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[総体]テーマは「切り替えゼロ秒」立正大淞南が7年連続全国へ!:島根

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[6.7 全国高校総体島根県予選決勝 立正大淞南高 3-0 松江南高 松江市営陸上]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)島根県予選は7日、決勝を行い、立正大淞南高が3-0で松江南高に勝利。7年連続9回目の全国総体出場を決めた。
 
 島根県の高校サッカーは近年、立正大淞南が全国総体や選手権でも上位に進出するなど、常に頭一つ抜けた存在となっていた。しかし今年は、2月の新人戦準決勝で大社高が立正大淞南に2-0で勝利し、そのまま優勝。今回の全国総体予選では、勢力図に変化が起こるのかに注目が集まっていた。

 ところが、順当なら立正大淞南とは決勝で対戦するはずだった大社は、5日の準々決勝で松江商高の粘りに屈し、3-3からのPK戦で敗退。決勝に勝ち上がったのは、その松江商を6日の準決勝で1-0と振り切った松江南となった。一方の立正大淞南は、準決勝で明誠高を9-0と圧倒するなど、4試合で29得点無失点と他を寄せ付けず、順当に決勝まで勝ち上がった。

 試合は序盤から戦前の予想通り、素早い攻守の切り替えから何度も繰り返しゴールに迫る立正大淞南に対し、松江南がしのいでカウンターで得点機をうかがう展開。松江南は、本間英之監督が「中央で基点を作られたくなかったので、(ボールが入ったときに)挟み込むことと、縦のコースを切ること」を狙い、本来CBのキャプテン長谷川友哉(3年)をボランチで起用。立正大淞南の波状攻撃に耐えながら、MF戸田善基(3年)、白石彬(3年)の突破力を生かしてゴールを目指した。

 それでも29分(35分ハーフ)、ついに立正大淞南がスコアを動かす。CKをはね返された後のこぼれ球を拾ったMF高田雅貴(3年)のアーリークロスを、FW井上直輝(2年)が相手DFの前に入り込み、打点の高いヘッドで合わせてネットを揺らした。

 迎えた後半も試合展開は前半同様、立正大淞南が攻め、松江南が守る展開。だが立正大淞南は、エースの中島隆司(3年)がダイビングヘッドでネットを揺らしたものの、直前のファウルで取り消されるプレーなどがあり、2点目を奪うことができない。何とか追い付きたい松江南の懸命の反撃の前に、自陣まで侵入される回数も増え、嫌な流れになりかけていた。

 だが、立正大淞南の南健司監督は試合後、「圧倒していたので、(追加点は)時間の問題だった」と振り返った。その言葉通りに2点目が生まれたのは24分。敵陣での競り合いから中島のパスを受けた井上がフリーとなり、自身にとってもこの日2点目を蹴り込んだ。

 これで勝利に大きく近づいた立正大淞南は後半アディショナルタイムにも、交代出場のFW上村大悟(2年)のドリブル突破からのセンタリングを、やはり交代出場のFW中浜諄が難なく押し込んでダメ押し。結局、終わってみれば3-0の快勝で、7年連続の全国総体出場を決めた。

 松江南は3年前にも、全国総体県予選決勝で立正大淞南に敗れており、雪辱を狙ったが叶わず。しかし、戸田や白石のほか、ボランチに入った長谷川に代わってCBで先発し、本間監督が「よくやってくれた」と評価した植木巧海(2年)などが奮闘し、終盤まで競り合いを続けた。同高OBでもある本間監督は4月に赴任したばかりで、「短い時間の中で、選手たちが本当によくやってくれた」と労いつつも、「選手権予選に向けて鍛え直します」と、今後の巻き返しを誓った。

 立正大淞南は、今予選で初めて先発起用した井上が2得点を挙げ、交代出場した2人のプレーでダメ押し点を奪うなど、南監督の采配も当たっての快勝。島根県予選は準々決勝から3日間で3試合を戦う日程のため、この日の松江南も終盤は運動量が落ちて苦しんだが、立正大淞南は選手層の厚さを生かし、先発選手を入れ替えながら勝ち進むことで、ストロングポイントである運動量を、さらに際立たせる戦いが可能になっていた。

 全国総体に向けて、南監督は「『切り替えゼロ秒』をテーマにやっているので、切り替えをもっと早くすること」「その基盤になるフィジカルトレーニング」「技術の精度を上げること」などの課題を挙げた。それでも「組み合わせが決まってみないと分からない」と前置きしつつも、「優勝を狙える力はあると思う」と語る。今年はプリンスリーグ中国でも6戦全勝で首位を走っており、関係者の評価は高い。ここ数年、届きそうで届かない日本一に向けて、まずは第一関門をクリアし、8月の本番に向けて、さらなるパワーアップを期す。
 
(取材・文 石倉利英)

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