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[プレミアリーグEAST]プレミアリーグ初の「柏ダービー」流通経済大柏が魂の勝利!!

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[4.27 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 柏U-18 0-1 流通経済大柏高 日立柏総合グラウンド人工芝]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグEASTは27日、第3節を行い、昇格組の柏レイソルU-18と昨年日本一の流通経済大柏高(ともに千葉)とが激突した「柏ダービー」は、流経大柏がCB小川諒也(3年)の決勝PKによって1-0で勝った。

 試合会場の日立柏総合グラウンド人工芝の周囲には二重三重の人、人、人。ホーム・柏U-18の下平隆宏監督が「初めてなので、この人工芝にあんなに人が入ったのは。ミーティングする場所考えないといけないなとまず思ったほど。いつもと同じようにできない。ボクもいい経験したなと」と驚いたほど注目を集めた柏ダービーは、本田裕一郎監督が「きょうの収穫は勝てたことだけ。しかもゼロで。(本音を言うと)後半何点ぶっこまれるかなと。そんなこと思ったことないけれど、違い過ぎた」と振り返る劣勢を耐えきった流経大柏が勝利。特に後半は柏U-18にポゼッションで圧倒され、前線、中盤、最終ラインと各ポジションに足を攣らせる選手が出た。ただ、交代した選手が「もう走れません」と言い切ってピッチを後にするほど、それぞれが100パーセントの力を出し切った流経大柏が魂の戦いで勝ち点3をもぎ取った。

 試合終了とともに歓喜を爆発させた流経大柏の赤いユニフォーム。一方、柏U-18には涙を流す選手もいたほどだった。ともに高校サッカー部、Jクラブユースを代表する強豪であり、なおかつ好選手を輩出している両チーム。プレミアリーグでは初めて顔を合わせたが、以前から互いが意識し合っていたという熱いライバル対決は、約150人の部員全員が応援に駆け付けて大声援を送る流経大柏が、本田監督からの「とにかく距離を短くしろと言ったことと、プレスをかけられるだけかけてみろと。あとは走れなくなったら終わりだよ」という指示通りに強烈なプレスで主導権を握る。この日、FW大島康樹とFW会津雄生がU-18日本代表のスロバキア遠征で不在の柏U-18は相手の勢いを受けたと同時に、MF中山雄太主将(3年)が「(相手の応援の声や周囲の雰囲気で)内面的にもプレッシャーがかかっていた。(それぞれが)自分に打ち勝てなかった」。流経大柏はプレスバックが速く、また奪えるチャンスと見るやFW高沢優也とFW福井崇志(ともに3年)をはじめとした選手たちが迫力ある動きで追い回してくる。柏U-18は主将が分析した通り、気迫の面で相手に劣り、ゲームを自分たちのペースで落ち着かせることができない。

 流経大柏は前半12分、右コーナー付近でプレッシャーをかけたMF渋谷峻二郎(3年)が身体に当ててインターセプト。注目司令塔MF相澤祥太(3年)から福井へとつなぎ、福井が右足シュートを放つ。さらに14分にはカウンターから左中間で福井のパスを受けた高沢が左足アウトサイドの技ありシュート。そして、18分に先制点が生まれる。敵陣左サイドでインターセプトした流経大柏はすかさず速攻。高沢とのワンツーで左サイドを縦に切れ込んだSB久保和己(3年)がクロスを上げると、これをニアサイドにいた柏U-18DFがハンドを犯し、流経大柏にPKが与えられる。これを小川が左足でゴールへ沈めて流経大柏が先制した。

 ボールを握っているものの、なかなか敵陣の深い位置までボールを運べなかった柏U-18も、CBが相手の圧力から距離を取り、GK木村真(3年)もボールを落ち着かせるなど、時間をかけて攻撃。前半34分には右SB熊川翔(3年)がフリーでゴールライン際までえぐり、ラストパスを入れるなど、本来のリズムを取り戻していた。そして後半はほとんどの時間が流経大柏陣内での戦いに。流経大柏は前線、中盤の運動量が減ってプレスがかからず、サイドを何度も取られてクロス、折り返しまで持ち込まれた。ただ、明らかに運動量が落ちて疲弊した表情を見せる流経大柏だったが、前線からPAまで戻って守備をする高澤や相澤とMF伴恭輔(3年)のダブルボランチらが必死に相手に食らいつくと、ラストパスを小川やCB山田健人(3年)が身体を張って跳ね返していく。

 柏U-18は4分、右サイドのPA付近でインターセプトすると、FW白川恵士朗(2年)からのラストパスを受けた中山が左足シュート。その後も左サイドからSB麦倉捺木(3年)が再三クロスへ持ち込み、右の熊川と白川が敵陣の深い位置から仕掛けていく。そしてPA手前でフリーとなったMF山本健司(3年)や中山にシュートチャンスが訪れた。ただ、10分、26分に山本が放った左足ミドルが枠を外れ、35分に麦倉の左クロスのこぼれ球に反応した中山の決定的な右足シュートも枠を捉えられない。攻撃にやや工夫も欠いて1点が遠い柏U-18に対し、流経大柏もMF新垣貴之(3年)がドリブルシュートへ持ち込み、左CKのこぼれ球を高沢が左足で狙うシーンもあったが、こちらも2点目を奪うことができない。

 終盤は柏U-18の猛攻を流経大柏が紙一重で耐える展開。ただ小川が「きょうはみんな集中していた。ほとんど相手のボール支配で、ずっと守備で相当きつかったけれど、ここでゼロに抑えられたのはかなりデカいと思います」と振り返ったように、流経大柏は最後まで集中力を切らさずに守り切った。

 柏U-18の下平監督は「自分たちのボールで主導権を握る、ペースを握る、ゲームの主導権を握るというところではいつもと同じようにできたと思うんですけど、最後の部分では崩し切れなかったことも反省点だと思います。いい意味でつなげないといけない。中には泣いている選手もいた。引いた相手から点を取るということは永遠のテーマなので、どんな相手が来ても出せるように、得点を取れるように」と語り、開幕から2試合連続で2失点しながらもダービーで守り勝った流経大柏の本田監督は「ヘロヘロだったけれど(無失点で守り切ったことは)自信になったでしょう。コイツらにはそういう経験がなかった」。互いの今後の成長にも影響を与えそうなプレミアリーグ初の柏ダービーは、昨年のプレミアリーグ王者・流経大柏の勝利で終わった。

(取材・文 吉田太郎)

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