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[MOM1017]駒澤大高MF鈴木隆作(3年)_50m超のスーパーゴールも決めた急成長中の頭脳派MF

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.20 関東大会東京予選準々決勝 葛飾野高 1-6 駒澤大高 駒沢第2]

 ハットトリックを達成したFW安藤丈や抜群の突破力を披露した左SB吉田一貴ら後半、大野祥司監督のゲキでギアを上げた駒澤大高の各選手たちだったが、特に印象的なプレーを見せていたのがボランチに入っていたMF鈴木隆作(3年)だ。細身のMFだが、前半に左足の絶妙なキックでMF山口将広の決定機を演出したかと思えば、右足でもプレースキックなどから次々と質の高いボールを蹴りこんでいく。また「ボランチがセカンドを拾わないと攻撃も始まらない。常に自分がセカンドを拾うことを意識しています」というMFは反応良くセカンドボールを拾い、得意というインターセプトなど守備面でも貢献度は高かった。そしてハイライトは2-0の後半16分に自陣から決めた約50mのスーパーゴールだ。

「前半、GKが結構高い位置にいた。ボール持ったら後ろでも狙っていこうと思っていた」と鈴木。中学時代から常にGKの位置を見て意表を突くゴールを狙っていたというMFが放った超ロングシュートは、狙い通りに素晴らしい軌道を描くと、GKの頭上を越えてそのままゴールへ吸い込まれた。スタンドからの喝采を一身に浴びた鈴木は笑顔でチームメートたちとハイタッチ。「相手が食いついてきたら股とか狙ったり、アイディアも意識している」という鈴木については、ハーフタイムにメンタル面を厳しく指摘した大野祥司監督も「最高学年になってからぐんと出てきた。それまでも多少技術はあったんですけど(コンタクトが弱くて)潰されちゃって、とてもじゃないけれどトップチームのレベルではやれなかった。でもセンスはあったし、ポジショニングやインターセプトなんかもずる賢いので。あのゴールも狙っていましたね」と微笑んでいた。

 相手の裏をかく頭脳的なプレーの数々とそれを実現させる技術の高さを併せ持つ注目MF。以前は監督の指摘通りに局面で潰されてしまい、また守備もできなかった。というよりも、トップ下を主戦場としていた1年前までは守備を徹底してやっていなかったという方が正しい。それが自分自身が高い位置でボールを奪うことによって、チームのチャンスや、自分の攻撃力を活かす機会が増えることを実感。より守備を求められるボランチに移り、その視野の広さや読みの深さを守備面でも活かせるようになった。この冬まではレギュラーではなくA2メンバーだったというが、遠征での活躍を認められ、そしてポジションを奪取。今や攻守のキーマンになりつつある。

「トーナメントで勝つには気持ちの部分が大事。気持ちを入れてやりたい。まず守備で活躍して、攻撃でもロングパスや縦パスなどで絡んでいくように。隙があったらミドルシュートなど狙っていって点にも絡んでいけるようにしたい」と鈴木。動画サイトのyoutubeでクロアチア代表のルカ・モドリッチやスペイン代表のシャビ・アロンソ、元フランス代表のクロード・マケレレといった偉大なボランチたちの映像を見て研究しているというMFは攻守でより、多彩なイメージをもってピッチに立つ。この日はやや守備面や球際での準備不足があり、後半はミスパスが失点につながってしまった。まずはしっかりと反省して繰り返さないこと。そして次の試合ではより強い心をもって攻守両面で自分の良さを出してチームを勝利へ導く。

(取材・文 吉田太郎)

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