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成長を実感する長友「ドリブルが今一番のストロングポイント」

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 日本代表は29日、事前キャンプ地のアメリカ・フロリダ州に到着し、一夜明けた30日(日本時間31日)から練習を開始する。練習に先立ち、タンパ近郊のクリアウオーターのチーム宿舎で選手の一部が報道陣の取材に対応し、27日のキプロス戦(1-0)で右ふくらはぎを打撲して途中交代したDF長友佑都(インテル)は「大丈夫です。問題ないです」と強調し、同日からの練習も「普通にやります」と答えた。

 キプロス戦では、周囲の選手が指宿合宿で体を追い込んだ疲労ものぞかせる中、長友は左サイドを繰り返し上下動し、1対1でもほぼ完勝。圧巻のプレーを見せた。それでも「今(のコンディション)は80%ぐらい。(W杯の)初戦に向けて100%に持っていくし、初戦を過ぎたら100を超えて120ぐらいに持っていきたい。その調整の仕方は逆算してできているし、これからもっと上がっていくと思う」と力説する。

 その表情は自信に満ち溢れている。この日午前、長友とクリアウオーターのビーチ沿いを散歩したというFW香川真司も長友について「明らかに自信を持っている。それは歩き方であったり、ファウルをもらえなかったときのリアクションであったりで分かる」と冗談交じりに指摘する。

 長友自身、ワルテル・マッツァーリ監督の下でプレーした今季、自分の急激な成長を実感している。それは特に攻撃面、その中でもドリブルだと言う。

「ボールが足から離れなくなった。今までの自分はアスリート系というか、そっちの要素が強かったけど、それだけでは世界に通用しない。ドリブルのときのボールタッチの柔らかさを追求しないと、僕の夢は叶わないと思った。ボールが足から離れなくなると、相手も飛び込めない。そういう駆け引きができるようになった」

 実際、インテルの試合では相手と1対1になる場面が減った。「自分が持ったときは必ず2人付くし、相手の監督が試合の途中で(自分の対面の)サイドバックを代えることもある。そういうのを見ていて、自分も成長してきたのかなと。開幕から3か月ぐらい経ったころ、明らかにマークの付き方が変わった。相手との距離が2mぐらいだったのが、3~4mは距離を置くようになった。時間をかけさせるような守備の仕方で、絶対に1対1にもしない」。相手の対応の変化が、自分の存在が脅威になっていることを何よりも証明している。

 運動量やスピード、フィジカル。長友の良さは数多くあるが、「27歳だけど、今が一番、技術が成長している。ドリブルが今一番のストロングポイントじゃないかなと思う。短所を長所に変えられているし、まだまだ伸びしろもある」と言うまでになった。

「2010年(の南アフリカW杯)は守備で相手を止めることを意識してやっていたけど、今は相手が(自分を)止めないといけない状況になっていると思う。それは決して過信ではなく、自分のレベルは自分が一番分かっているし、まだまだ改善点はいっぱいあるけど、自分をマークしないと相手は危険な状況になると思う」

 強気な言葉も、それを裏付けるだけの実績をセリエAで残してきた。相手の良さを消す守備的なサッカーで16強入りした南アフリカW杯から4年。ブラジルではまったく別のサッカーで南ア以上の結果を残す。その急先鋒が長友であるのは間違いない。

(取材・文 西山紘平)

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