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切り札投入もピッチ上は混乱…逆転に動揺隠せず反撃空転

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[6.14 ブラジルW杯C組 日本1-2コートジボワール レシフェ]

 スタジアムの大歓声だけが原因ではないだろう。明らかにピッチ上は混乱していた。FWディディエ・ドログバが投入された後半17分の2分後に同点ゴールを許し、さらにその2分後に勝ち越しゴールを決められた。1-2。連続失点で試合をひっくり返された直後の後半22分、FW大迫勇也に代わってFW大久保嘉人がピッチに入った。

 大久保はそのまま1トップの位置に入った。すると直後にベンチから指示が飛ぶ。ところが、アルベルト・ザッケローニ監督の指示はピッチ上の選手たちになかなか伝わらなかった。約3分後、大久保は左サイドへ回り、FW香川真司がトップ下、FW本田圭佑が1トップの位置へ移った。

「最初は(指示が)全然聞こえなくて、そのままプレーが始まってしまった。オカ(岡崎慎司)が左にいたり……」。大久保は1トップに入るのか、右サイドなのか、左サイドなのか。ベンチの指示は徹底されず、選手たちもすぐに理解できなかった。連続失点による動揺が、このシーンに如実に表れていた。

 ザッケローニ監督は後半41分に香川を下げ、FW柿谷曜一朗を投入した。1トップは大迫、大久保、本田、柿谷と変化。指揮官は交代策について「(1トップの選手を)代えないと問題が解決しないと考えたからだ。そのことによって選手が混乱したということはないと思う」と話したが、その意図どおりには試合は進まなかった。「逆転されたあとも選手たちは状況を何とかしようと試みたと思う。しかし、ハッキリと問題が解決することはなかった」。ザッケローニ監督の言葉もむなしく響いた。

 大久保自身、「(ベンチに)2、3回呼ばれた」と話すように、交代のタイミングは何度もあった。同点、逆転と、目まぐるしく変わる試合展開にベンチも付いていけなかったのか。過去3試合とまったく違うチームの姿に、大久保も驚きと戸惑いを口にしたほどだ。「こないだからこのチームに入って、これまでに3試合やったけど、全然違うチームになっていた。前半はすごいよかったと思う。逆転されて、ああなってしまうのかなと。メンタルが落ちた? それはありましたね」。劣勢の展開で耐え切れず、ビハインドを負ってからも跳ね返す力を見せられなかった。

「俺が入ってからは4年前の戦い方と一緒で、なんか似てるなと」。大久保が左サイドで、1トップに本田という形は、守備的なスタイルで臨んだ2010年の南アフリカW杯と同じ。日本らしいサッカーを貫こうと臨んだブラジルW杯の初戦で4年前に“逆戻り”したのは皮肉としか言いようがなかった。

(取材・文 西山紘平)

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