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防衛大、ゴール防衛で決勝Tに一番乗り:全国自衛隊サッカー大会

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 全国の自衛隊基地・駐屯地で活動するサッカーチームの日本一決定戦「第48回全国自衛隊サッカー大会」は、22日に駒沢オリンピック公園で男子の部予選ラウンド第2日を行い、初出場の防衛大学校が9-0で海上自衛隊舞鶴基地(海自舞鶴)を下して2連勝を飾り、決勝トーナメントへ一番乗りを果たした。

 防衛大は、これまでは参加していなかったが、他の部活動では全国自衛隊大会に参加していることを知った選手たちが、参加を希望。小圷昭仁監督は「これまでは学生扱いだから出場資格はないのではないかという見解だったようだけれど、彼らは自衛隊の隊員に間違いないので確認をしたところ、大会参加が認められた」と初参加の経緯を明かした。前日の空自岐阜戦では、初戦で動きが硬かったこともあり、5得点で勝ったものの2失点。主将の福井大介は「僕たちは無失点を貫くのが、コンセプト。まず、ボールを奪うことが大事。修正したい」と課題を挙げていた。防衛大は、神奈川県大学リーグに所属。リーグ戦では格上の大学と対戦するため、守備に重点を置いているという。チーム名にふさわしい防衛スタイルとなったのは置かれた環境による偶然だが、この日はミスから生まれた決定的なピンチをGKの好守で防ぐなど、ゴールを守り通した。

 30代の選手も多い社会人大会のため、学生の豊富な運動量は大きな武器となる。左サイドのアタッカー伊藤駿(小松高出身)が「ここまでの2試合では、個々の能力は大きく変わらないけど、練習量が違うからか、組織力や守備力は学生リーグの方が高い印象。こちらがパスを回していると崩れてくれる感触がある。余裕を持ってプレーすることができている」と話すように、2試合で14得点と普段よりも伸び伸びとした攻撃を見せている。右MF平野侑(佐世保西高出身)は「初めての大会なので不安が大きくて、昨日はみんなが緊張していたが、チャレンジャーらしく思い切り戦っていきたい。大学生は運動量が多いので、対抗するために走り込んでいる。その部分は、この大会での強み。走り勝つところは、胸を張って全力で当たりたい」と意気込んだ。今後は、普段よりも攻撃ができる分、守備に緩みが出ないかどうかが躍進の鍵を握るだろう。伊藤は「自衛隊という枠ではあるけれど、全国大会はなかなか経験できない。そこで1番になることが目標」と初出場初優勝を目標に掲げた。

 そのほか、強豪チームが初戦を迎えて白星を飾った。前回優勝の航空自衛隊入間基地第3補給処(空自3補)は、8-3で空自千歳に勝利。前半は相手の粘りに手を焼いたが、米子北高(鳥取)出身で2011年度に行われた第90回全国高校サッカー選手権で得点を挙げているFW真木基希士長が奪った2ゴールを皮切りに大量点を奪った。真木士長は「挑戦するという気持ちに変わりはなく、前回優勝しているからという気負いはない。3失点という課題が初戦を勝った中で出てきたことは良かったと思う」と一戦必勝の構えを強調した。

 また、史上最多16度の優勝を誇る海自厚木マーカスも6-0で海自八戸に大勝した。連覇を狙った前回大会では、準決勝の終了寸前に同点弾を許してPK戦で敗退。3位決定戦でも敗れ、4年ぶりに上位3チームに与えられる次回全国大会のシードを逃す屈辱的な結果となった。山崎裕貴監督は「開会式には全員を参加させた。優勝トロフィーを返還するわけでもなく、ただ見ているだけの式で、意味を感じ取ってほしかった。黙って取り返す。それだけ」と王座奪還に強い決意をのぞかせた。主将の坂倉光雄2曹も「負けてからの1年、その意味を背負って来た。この大会でしか取り返せないので、今年は何としても(優勝を)奪還する」と静かに闘志を燃やした。

 予選ラウンドは3チームずつ8組に分かれて総当たり1回戦を行い、各組1位が25日から始まる決勝トーナメントへ進む。23日は、8試合が行われる。


■第2日(4月22日)・結果

<予選ラウンドD組>
海自八戸 0-6 海自厚木マーカス
<予選ラウンドG組>
海自大村 5-0 空自美保
<予選ラウンドE組>
空自3補 8-3 空自千歳
<予選ラウンドH組>
海自下総 7-1 空自芦屋
<予選ラウンドF組>
防衛大 9-0 海自舞鶴
<予選ラウンドA組>
陸自滝ヶ原 0-2 陸自習志野
<予選ラウンドB組>
陸自札幌 0-1 空自築城
<予選ラウンドC組>
陸自神町 0-5 海自徳島


■第3日(4月23日)・予定
<予選ラウンドG組>
空自美保 vs 空自那覇(10:00、駒沢第2)
<予選ラウンドD組>
海自厚木マーカス vs 海自岩国(10:00、駒沢補助)
<予選ラウンドH組>
空自芦屋 vs 陸自北熊本(12:00、駒沢第2)
<予選ラウンドE組>
空自千歳 vs 海自鹿屋(12:00、駒沢補助)
<予選ラウンドA組>
空自小松 vs 陸自習志野(14:00、駒沢第2)
<予選ラウンドF組>
空自岐阜 vs 海自舞鶴(14:00、駒沢補助)
<予選ラウンドC組>
空自熊谷 vs 海自徳島(16:00、駒沢第2)
<予選ラウンドB組>
厚木A.N.F.C. vs 空自築城(16:00、駒沢補助)


■予選ラウンド成績(第2日終了時)

空自小松 0勝0分1敗(得失点差-2)
陸自滝ヶ原 1勝0分1敗(得失点差0)
陸自習志野 1勝0分0敗(得失点差2)

海自厚木A.N.F.C. 1勝0分0敗(得失点差5)
陸自札幌 0勝0分2敗(得失点差-5)※敗退
空自築城 1勝0分0敗(得失点差1)

空自熊谷 1勝0分0敗(得失点差2)
陸自神町 0勝0分2敗(得失点差-7)※敗退
海自徳島 1勝0分0敗(得失点差5)

海自八戸 0勝0分1敗(得失点差-6)
海自厚木マーカス 1勝0分0敗(得失点差6)
海自岩国 0勝0分0敗(得失点差0)

空自3補 1勝0分0敗(得失点差5)
空自千歳 0勝0分1敗(得失点差-5)
海自鹿屋 0勝0分0敗(得失点差0)

空自岐阜 0勝0分1敗(得失点差-3)
防衛大学校 2勝0分0敗(得失点差12) ※予選突破
海自舞鶴 0勝0分1敗(得失点差-9)

海自大村 1勝0分0敗(得失点差5)
空自美保 0勝0分1敗(得失点差-5)
空自那覇 0勝0分0敗(得失点差0)

海自下総・館山 1勝0分0敗(得失点差6)
空自芦屋 0勝0分1敗(得失点差-6)
陸自北熊本 0勝0分0敗(得失点差0)

※陸自=陸上自衛隊、海自=海上自衛隊、空自=航空自衛隊

[写真]3点目を決めて喜ぶ防衛大学校FW石井優帆(仙台一高出身)

(取材・文 平野貴也=フリーライター)

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