[5.4 JFAプレミアカップ準決勝 大宮ジュニアユース 1-2 柏U-15 J-GREEN S1]

　U-15年代の日本一決定戦「JFAプレミアカップ2014 supported by NIKE」は4日午後、準決勝を行い、第2試合では前回王者の大宮アルディージャジュニアユース(関東2、埼玉)と柏レイソルU-15(関東3、千葉)が激突。柏U-15が2-1で勝った。柏U-15は5日、04年大会以来となる優勝を懸けてサンフレッチェ広島ジュニアユース(中国、広島)と戦う。

　特長の似たポゼッションスタイル、4-3-3システム同士の両チームによる関東決戦。柏の酒井直樹監督が「お互いライバル意識がある」というライバル対決で決勝への切符を勝ち取ったのは柏U-15だった。序盤は左サイドを切れ込んだFW小林粋の折り返しをFW奥抜侃志が左足で叩くなど大宮もボールを動かして決定機もつくる。ただ柏が先制すると、流れは黄色のユニフォームへと傾いた。12分、柏はMF落合陸がボールを運ぶと、左サイドPA付近でボールを受けたFW朝倉涼介がDFを十分に引き付けて前方のスペースを活用。外側から朝倉を追い越して駆け上がったSB川原由斗がラストパスを入れると、GKがはじいたボールをゴールエリアの落合が「ごっつあんでしたけれど、決めることができて良かった」と難なくゴールへ蹴りこみ、柏が先制した。

　リードを奪った柏はその後、ボールを握る時間を増やして試合の主導権も傾ける。左右にボールを動かしながら守備の穴を探ってくる柏に対して大宮は2ラインを引いてスペースを消していたが、柏の中川創と岡本宗馬のCBコンビはわずかでも相手が食いついてくると、楔のパスをグサリ。大宮は守備に追われる時間が続き、リードされたこともあってか、奪ってからショートカウンターを狙う回数が増えていく。28分にはMF篁樹生が右足アウトサイドで出したスルーパスに反応した小林が左足を振りぬくなどチャンスもつくったが、試合の大勢は変わらないまま柏に2点目が記録された。

　後半2分、柏は右サイドのFW宮本駿晃からのパスを受けたアンカーのMF加藤匠人がPAへ縦パスを通す。朝倉が叩いたボールを受けたFW中村駿太がPAで4人に囲まれながらも鮮やかにターンすると、そのまま右足シュートをゴールへ流し込んだ。PAで相手の点取り屋に前を向かせてしまった大宮にとっては痛恨の失点。逆に柏はCBコンビに加え、後半マークをかいくぐるようになった加藤も思うままに縦横へパス。リスク管理をしつつ、ボールを保持した柏が残り時間を削っていく。

　大宮も7分に交代出場のMF渡辺俊介が右足ミドルを放ち、10分にも篁の左足シュートがゴール左隅を捉える。ただGK土井智和が冷静にパンチで逃げるなど追撃を許さない柏は逆に21分にビッグチャンス。MF鯰田太陽とのワンツーで前を向いた落合が右中間からCB間に生まれたギャップへ走る中村へスルーパスを入れる。DFを背中でブロックしながら抜け出した中村が決定的な左足シュートを放った。

　これが枠を外れたことで望みをつないだ大宮は25分、強引に中央の混戦を抜け出したMF野尻和麻のスルーパスを篁が左足で豪快に決めて1点差。さらに27分には右サイドからパスを受けた交代出場のDF坪谷直樹が左足を振りぬく。一瞬、観衆がどよめいたほどの一撃がゴールを捉えたが、GK正面を突いて同点ならず。試合終了間際、大宮は最後の望みをかけて早めに前線へボールを入れたものの、これをしっかりと跳ね返した柏が相手をPAへ近づけずに試合終了。優勝へ王手を懸けた。

　柏の前線からのプレッシャーの前にCBからロングボールを入れる回数がやや多かった大宮に対し、柏の加藤は「自分たちらしいサッカーができたと思う」と胸を張る。そして「決勝でもレイソルらしいサッカーをして絶対に勝ちたい」と誓った。決勝へ向けて酒井監督は「ここまで来たら同じようにレイソルのスタイルが広島相手にどこまで通用するか、我々のサッカーをするだけです」。そして主将の右SB田中陸は「優勝して、世界でも優勝して柏レイソルという名前を世界へ見せたい」と力を込めた。前回王者を撃破した柏が、決勝でも自分たちらしいスタイルを貫いて優勝し、8月にイギリスで開催される世界大会「マンチェスター・ユナイテッド・プレミアカップ・ワールド・ファイナルズ」へのチケットを手に入れる。

[写真]後半2分、決勝点を決めた中村を柏U-15イレブンが祝福

(取材・文　吉田太郎)