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[総体]延長後半アディショナルタイムに追いついた野津田、PK戦制して東京8強入り!

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[6.7 全国高校総体東京都予選決勝T1回戦 東海大高輪台高 3-3(PK3-4)野津田高 駒沢2]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)東京都予選は7日、11校による二次トーナメントが開幕し、都立勢の野津田高は3-3で突入したPK戦の末、4-3で東海大高輪台高に勝利。駒場高と戦う準々決勝へ進出した。

 8強入りを懸けた大一番で、2度3度と“ミラクル”を起こした野津田の快進撃だ。前半12分に東海大高輪台のMF渡邊夢大(3年)に先制PKを献上した野津田だったが、わずか1分後にFW荒川絢太主将(3年)が「最初一発かましてやろうと思っていた。ミラクルシュートでした」という豪快なミドル弾を決めて同点に追いつくと、その後は互いにグラウンダーのサッカーを志向する両チームの戦いで「高輪台が実力があるのは分かっていた」(横山鮎夢監督)という相手に食らいついて試合を進めていく。

 CBも果敢にドリブルで攻め上がっていく野津田はMF安保一希(2年)が気の利いた動きでスペースを埋めるなど攻守のバランスを崩さずに攻めていくと、26分にはMF阿部剣心(3年)のラストパスをファーサイドのMF八木拓(2年)が合わせ、35分には左サイドでの切り返しでDFを外した荒川のパスからFW木本堅也(3年)、八木が連続シュートへ持ち込んだ。そして38分にはPAで阿部からのパスを受けた八木の右足ボレーがクロスバーを叩く。

 一方の東海大高輪台もワンツーやスルーパスで野津田の背後を取りに来る。27分にはPAでボールを受けた渡邊が切り返しから左足シュート。33分にはMF土屋諒太郎(2年)が右斜め前方へ出したスルーパスから渡邊が決定的なシュートを放つと、後半10分にはFW畠中一樹(2年)がPKを獲得する。ただ、畠中の右足シュートは「PKには絶対の自信を持っている」と野津田・横山監督が説明するGK神尾篤(3年)が左へ跳んでストップ。次第に雨が強まる中、一気に崩れてしまう可能性もあったシーンだったが、守護神のビッグセーブに救われた野津田は前を向いたまま試合を続けると、20分にカウンター攻撃から勝ち越し点を奪った。

 安保のスルーパスで左サイドを抜け出した荒川が「自分でもびっくりするほど落ち着いていた」というラストパスを中央へ入れると、これを阿部が右足で決めて2-1。ただショートパスとサイド攻撃で反撃する東海大高輪台も36分、混戦から畠中が出したスルーパスでGKをかわした1年生FW本藤悟が同点ゴールを決めて試合を振り出しに戻す。東海大高輪台は40分にDF飯野克憲(3年)が放った決定的な右足シュートが枠の右外へ外れて試合を決めきれなかったが、2-2の延長後半7分に勝ち越しゴールを奪った。右サイドの本藤を起点とした攻撃から中央の渡邊が絶妙なタイミングで左前方へスルーパス。渡邊を追い越して抜け出したMF野村浩輔(2年)が左足シュートをゴールへ流し込んで3-2とした。

 残り時間はわずか3分。リードを奪われた野津田はさすがに落胆の色を隠すことができなかった。それでも「気持ちは落ちたけれど、もう1回チャンスが来ると思った」という阿部が大仕事をしてのける。ロングボールを交えてなりふり構わず同点ゴールを目指した野津田はアディショナルタイム突入後の14分、ロングボールからPAのこぼれ球に反応した阿部が右中間で右足一閃。これがゴールへ吸い込まれて劇的な決勝ゴールとなった。

 蘇った野津田の“ミラクル”はPK戦でも続く。PK戦で1人目が東海大高輪台GK安齋優太に止められたものの、相手の3人目をGK神尾が左へ跳んでストップ。さらに相手の4人目が外して優位に立つと、最後は3-3で迎えた後攻・野津田の5人目、MF花形聖和(2年)が左足シュートを冷静にゴールへ沈めて決着をつけた。両手を広げて喜ぶ花形や殊勲のGK神尾をはじめ、赤いユニフォームがピッチ中を走り回り、喜びを大爆発させた。

「やれると思っていたけれど、これほどだとは思っていなかった。ボクが一番泣いてしまった…」と横山監督。普段から5対3や4対1のパス練習を「死ぬほど毎日やっている」(荒川主将)ことで身に着けたボールを大事にする「野津田スタイル」と、昨年度の全国高校選手権予選8強へ進出するなど結果も出ている野津田に憧れて近隣の地域の選手たちが入学し、「自分で言うのもなんなんですけど、年々力はついてきていると思う」(荒川)という。これで野津田は今大会も8強入り。4強、さらに上へ勝ち上がって強烈なインパクトを残すことができるか。準々決勝では同じく都立勢の関東王者・駒場に全力で立ち向かい、再び壁を突破する。

(取材・文 吉田太郎)

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