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一夜明けも憔悴の香川「まだ実感がない」

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 屈辱のグループリーグ敗退から一夜明けても、FW香川真司は憔悴し切った表情だった。「これで終わりなのかなって、まだ実感がないですね」。自身初のW杯。チームとして、個人として、何もできなかったという思いが香川の胸を締め付けた。

「初戦が一番大事だったのかなと。あらためて振り返るとですけど……」。後悔はコートジボワール戦にさかのぼる。分かっていたはずの初戦の重要性。しかし、そこで持てる力を出し切ることができず、そのまま3試合が過ぎた。「初戦が終わってからはあっという間だった。初戦までは逆に長かった」という言葉は偽らざる本音だろう。

「日本代表として、国を背負って、世界で一番大きい大会に出る。4年に一度のスペシャルな感じがある。小さいころにフランスW杯を見て、そこでW杯を初めて知って、W杯が世界最高の大会だと思ってきた」

 サポートメンバーだった南アフリカW杯からの4年間、ドイツ、そしてイングランドへと渡り、ブラジルW杯に懸けてきた。その思いが強かった分、逆に重圧や気負いとなってしまった。

 どうしたら世界で勝てるのか。自分自身を含め、最終的に行き着いたのは「個の力」をさらに高めるというシンプルな結論だった。

「日本代表にファン・ペルシーがいるわけじゃない。チーム全体でそれを補うために、全員が連動してやってきた。スペシャルな選手を今からつくるのは不可能というか、それよりはそれに近い個の力をもっともっと求めないといけない」

 南アフリカW杯から4年。数多くの選手が海外へ渡り、それぞれが己を磨いてきた。しかし、それでも不十分だった。

「ドログバやヤヤ・トゥレは、いるだけで存在感を感じた。日本には攻守にそういう雰囲気がない。一人ひとりはいい選手がいても、世界相手に脅威を与える選手、チームの雰囲気という面で、世界の強豪とやるときに差が出たのかなと思う。もっと厳しい環境で一人ひとりがやって、所属クラブで勝ち取っていくしかない」

 自分自身が情けなく、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。「これだけ期待されている中で、自分自身、結果を出せず、チームもグループリーグで敗退して、申し訳なく思っている」。簡単に切り替えることはできない。「この結果を受け止めて、整理して、そこから作業をスタートしたい。また少しずつみんなに期待を持ってもらえるように、結果を出していきたい」。うつむきながら話す香川の姿は、ショックの大きさを物語っていた。

(取材・文 西山紘平)

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