beacon

貴重な得点で8戦ぶり勝利をもたらした横浜FM中澤「サポーターが一番きつかったと思う」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[5.3 J1第11節 横浜FM2-0G大阪 日産]

 守備の大黒柱が攻撃でも魅せた。1-0と1点のリードを奪って迎えた後半16分、横浜F・マリノスは貴重な追加点を奪う。左CKの場面でキッカーはMF藤本淳吾。ゴール中央には横浜FMの選手が密集してボールを待っている。そして藤本が左足で蹴り出したボールに反応したのは、フリーとなっていたDF中澤佑二だった。

「セットプレーのときに選手が密集していると、最終的にフリーでボールを受けられることが多い。相手は僕が前に走ると思っていると感じたので、行く振りをしました」との言葉のとおり、DF栗原勇蔵やFW藤田祥史がニアサイドに突っ込んで行くとG大阪の選手がニアサイドに引き連れられ、後方に構える中澤はフリーになった。そしてそこに「淳吾が良い球筋のボールを蹴ってくれたので、僕は決めるだけでした」と語る質の高いボールが送られると、ヘディングで難なくゴールネットを揺らした。

 得点だけでなく、本職の守備でも最後まで集中力を切らさず、今季6度目の完封を達成。11試合8失点と、1試合の平均失点は1点を切っているが、「GKとの1対1の場面を多く作られている。GKが1対1となる機会を減らすのがCBの仕事なので、てっちゃん(GK榎本哲也)が暇になるくらいもっと体を張るようにしないといけない」と反省も口にしている。

 攻守両面で大車輪の活躍を見せ、ここまで7戦未勝利と苦しんだチームに白星をもたらした。勝利から見放された期間を「きつかった」と振り返ったが、「ただ、何よりもサポーターが一番きつかったと思う。毎回、僕らの応援に来てくれて『何で勝ってくれないんだ』という思いがすごく強かったはずです。だから今日の勝利は、GWにわざわざ足を運んでくれたサポーターに良い形で届けられたと思う」と語っている。

 そして、「ようやく1勝しただけです」と久し振りの勝利にも気を緩めることはない。それは、揺るぎない目標があるからだ。「僕らはあくまで優勝を目指しています。だからこの勝利をきっかけに『ここを修正しないといけない』という部分を見つけ、『でも、この部分は良かった』というところをもっと伸ばしていければいい。決してきれいな勝ち方ではありませんでしたが、34試合ある中ではこういう勝ち方も大事だと思う」。昨季、最終節で逃した優勝に向かい、再び走り始める。

(取材・文 折戸岳彦)

▼関連リンク
[J1]第11節 スコア速報

TOP