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[関東大会予選]夏冬全国出場の3年前に匹敵する個と選手層、東久留米総合が選手権全国8強の修徳撃破

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[4.20 関東大会東京予選準々決勝 修徳0-3東久留米総合 駒沢第2]

 平成26年度高校サッカー関東大会東京都予選は20日、準々決勝を行い、1月の全国高校選手権8強の修徳高と昨年の関東大会予選優勝校、東久留米総合高が激突。東久留米総合が3-0で快勝し、駒場と対戦する準決勝へ進出した。

 主力のひとりとして全国8強を経験した10番MF小野寺湧紀(3年)やFW宮腰一生(3年)ら今年も実力者を擁す修徳は、2年生5人を先発起用する若い陣容。対する東久留米総合は、この都立高校を夏冬の全国大会に導いている齋藤登監督が「個々の能力が高いですね。そんなにいい選手がウチに来るわけじゃないですけど、その中でも3年前(夏冬)全国に出た3期生のタレント性に比べても、個の能力の高さに関しては同レベルくらいになっていると思います」と評価している期待のチームだ。T2リーグ(東京都2部リーグ)で5勝1分の成績を収めるなど今季公式戦無敗で、実際に前評判も高い。修徳が決定機を活かしていれば結果はまた違う形になったかもしれないが、それでも東久留米総合は中盤の柱であるMF大畑和樹、FW今村優太(ともに3年)という核の選手2人を欠きながらも、攻守両面でポテンシャルの高さを発揮して快勝した。

 序盤は修徳が何度かクロスをPAへ入れるが、2年生の大型GK井上大地がはじき出すと、この後試合のペースはスローダウンした。「もっと強くプレッシャーが来ると思っていた」という東久留米総合・齋藤監督に対して修徳は、ブロックの中に入ってきたボールを抜群の高さを見せていたCB河野哲志(3年)らが跳ね返す構え。なかなか出てこない相手に対し、東久留米総合は野田竜太と柴田寛生の両CBと10番MF小島樹(全て3年)の3人を軸に自陣でゆっくりとボールを動かし、タイミングよくスペースへ飛び出すFW朝倉一寿やMF保池瑶(ともに3年)へ配球する。ただボールを握っていた東久留米総合もリスクを嫌ってか、思い切ったパスを出すことができず、両校がかみ合わないまま序盤戦は終了。それでも前半半ばを過ぎるとセカンドボールをいい形で拾った修徳がカウンターから少ない人数でPAまでボールを運び出したこともあり、互いにシュートシーンが増えていく。

 修徳は20分に宮腰、FW星尚人(2年)とつなぎ、最後は小野寺が中央から右サイドへ流れながら右足を振りぬく、さらに27分にも小野寺が個人技でPAの守りを切り崩して左足シュート。注目アタッカーがその技巧を見せつける。一方の東久留米総合も34分に「白井ツインズ」の一角、FW白井穂(3年)が局面を個で打開して左足シュートを放つなどゴールを脅かす。迎えた39分、スコアを動かしたのはセットプレーだった。東久留米総合は相手ハンドで得た左FKでキッカーの左SB勝又勇祐(3年)が左足で中央へ入れると、修徳DFの甘いクリアを野田がダイレクトでゴールへ押し込んで先制点した。
  
 後半の立ち上がりは攻撃にダイナミックさが出てきた修徳が巻き返す。7分にPAのこぼれ球を宮腰が左足で叩くなど、クロス、ロングボールのセカンドボールを拾ってチャンスへ結びつける。だが、東久留米総合は12分、PAで抜群のキープ力を披露した保池が左サイドで2人、3人と振り切ってラストパス。これを朝倉が左足1タッチでゴールへ沈めて2-0とした。

 1点目はアンラッキーだったが、守りを崩されて痛い2点目を献上してしまった修徳は、河野を前線へ移して反撃する。20分には左サイドからのパスを受けた河野がゴールエリアからプッシュするが、東久留米総合CB柴田がスーパークリア。逆に右MF白井薫(3年)らがサイドの深い位置で仕掛けてCKを獲得する東久留米総合は23分、CKのこぼれ球を柴田が右足で叩いた一撃が相手のハンドを誘ってPKをゲット。この絶好機を小島が難なく右足で決めてリードを3点へ広げた。

 修徳は33分にもFW大畑雄亮(2年)のスルーパスから河野が決定機を迎えたが、東久留米総合は再び柴田が素晴らしいクリア。修徳は戦意を落とすことなく、最後までオープン攻撃から1点を狙い続けたが、終盤は東久留米総合攻撃陣が非常に活き活きとしたプレーで決定機を連発する。小島、MF後藤勇也(3年)がボールを左右へ捌き、齋藤監督が「元々先発させてもいいくらいの能力を持っている」という交代出場の高速アタッカー、FW川上翔(3年)が抜群のスピードで決定機をもたらせば、野田が空中戦の強さを発揮してクロスバーを叩くヘディングシュート。修徳はGK久保井将(2年)の好守でこれ以上の失点は許さなかったものの、関東大会への挑戦はここで幕を下ろした。

 連覇に前進した東久留米総合。ただ齋藤監督は「昨年は関東で勝ってその後(総体、選手権は)コケちゃいましたから、それじゃいけない。選手たちには今キミたちはいい経験できているよねと。もっともっと先にある目標のために中で今はベースづくりになっている。そういうことを随時言っています」。目標としている選手権、高校総体で全国へ進むためにこの関東大会予選、本大会で少しでも多くの経験を積んで大目標達成に繋げる。

[写真]前半39分、東久留米総合は先制ゴールを決めた野田(右端)中心に喜びを爆発
(取材・文 吉田太郎)

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