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「誰がゴールを決めるのか」と自問した柏FW工藤、見事首位を破る決勝弾

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[5.3 J1第11節 柏1-0鹿島 柏]

 6試合ぶりに柏レイソルのエースがネットを揺らし、スタジアムが揺れる。前半45分にFW工藤壮人が右足で決めたこのゴールが、この試合で唯一の得点となった。

 第8節の横浜FM戦の途中でFWレアンドロが負傷すると、以降の試合では工藤が3-4-2-1の1トップを務めている。横浜FM戦は引き分けたものの、以降の試合は3戦全勝。“Wレアンドロ”不在による苦戦が懸念されたが、2人がいた頃よりも結果を残している。工藤はポストプレーや相手DFへのプレッシャーをハイレベルでこなし、アシストも記録したが、ゴールだけは遠かった。

「プレー自体は手応えを感じていた中で、ゴールを取れていないことにもどかしさはあった」という工藤は、首位・鹿島戦に並々ならぬ決意を秘めていた。「負けると(勝ち点)7差、勝つと1差になる状況で、『誰がゴールを決めるのか』と自分自身に昨日から問いかけていて。『そういうときこそ自分なんじゃないか』と意識して試合に臨んだ」。

 冒頭の得点シーン、FW田中順也からのパスを受けた工藤は、PAの外で完全にフリーになった。「(高山)薫くんもいたと思うんですけど、そこでパスを出しているようではFWとしての質が問われる。ゴールを前にしてシュートを打たないのは、僕自身あり得ない」。いくつかの選択肢が想定される中で、迷わず右足を振り抜いた。「布部さん(コーチ)と話して、GKが取りにくいシュートを確認して、いいイメージができていた」。工藤の6試合ぶりのゴールに、次々と選手が集まり、輪になって讃えていた。

「普段言われることはないんですけど、今日は『ゴールを決めてこい』という声をかけてくれるスタッフがたくさんいた。首位との決戦を前に、僕に決めて欲しいという気持ちは伝わってきた。期待を背負ってしっかりと結果を残せたことは、僕自身成長できたと思います」。暫定ながら2位に浮上した柏。5年連続のタイトルへ向けて、エースのゴールはなにより頼もしい。

(取材・文 奥山典幸)

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