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ノーゴールに終わった鳥栖FW豊田「1試合で決まるわけではない」

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[5.10 J1第13節 横浜FM1-2鳥栖 日産]

 最後までストライカーに得点は生まれなかった。しかし、チームは勝利を収め首位をキープした。「まずはチームが勝つことが大事だった」とサガン鳥栖のFW豊田陽平は振り返った。ブラジルW杯メンバー発表前の最後の試合、是が非でも得点がほしかったに違いないが、「今日は負けてはいけなかった試合」と強調している。

 2連勝を収めて首位に立つチームは前半16分までに2点を先行した。前半は豊田にもシュートチャンスが訪れたが、後半に入るとチーム全体に疲労もあり、自陣に構えて横浜FMの攻撃を耐える展開が続いた。その中でも豊田は前線からのチェイシングを怠らず、少ない攻撃の場面ではボールを収めて味方の攻め上がりを促そうとした。ゴールこそ奪えなかったが、首位に立つチームの選手としてやるべきことは果たした。

「得点を挙げればメディアの皆さんに持ち上げてもらえたので、よりアピールにはなったと思う」と笑いながら話したが、「ただ(メンバー入りの)当落線上の選手ということで、自分のアピールに走ってしまったらチームにも悪影響を与えてしまう。そこはチームメイトにも抑えてもらったし、僕自身も平常心でプレーしようと言い聞かせていました」。その献身的なプレーは、アウェーでの横浜FM戦初勝利、チームの首位キープへとつながった。

 ブラジルW杯への思いは強い。3月5日のニュージーランド戦では発熱の柿谷に代わり、急きょ日本代表に招集され、「限りなく少ないチャンスが巡ってきたと思う。自分の特長を、気迫を出しながら見せていきたい」と意気込みを語っていた。後半35分から途中出場しながらも無得点に終わり、「何とかチャンスを生かしたかった」と唇を噛みながらも、「ウルグアイ戦ほどの落胆はない」と前を向いてJリーグの試合へと向かった。

 すると、豊田はJリーグ開幕後から得点を量産。得点ランク3位の7得点を挙げてブラジルW杯メンバー入りへ猛烈なアピールを続けた。確かにこの試合でゴールは奪えなかったが、本人も「この1試合ですべてが決まるわけではない。見てくれている人は見てくれていると思う」と前向きに話している。「W杯のメンバーに是が非でも入りたい気持ちで必死にやってきた。今まで自分を支えてくれた家族、応援してくれている方々のためにも、W杯行きのチケットを手に入れたい」。昨年7月の東アジアカップでの日本代表デビュー以降、「ブラジルW杯出場が目標」と公言してきたストライカーは、吉報が届くことを待ち望んでいる。

(取材・文 折戸岳彦)

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