿勢」がやや欠けていたことを課題に挙げていたように、この日鋭い読みと速さを活かしたカバーリングなど抜群の働きを見せていたCB川崎裕大(4年=成立学園高)とDF藤原雅斗(2年=C大阪U-18)、DF鈴木翔登主将(4年=流通経済大柏高)の3バックやMF古波津辰希(3年=流通経済大柏高)が「絶対にゴールを守る」という気迫伝わる流経大から明大はゴールを奪うことができない。

 逆に流経大は前半こそシュート1本に終わったものの、後半は湯澤のカットインからの右足シュートや野口のスルーパスからMF西谷和希(3年=鹿島学園高)が放った決定的な左足シュートなどで巻き返すと、明大が前線2人を同時に入れ替えた1分後にスコアを動かす。後半31分、流経大は右サイドのハーフウェーライン付近でボールを持った富樫がドリブルを開始。DFにプレッシャーをかけられながらもひとりでPAまでボールを運んだ富樫がそのまま左足シュートをゴール右隅へねじ込んだ。筋骨隆々の肉体を持つレフティー、“流経大のフッキ”が決めたスーパーゴールで流経大が待望の1点を奪った。

 この後は「1-0で勝つサッカーを目指している」(中野監督)流経大の守備陣がゴールを死守。明大は左FKのこぼれ球に交代出場のFW土居柊太(1年=浜松開誠館高)が反応するなどチャンスがあったが、最後まで流経大ゴールを破ることができず。流経大の左MF湯澤と明大の右SB室屋、流経大の右MF富田湧也(4年=流通経済大柏高)と明大の左SB高橋諒(3年=国見高)のそれぞれの攻防戦など見応えのあった戦いは、「DFが失点ゼロで抑えてくれていたし、監督に1点取ってこいと言われていた」という富樫の一撃と「ムラッ気があったけれど4年生になって冷静に対処してくれている」と中野監督も目を細める川崎を中心とした堅守で流経大が強豪対決を制した。

[写真]後半31分、流通経済大は富樫が決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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