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浦和ラストマッチの原口「気持ち良く旅立てる」

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[6.1 ナビスコ杯第7節 浦和5-2名古屋 埼スタ]

 あふれ出る涙は止まらなかった。ヘルタ・ベルリン(ドイツ)へ移籍するMF原口元気とって、この試合が浦和レッズでのラストゲーム。試合後にはセレモニーが行われ、登場の際にはサポーターから大きな拍手が送られた。最初は笑顔を見せていたが、プレゼンターを務めたMF関根貴大から花束を受け取ると自然と涙がこぼれた。「泣かないようにしていたけど、関根が泣いていたので…。ただ、なんでお前が泣いてるのとは思いましたけどね」。

 ラストマッチで得点は生まれなかったが、原口は2得点に絡む活躍を見せてチームを勝利に導く。前半40分にFW李忠成のゴールをアシストすると、後半15分には強烈な直接FKを放ちDF槙野智章の得点をお膳立てした。しかし、槙野がゴールを決めた直後に原口は悔しい表情を見せていた。

「(柏木から)お前蹴ればと言ってもらって。ユースのときに決めていた角度だったので、決めたかった。ゴールを最後に決めたかったけど仕方ないですね」と悔しさをにじませたが、得点直後にサプライズが待っていた。槙野が原口へのメッセージをプリントしたTシャツを披露し、会場を盛り上げたのだ。「本当に何も知らなかったので、うれしかった。かわいがってもらっていたので、最後まで本当にありがたいと思いました」と槙野への感謝を口にした。

 最後までピッチに立つことはなく、後半19分にピッチを後にした瞬間には「これで終わるんだという、寂しい気持ちがこみ上げてきた」と語っている。

 そしてセレモニーでのサポーターへのあいさつでは驚きの言葉が飛び出す。「今日この試合を最後にヘルタに移籍します。ジュニアユースに入り、初めて浦和のエンブレムをつけて嬉しくて興奮したことを覚えています」と話し始めると、「あれから10年いろいろありました。涙が出るほど悔しいこともあったけど、一緒に戦ってくれた仲間、監督、スタッフ、家族、友人、恋人、そして最高の浦和レッズサポーターに心から感謝しています」と恋人の存在を激白。セレモニー後に「お客さんがどよめいていましたね(笑)。チームメイトからもおかしいと言われましたが、僕の中で感謝している人を並べていったら普通に出てきました」と平然と話した。

 最後にスタジアムを一周して別れを告げた原口は「気持ち良く旅立てます。すごい幸せな気持ちを味わえて、自分のパワーにもつなげていけます。これからドイツに行きますが、必ず日本一の選手になってきます」と改めて意気込みを示した。

(取材・文 折戸岳彦)

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