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[MOM1050]野洲FW村上魁(2年)_成長を続けるドリブラー「風に乗せた」決勝点で野洲を決勝へ導く

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.5 全国高校総体滋賀県予選準決勝 守山高 0-1(延長)野洲高]

 良くも悪くも注目を集めた一戦だった。

 野洲高FW村上魁(2年)は序盤、持ち味であるドリブルで敵陣を切り裂いてリズムを生み出したが、チームが停滞していくのに歩調を合わせるかのように村上自身も流れの中から消えていく。相手のプレッシャーが弱まった後半途中からはボールを受けて仕掛けるシーンが復活するが、決定的な仕事をするには至らない。延長前半には、途中出場のFW近藤響がカウンターからゴール前に持ち込んだこぼれ球に対してフリーで走り込むが「ちょっと慌ててしまった」というシュートは枠を捉えることができなかった。

 名誉挽回の機会が訪れたのはPK戦まで残り5分を切った、延長後半6分。自らのドリブル突破から獲得したゴール正面の直接FKだ。いつもなら平石が蹴るのだが、この場面では村上がキッカーを志願。主将から譲りうけたチャンスで右足から放ったキックは「上手く風に乗せることができた」と強風を味方につけて弧を描くように落ちていき、野洲応援席に歓喜の瞬間をもたらした。

 試合後は得点シーンについて笑顔で話す一方、「自分たちでボールを持てる時間が少ない。すぐに失ってしまう」と今大会を通じての課題を口にしている。村上自身は4-3-3システムのCFをスタートポジションとしながら、いわゆる“偽CF”として中盤まで降りて攻撃に関わるなど「臨機応変にやれと言っている」(山本佳司監督)。チームとしての連動性に出来不出来の波が激しい現状では、個の力によりチャンスを生み出すことがより重要となる。その筆頭とも言える村上に掛かる期待は大きい。

 プロ志望を公言する村上に準決勝でのアピール度を訪ねる質問が飛ぶと「まあまあ…50%くらいかな」という答えが返ってきた。好きな選手としてセゾンFCと野洲高校の先輩であるMF乾貴士の名前を挙げるドリブラーは、決勝で100%のパフォーマンスを目指す。

(取材・文 雨堤俊祐)

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