本人も驚くサプライズ選出となった。昨季Jリーグ得点王となり、今季も得点を量産している川崎フロンターレFW大久保嘉人だが、2012年2月のアイスランド戦以来、代表招集はなかった。しかし、12日に発表されたW杯ブラジル大会に出場する日本代表メンバーに選出され、最後の最後でブラジル行きのチケットを手に入れた。

「実際のところ、選ばれるとはあまり思っていなかった。選ばれなくて当然と思っていたので、4年前よりは平常心でいられました。(ザックジャパンには)一回しか選ばれていないので、呼ばれたらサプライズだと思っていた」と発表前には『選ばれないで当然』と感じていたようだ。

　しかし、移動中のバスの中でチームメイトとともにメンバー発表を見守ると、大久保の名前が呼ばれる。「バスの中で聞いていて、チームメイトにものすごくあおられたんです。もし呼ばれなかったら、どんな対応をしてくれるのかなと思っていたけど、呼ばれたときに『ウオォー』ってすごく喜んでくれて嬉しかった。ただサプライズなら一番最後に呼ばれると思っていたから、呼ばれるのが早かったですね」と発表された瞬間を笑顔で振り返っている。

　この日は昨年、他界した父の命日。前日には墓参りを行い「代表に選ばれたらいいな」と伝えていた。「代表に選ばれた実感は今はあまりないので、これから一人になったら徐々に湧いてくると思う」と喜びを噛みしめた。

　4年前の南アフリカ大会では主力としてベスト16進出に貢献したが、今回は「レギュラーにこだわっていない。ポジションはどこでもプレーできる自信があるし、途中からでも流れを変える自信はある」とどんな状況でも自分の力を示せると前を向く。そして「経験もあるし、自信もある。自分が入ってワクワクさせるようなプレーをして、得点に絡む部分を見せていきたい。日本に貢献できるように頑張ります」と意気込みを示した。

(取材・文　折戸岳彦)

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