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[AFCフットサル選手権2014]決勝ゴールのFP森岡「自分にもできる役割がある」

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[5.7 AFCフットサル選手権2014準々決勝 日本代表3-2タイ代表 ホーチミン]

 日本代表のエースは、焦っていた。大会前のスペイン遠征でヒザを負傷。チームを一人離れて帰国し、アジア選手権に向けて調整をした。しかし、ヒザの状態は日に日に良くなっているが、失った試合勘が取り戻せない。チームを引っ張るはずが、思うようなプレーができない苛立ちが募っていた。

 それでも、ゴールを決められるからこそ、FP森岡薫はエースであり得るのだ。3-2で勝利した準決勝のタイ戦後、ミゲル・ロドリゴ監督は「タイと日本にあった差。それは森岡薫という決定力のある選手に他ならない」と森岡を勝因に挙げた。2-2で迎えた後半16分、左サイドでボールを持った森岡が放ったシュートは、GKの股下を抜けてゴールに決まった。

 得点について森岡は「それしかできないからね」と、吹っ切れたように話した。試合後、ミゲル監督からは「この大会は、薫の大会ではない」と言われたと明かし、その言葉で自分の役割を見出せたという。

「万全な状態ではないから、ここで薫が自分の大会にしようとしなくていい。そのかわり、こういう決定力を持っているのは、おまえしかいない。こういう仕事で良いからやってくれと言われました。でも、そこでやっと受け止められた感じかな。気分的に冴えなかったのもあった。今日点を取って、勝ったから気分が良いわけじゃないですけど、ミゲルに言われて、『自分にもできる役割があるんだな』って気持ちを切り替えられましたね」と、森岡は言う。

 2012年に帰化をした森岡にとって、今回が初めてのアジア選手権。並々ならぬ意気込みで臨んでいたからこそ、ここまでの自身のプレーを受け入れられず、どうしても『ケガがなかったらな』と考えてしまったという。ヒザの状態について「もう問題ない」と話すが、試合勘の不足は否めないようだ。「相手に当たられても問題ない。ただ、試合勘はそうだね。シュートを打つときのアクションにも、自分のイメージとズレがあるから。でも、試合毎に良くなっているし、テーピングの巻く量も減って来たので。あと2試合頑張ります」と、今チームにできることに邁進する覚悟を語った。

(取材・文 河合拓)

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