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呆然の香川「こんな形で終わりたくない」

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[6.14 ブラジルW杯C組 日本1-2コートジボワール レシフェ]

 目の前の現実を受け入れることが難しかった。悪夢の逆転負けに終わった試合後、日本代表FW香川真司は呆然としたような表情を浮かべていた。

「このために準備をしてきたし、それでこの出来なら、それが自分の実力なのかなと。初戦が終わってから気づくのは悔しいけど、自分たちが4年間やってきたことにトライできなかったし、トライしなかった。自分たちは何をしに来たんだろうと……」

 90分間を通して、日本らしいサッカーを見せることはできなかった。前半16分にワンチャンスを生かし、FW本田圭佑が先制点。同21分にはDF内田篤人に決定機があり、同36分にも本田が中央からのドリブル突破で際どいシュートを打った。しかし、チャンスと言えるチャンスはこれぐらい。前半は1点リードで折り返したとはいえ、守備で我慢する時間のほうが長かった。

「攻めの姿勢を見せられなかった」と香川は唇をかむ。「ボールを受けたときの距離間が遠く感じた。連動性の面でもうまく回っていなかった。個人的にもボールを簡単に失って、そこでリズムをつくれなかった。1点取っているのに余裕がないというか……」。後半に入ってもリズムに乗れない。すると後半17分、コートジボワールはエースのFWディディエ・ドログバを投入し、一気に試合の流れを引き寄せた。

「相手の雰囲気が変わって、さらに攻撃的なったし、前線で起点にもなっていた。そこをつぶせなかった」。ドログバ投入直後の後半19分、21分に連続失点。今度は1点を追う展開となったが、しっかりと守備ブロックを形成し、逃げ切り体勢に入ったコートジボワールの守備をこじ開けられなかった。ボール支配率では日本の43%に対し、コートジボワールが57%。シュート数はコートジボワールが20本を数えたのに対し、日本はわずか7本だった。

 2失点はいずれも右SBセルジュ・オーリエからのクロスボールだった。ウイングのように攻撃参加してくる右SBに香川が引きずられ、守備に追われる時間が目立った。「走らされた。両サイドが上がってきて、なかなか前を向けなかった。守備で消耗した」。香川にとって初めてのW杯。背番号10は何もできないまま、後半41分にピッチをあとにした。

「言葉にならないけど、あと2試合ある。あきらめたくないし、次に向けてやるだけ。こんな形で終わりたくない。これで気づくようでは遅いけど、まだ2試合ある。嫌でも前を向いて、切り替えていきたい」。悲壮な表情を浮かべながら香川は必死に顔を上げた。

(取材・文 西山紘平)

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