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“リオ世代”富山FW白崎「うまい選手から怖い選手に」

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 昨年8月、清水エスパルスからカターレ富山に期限付き移籍し、J2で13試合出場4得点を記録したFW白崎凌兵。オフには複数のクラブからオファーを受けながら、期限付き移籍を延長し、富山に“残留”した。今季からエースナンバーの9番を背負う20歳のアタッカーは、2016年のリオデジャネイロ五輪も見据え、J2で2シーズン目の挑戦を始めている。

―今シーズン、なかなかチームとして結果が出ていませんが、シーズン序盤を振り返っていただけますか?
「手応えとしてはそんなに悪くないのですが、結果が出ない状況を悔しく思っています。前線のコンビネーションなどは徐々に良くなってきているのですが、なかなか点を取り切れていません。今シーズンからシステムが変わって、僕自身、まだ多少のやりづらさも感じているので、そういうところがもっと合っていけば絶対に良くなると思っています」

―昨年8月に期限付き移籍で富山に加入し、シーズン途中の移籍という難しさもあったと思います。シーズンの最初から富山の一員として臨む今シーズンに懸ける思いは昨年以上のものがありますか?
「今年はチームの中心としての自覚を持ってやらないといけないと思っています。逆に新しく入ってきた選手がチームに馴染みやすいように声をかけたり、そういうことはキャンプから意識していました」

―今季、期限付き移籍を延長して富山に残ることを決めた理由をあらためて教えていただけますか?
「去年、半年間プレーしてみて、J2でやるべきことがまだたくさんあると思いました。チームを変えるという選択肢もありましたが、安間(貴義)監督と話をして、僕をすごく必要としてくれているというのを感じました。監督の目指しているサッカーというのは、今の順位にいるようなサッカーではないですし、監督の求めているサッカーに到達したい、その力になりたいという思いもありました」

―今季は背番号も9に変わりました。安間監督からの期待も感じるのでは?
「本当は去年と同じ『39』が良かったんですけど(笑)。監督が『9』と言ったので、『9』になりました。39番にこだわりがあったわけではないのですが、去年、付けさせてもらって、個人的に結構気に入っていたので」

―安間監督に求められることも去年から変わりましたか?
「去年はある程度、自由にやらせてもらっていましたが、今年は求められていることも増えたかなと感じています。攻撃に関しては、2トップの後ろに自分が入ることが多いですが、『お前のところで前の2人をコントロールしろ』と言われますし、攻撃も守備も『お前が引っ張っていけ』というのは言われています」

―リーダーシップも求められているということですが、やりがいも感じていますか?
「そうですね。守備と攻撃をつなぐところでバランスも意識するようになりましたし、去年より前線の枚数が1枚増えて中盤が減った分、守備の仕事も増えました。そういう意味では、選手として成長するために、すごくいい機会をもらっているなと思います」

―トップ下とFWでは、どちらのポジションのほうがプレーしやすいですか?
「正直に言うと、今のフォーメーションなら、たぶん前の2枚のほうが自分としてはやりやすいと思います。でも、監督はトップ下というポジションも大事にしています。そこを自分が任されるなら、もっといいプレーを見せないといけません。ゲームをつくって、パスを出して、前線まで走って。運動量も付くと思いますし、ゲーム体力も付くと思います。球際も激しいですし、トップ下で出場しているときは相手のボランチが自分のことをかなりケアしてくるので、そこをいかにかいくぐるか。本当にいろいろ考えながらやっています」

―アシストとゴールでは、どちらのほうがこだわりは強いですか?
「得点はやっぱり取りたいですね。アシストへのこだわりも強いですが、去年の終盤戦にゴールを取り出してから、やっぱりゴールが一番評価されるんだなというのは感じましたし、ゴールを取ることのおもしろさもあらためて感じました」

―安間監督のサッカーは特殊だとよく言われますが、実際に富山に入ってみて、どんなサッカーを目指していると感じていますか?
「まず監督が人として変わっているので(笑)。妥協をしない監督ですね。前から人数をかけて、どんどんゴール前に選手が入っていきますし、攻守の切り替えも速いです。海外のサッカーみたいに、ボールを取られた瞬間にプレスをかけて奪い返しに行って、奪ったら今度は狭い局面でもパスワークで相手を外して速攻を仕掛ける。何よりゴールに向かうというところを一番に考えている監督です。本当に観点がおもしろいですし、『そういう見方もあるんだな』と感じさせられることが多いですね」

―具体的な今季の目標はありますか? 2ケタ得点が目標と答えている記事もありましたが?
「そうですね。個人としては、前の選手として試合に出ている以上、それは必要かなと思っています。チームとして上に行くために、逆算してそれぐらいのゴール数は必要だと思います」

―その目標を達成するために今、一番必要なことは何でしょうか?
「シュートエリアの幅を広げることですね。どこからでもゴールを狙える選手というのは対戦相手にとっても怖いと思いますし、そういう怖さを身に付けたいです。どうしてもパスを選択することのほうが多いのですが、まずシュートを狙うほうが相手は怖いと思います。そこからフェイントでパスに変えるというのは自分にはできると思うので、もっとゴールにこだわっていきたいと思っています」

―そういう意識の変化には何かきっかけがあったんですか?
「世界のトップでやっている選手は、まずシュートを選択肢として持っています。だから怖いんだと思いますし、思いもよらないところからシュートを決めることもできます。それがあるからこそ、ドリブルも生きると思いますし、最初からパスしか考えていない選手は怖くないと思うので、うまい選手から怖い選手になるというか、そういうことを意識しています」

―海外のサッカーはよく見ているんですか?
「富山に来てから、頻繁に見るようになりましたね。安間監督もすごいサッカーを見ているので。スタッフの方に『このチームの試合を録画しておいてください』とお願いすると、DVDに落として渡してくれるんです。監督が本当にサッカーオタクなので(笑)。すごい数の映像を持っているんですよ」

―一人で見るんですか?
「一人で自分の部屋で見たり、監督と一緒に見たりすることもあります。自分たちの試合が終わったら、その試合を一緒に見直すこともありますね。自分が出た試合は2、3回見ています。一人で見て、監督と見て、もう一回、自分で見て。後泊の試合のときだと、ホテルの監督の部屋に行って一緒に見ることもあります」

―監督と一緒に見るというのは、それだけ勉強になるからですか?
「そうですね。前のチームでは外国人の監督だったので、直接コミュニケーションを取ることができませんでした。安間監督は、思ったことをズバッと言ってくれますし、逆にいいことも伝えてくれます。自分がさらに上に行くために必要なことをボソッと言ってくれたりするので(笑)。あまりハッキリと『こうだ!』とは言わない方ですが、そういうのは自分にとってすごく大事ですし、ありがたいですね」

―昨年11月にはU-20日本代表にも招集されました。残念ながらケガで辞退となりましたが、代表への意識はいかがですか?
「昨年もチームで結果を残し始めてから呼ばれましたし、チームで結果を残すことが代表への近道だと思っています。呼ばれたら代表に貢献したいという思いは強いですが、まずはチームでしっかりやることが自分のためでもあるのかなと思います」

―今年1月には手倉森誠監督の初陣となったAFC Uー22選手権もありましたが、テレビで見たりはしましたか?
「(準々決勝で)イラクに負けた試合は見ましたが、あまり見なかったですね。安間監督には『もっと意識しろ』『お前は意識しないとダメだ』と言われましたが……。もちろん、意識していないわけではないんですが、そこに向かう過程として、もっとやらなきゃいけないことがたくさんあると思っています。その結果として、自分が評価されて代表に呼ばれることが一番なので。まずは今、自分がチームでやるべきことをしっかりやりたいと思います」

―2016年のリオデジャネイロ五輪は一つの目標になりますか?
「もちろん、オリンピックには絶対に出たいという思いはあります。そこが僕のサッカー人生のゴールというわけではないですし、通過点だとも思います。でも、そういう素晴らしい大会が自分の代であるということで、そこには絶対に出たいと思っています」

―スパイクについても聞きたいのですが、この「アディゼロ F50」は相当気に入っているそうですね。
「そうですね。もう他のスパイクは履けないですね(笑)。軽いですし、タッチの感覚やフィット感も気に入っています」

―「アディゼロ F50」はいつから履いているのですか?
「高校2年のときからですね。なかなか自分に合うスパイクが見つからなくて、ちょうどそのときに先輩が『アディゼロ F50』を使っていたんですけど、試しにそれを履いてみたら、すごい自分にフィットしたんです。一発で気に入って、それからはずっと『アディゼロ F50』ですね」

―スパイクが軽いと、プレーしていても加速するのを感じたりしますか?
「一歩が出ますね。シュートもすごい当たるというか、強いシュートを打てるイメージがあります。自分の感覚的にすごく良いです」

―今の高校生にも「アディゼロ F50」を履いてもらいたいですか?
「そうですね。でも、これを履いたら、たぶん他のスパイクを履けなくなってしまうので(笑)。いろいろなスパイクを履いてみてから、これにたどり着いてほしいですね。僕もなかなか自分に合うスパイクに出会えなかったんですけど、『アディゼロ F50』は僕の足にピッタリ合いました。それまでは本当にいろんなスパイクを履いていたんですが、もうこれじゃないとダメですね(笑)」

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(取材・文 西山紘平)

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