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体調不良を押して先発の大久保が決勝点「帰って寝込みます」

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[4.22 ACLグループリーグ第6節 川崎F3-1蔚山現代 等々力]

 体調不良を押して強行先発した川崎フロンターレのFW大久保嘉人がチームの決勝点となる貴重な追加点を奪った。FW小林悠の先制点から2分後の前半34分、MF森谷賢太郎のスルーパスに抜け出すと、「テンポも良くて、(森谷)賢太郎が思いどおりの速いパスをくれた。トラップに集中できた」と、左足のトラップから冷静に右足でゴール左隅に流し込んだ。

 得点後は派手なガッツポーズを見せず、駆け寄ってくるチームメイトを抑えるようなジェスチャーも見せた。「韓国で起きた事故のことを考えると、あまりにもかわいそうで、喜べなかった」。韓国南西部の珍島沖で沈没した旅客船「セウォル号」の事故に配慮し、パフォーマンスを自粛した大久保。体調不良で練習を欠席した前日21日も、自宅で静養しながらテレビで事故の報道ばかりを見ていたのだという。

 体調は回復していなかった。「やばいっす。熱はないけど、節々が痛くて、鼻も詰まって、めまいや咳もある。ダッシュもできないし、ぶつかられると痛いから、接触プレーはできるだけ避けようと思っていた」。試合出場は当日の朝まで悩んだ。「朝もどうしようか迷った。出発するまで寝ていたから。『9時までに連絡してくれ』と言われていて、迷って連絡した」。最終的には強行出場を選んだ。

「8年ぶりぐらいに風邪を引いた。風邪は自分が悪い。今日やって、明日寝込めばいいやと思った」。最悪のコンディションの中、2トップの一角で先発し、ゴールも決めた。大久保にとっては、これがACL初ゴール。後半38分までプレーし、チームの勝利とグループリーグ突破に大きく貢献した。

 5月7、14日の決勝トーナメント1回戦に向けては「1試合1試合、大事に戦っていきたい。でも、ACLはまだ先。今はまずJリーグに力を入れたい」と、目の前の試合に集中する。4日後の26日にはホームでのG大阪戦が控える。「帰って、寝込みます」。1日でも早く体調を戻し、週末もチームのためにプレーするつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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