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決して動じない遠藤のメンタリティー「最後に緊張したのは14、15年前」

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 歴代最多となる国際Aマッチ141試合出場を誇る日本代表MF遠藤保仁(G大阪)。自身が出演するスマートフォン用サッカーゲーム『バーコードフットボーラー』のCMでも、尽きることのないサッカーへの想い、独特の感性を垣間見ることができる。3月に大阪市内で行われたCM収録では、前人未到の記録について語り、日常生活からできるサッカーのトレーニング方法、間もなく迎えるW杯への秘めた思い、そして現役引退後についてまで語り尽くした。60分を超えるロングインタビューをゲキサカでは2回に分けて掲載。10年以上に渡り、日本サッカー界の先頭に立ってきた遠藤の言葉に耳を傾けよ。

―遠藤選手にとって、サッカーの原点は何でしょう?
「僕は兄の影響でサッカーを始めているので、兄になりますかね。兄がいなければ僕はサッカーをしていなかったでしょうし、僕が生まれ育ったところもサッカーが盛んだったので。やっぱりそういうものがあってこそだったので、そこが原点かなと思います」

―遠藤選手の最大の武器はパスだと思いますが、ご自身のパス感を表現すると?
「表現しづらいですね。自分の頭の中が、見ている方々には分かりづらいと思うので。頭を交換すればできるかもしれませんね(笑)。それ以外の方法では、たぶん理解できないのかなと思います。それくらいパスも奥深いですし、知れば知るほど楽しくなってくると思います」

―一言でパスを説明すると何になりますか?
「一言で……。うーん。分からないですね。答えが出ないです。一本のパスでも突きつめていけば、そのボールにかかる回転の数でスピードが変わりますし、ボールに当てる場所が少しでもズレれば、1m先なら2cmくらいしかズレないかもしれないですが、それが30m先だと1m、2mズレることになります。なんとなく出しているパスでも、そこまで考えるようになれば、よりパスというものが奥深くなっていくんじゃないかなと思います」

―遠藤選手は何を考えてパスを出しているんですか?
「パスを出す前に、まず敵のポジショニングと味方のポジショニングを確認して、それを予想します。自分にボールが来たときは、もちろんボールも見ますし、そのボールが来るまでに敵の動きも変わっているので、もう一回そこで確認して、その後、正確にボールを蹴れるように自分の蹴りやすい場所に置いて、あとはパスを受ける選手が次のプレーをしやすいように、一瞬でボールの質を考えて、出すようにしています」

―そういうことは、いつごろから考え始めたのでしょうか?
「中学生くらいじゃないですかね。僕は指導者に恵まれたので。小学校のときから『頭を使ってサッカーをしなさい』と言われてきました。そうすると自然に『頭を使うってどういうことだ』と考えるようになって、まずは周りの状況をしっかり確認しようということで、首を振って常に周りの状況を頭に入れながらプレーする練習を始めました。そういうのを積み重ねていって、パス一つにしてもそういう風に考えるようになりましたね」

―『頭を使うこと』をサッカー少年に伝えるとすると?
「分かりやすく言うと、だまし合いになるんでしょうね。でも、最初は周りを見ることからですね。僕もそこから始めたので。それはやっておいて損はないと思いますし、サッカーだけでなく、普段の生活から常に情報を頭に入れておけば、賢いサッカー選手になれるかなと思います」

―日常生活で練習できるのですか?
「いっぱいあると思いますよ。例えば、レジとかもそうですし」

―レジ?
「スーパーとかに行って、早く帰りたいとき、ほとんどの人は並んでいる人が少ない列に行くじゃないですか? 4人並んでいる列と3人並んでいる列があれば、3人のほうが早いと思いますよね。でも、それは人数を数えているだけで、そのカゴに入れている中身まで見れば、5人並んでいようが、3人の列より早いときがあります。あとは、レジの人も見ますね。ベテランの店員の方だとカゴに入れるのも早いし、計算もパパッとやる。でも、それが研修生だったりすると時間がかかる。そういうのを確認して、感性を磨くのは楽しいと思います」

―分かりやすいですね。いつごろからそういうことをやっていたのですか?
「周りを見るのは小さいころからですし、レジの話は、プロに入ったばかりのころにやっていましたね。そうすると、レジに並んでいるときも、ちょっと楽しめますよ。苦にならないというか。『俺の方が早かった』とか。自分の中だけですけど、そういうことをやってみると、楽しいと思いますよ」

―プレッシャーを感じない選手と言われていますが、そのことについては?
「プレッシャーを感じないことが良いことなのかどうかもよく分かっていないですし、感じたほうがいいのかなと思うこともあります。ただ、基本的には自分が一番好きなことをやっているので、楽しもうというほうが僕の中では強いですね」

―W杯最終予選などの大事な試合でも緊張はしない?
「僕は緊張しないですね。サッカーでは、ないです」

―人生で一番緊張したのは?
「覚えているのは、車の免許を取ったときですね。僕は横浜で取ったんですけど、合格発表のときが一番緊張しました。パラパラパラってめくれて合格した番号が出てくるような、よく空港にあるようなやつだったんですが、僕は100番より後ろだったので、それを待つまでが一番緊張しました。そこで落ちると、すごく面倒な手続きが必要だったので、何とか受かってくれという感じでしたね」

―受かっていましたか?
「受かってました。よかったです(笑)。一人で行っていたので、心の中でガッツポーズしていました。そのときが最近では一番緊張しましたね」

―いつの話ですか?
「14、15年前ですね。18歳のときで、19歳になる寸前だったので。『最近』と言ったら変ですけど、覚えているのはそれですね。あとはあまりないですね」

―ご自身の未来、将来の夢を教えてください。
「正直、まだあまり描けていないですね。現役の間はずっと現役でいたいと思っていますし、時には監督をやりたいなと思うこともありますけど、10年後や20年後に自分が何をしているかという質問には、ちゃんと答えられないですね」

―なぜでしょうか?
「やっぱり現役が一番というのを先輩方からたくさん聞いてきたので。サッカーへの情熱や、うまくなりたい、もっと成長したいという気持ちがある限りは、現役でいたいと思っています。だから、何歳までやるかも一切決めていませんね。カズさん(横浜FCのFW三浦知良)みたいに50歳近くまでやっている人もいいなと思いますし、逆に次の夢に向かってスパンと現役をやめる人も格好いいなと思います」

―10年後や20年後に、これだけはやっていたいということはありますか?
「やっぱりサッカーにかかわる仕事しかできないと思うので、選手であっても、コーチ・監督であっても、見ている方々に夢を与えられる立場でいたいなと思っています」

―今はどうですか?
「どうなんですかね。自分を目標にしている子供たちがたくさんいてくれたらうれしいなと思いますし、逆にもっと上を目指してほしいなとも思うので。監督になったらなったで、『ああいう監督、格好いいな』とか『ああいう監督になりたいな』とか思ってくれるような監督、コーチを目指したいと思います」

―監督になったと想定して、どこで指揮を執りたいとかはありますか?
「うーん。強いチームを常に強いチームのまま率いたいですね。それが一番難しいことだと思っているので。それは国内であっても、海外であっても、どこでもいい。強いチームをずっと強いチームのままにしたいです」

―弱いチームを強いチームにするというのは?
「それはたぶん時間をかければ絶対にできることなので。ただ、強いチームをずっとトップにいさせるというのは並大抵のことではないですし、自分だけの力ではできないと思います。サッカーはいろんな人に支えられているスポーツなので。常にトップに立っているチームというのは、世界を見渡しても、ほとんどないです。日本であれば、日本でそれをやりたいなと思いますし、海外でやれるチャンスがもしあるのであれば、海外のチームでもそういうチームをつくりたいなと思います」

―強いチームを強いチームのままに、というのはG大阪での経験も影響しているのでしょうか?
「ガンバも、失礼な話ですけど、昔は弱かったので。それを強いチームに変えていくことはできると思います。ただ、ずっと優勝争いをしていても、J2に落ちることもあります。常に優勝争いをする緊張感の中でプレーすることが、選手にとってはものすごく大きな財産になると思うので、もし自分が監督になったら、そういう経験を選手にはしてもらいたいと思いますね」


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