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退任表明…ザッケローニ監督会見要旨

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 1分2敗でグループリーグ敗退が決まったコロンビア戦(1-4)から一夜明けた25日(日本時間26日未明)、日本代表アルベルト・ザッケローニ監督がベースキャンプ地のイトゥで記者会見を行い、日本代表監督を退任する意向を明らかにした。

以下、会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「私自身も結果に関しては残念な気持ちで、満足はしていない。グループリーグを突破するという強い意気込みで臨んだ。もっと前に行こう、行ってやろうという気持ちが強かった分、悔しい気持ちが強い。4年前に始動して、現状を見ながらも、将来に目を向けてチームづくりを進めてきた。日本のサッカー文化、日本人選手の特長を吟味したうえで、技術力は世界に行っても通用する、しかしフィジカルでは足りない部分があると分析した。スピードに乗って、インテンシティーのあるサッカーを展開していこうと、チームづくりを進めてきた。そういう意味で、その方向性や、やってきたことは間違ってなかったと思うし、今後もこの4年間やってきた道を継続して進んでいくべきだと個人的には思っている。

 いわゆる格上と言われる相手にも勇気を持って仕掛ける姿勢を植え付けてきたと思っていて、格上の相手にも『これが日本らしいサッカーだ』というのを前面に出して、勇気を持って攻めていこうという姿勢を植え付けてきた。それに関しては、選手に感謝しないといけないし、私の信念を感じてくれて、実行に移してくれた。彼らは継続し、少しずつそういった面でも成長を見せてくれた。他の代表チームと同様に、常にいい成績が出ていたわけではないが、4年間を通して見てみると、ほとんどいい結果が出ていた、いい戦いができていたのではないかと思っている。

 4年間の総括はそういったものだが、W杯に臨むにあたって、できる限り前に進みたいという強い思いがあった。自分たちの中で自信もあったし、やってやるんだという気持ちを持っていたが、初戦から3戦目までが10日間に凝縮されている短期間の大会で、スタートでつまずいたことで、その10日間に関しては、思うような戦いができなかったと感じている。

 これまでもそうしてきたように、今回のメンバーは私が選び、戦い方も戦術も私が決めた。責任はすべて私にある。その責任をきちんと取りたいと思っている。ランチの時間に全員が集まったので、そこで選手、スタッフ、協会の方々、チームを支えてくれたすべての方々に感謝の意を述べ、この4年間の仕事ぶりに『ありがとう』と伝えた。選手、スタッフには『もう一度メンバー、スタッフを選べるとしても、同じメンバー、スタッフを選んだだろう』と話したし、そのチョイスには今でも自信を持っている。この10日間、いろんな理由があっていい状況に運ばず、好転しなかったが、『もう一度やらせてもらえたとしても同じ選択をしただろう』ということを彼らには伝えた。彼らには『このメンバーとスタッフの監督でいられてうれしかったし、誇りに思っている』ということを伝えたし、『日本代表という素晴らしいチームの監督のポジションにいることができて誇りに思っている』ということを話した。

 この4年間、全身全霊で日本代表チームの成長を促すためにやってきたつもりだ。当然、課題や足りないところはあって、コンフェデレーションズ杯やW杯本大会で、思ったような結果が出なかった。足りないところは当然あると思っていて、昨日の試合もボールポゼッション、シュート数、攻撃の回数、CKの数、FKの数、パスの成功率、そういったものですべて相手を上回っているにもかかわらず、結果は1-4。そういう意味で何か足りないところがあるのかなと思う。すべての面で上回っている状況で1-4で負けるというのは、何かが足りないんだろうと言える。それを踏まえて、今朝、協会の方々と話をした。ランチの時間には選手に話をした。私は日本代表を離れなければならないと思っている。日本代表に足りないものを新しい監督が埋め合わせ、このチームをさらに強くしてもらう時期が来たのかなと思う。

 協会の方々をはじめ、スタッフ、メディカル、トレーナー、広報、シェフ、総務、スポンサーの方々、サポーターにありがとうと言いたい。日本全体に『素晴らしい4年間をありがとう』と伝えたい。この4年間、何不自由なく仕事に集中させていただいた。濃密な時間を過ごすことができた。充実感と、感動にあふれる4年間だったと感じている。4年前、日本に来たころは日本のことをほとんど知らなかった。その私を温かく迎えてくれて、近くにいてくれた日本の方々に感謝したい。それは強く自分の心に残るだろうと思う。(日本語で)ありがとうございます」

―日本を離れる率直な心境は? 自分がチームに与えられなかったものは何だと思うか?
「チームづくりをしていくうえで、それ相応の時間が必要で、時間が基礎体力をつくり、固めていく。就任してからその哲学を持って、世界の格上とされるチームに対しても勇気を持って自分たちで主導権を持ってやっていくことを目指してきた。そういう意味では、このつくってきた道を継続してくれればいいなと思っている。次の4年間で新しい監督が、この4年間で私が与えられなかったものを加味してくれたらいいなと思う。

 例えば、日本がすべてのデータで下回っているゲームでも勝ち切るということを加えていければいいのかなと思う。勇気を持ち続けてやっていくことが必要だと思っているし、ネガティブなパフォーマンスをできる限り少なくしていく作業が必要だと思う。常に勝ち続けるチームはないし、波がないチームはないが、ミスの回数を減らしていくことが大切だと思う。このチームの波が激しかったというわけではない。55試合戦って、そこまでネガティブな出来ではないと感じている。4年前の就任会見で『4年後、日本サッカー界に何かを残したい、少しでも遺産を置いていきたい』と言った。その意味で何かを残せたという自負はある」

―必ずしも選手が自分の思ったように動かないのを見て、どうしようとしたのか?
「それは代表チームとクラブチームの違うところだと思う。代表チームでは選手を手元に置いておけないので、選手は所属クラブで普段、やり慣れているプレーを出そうとする。それを代表チームに来たときに修正することもあるが、それをすると、その選手の持っている感覚や根本的なプレーを削ってしまうリスクがある。アドバンテージとディスアドバンテージを天秤にかけ、選手たちの本能的なものを排除するのはよくないという結論に至った。同時に代表チームの難しさを感じた。

 ただ、中に入ってくるのか、外にいるのかが問題ではなく、連続したインテンシティーを出しているのか、バランスよくチームとして出しているのかがキーで、中に入ってもまた外に出て、連続してパスコースをつくることができれば、そこまで問題にはならない。昨日の試合に関して、相手が格上の中で相手よりシュートを多く打っているが、初戦、2戦目はそこが足りなかった。初戦、2戦目は前線での動きが少なかった。昨日、チームの多くの選手がシュートまで行けたのは偶然の産物ではない」

―昨日の試合後に、心の準備がうまくいかなかったかもしれないと話していたが? 日本代表に足りないと思うものは何か?
「ゲームへのアプローチに関しては、一監督として調整するのが一番難しいところ。ピッチの上では見えないもので、人の心というのは一つの要素に左右されるのではなく、多すぎるほどの要素に左右される。一監督として、そこに入り込んで、バランスを取ってあげることができない部分はどうしても出てくる。日本代表が例外ではなく、この大会は多くのチーム、実力があると言われているチームが苦戦したり、うまく大会に入れずに修正にてこずっている状況がある。W杯というのは、(シーズンで)38試合あるリーグ戦ではなく、たくさんの試合がある予選とも違う。短期決戦ということで、最初の試合でミスをすると、修正するのは難しい。

 そういう意味で、やはりこの日本代表に足りないところは、自分たちの普段のプレーを、(W杯本番という)このタイミングで意図的に出せるようにならないといけない。スピードあふれる、フィジカルコンタクトをできるだけかわすサッカーを、ここ(W杯)で思うとおりに出す方法を探していかないといけない。ただ、相手を褒めることも大切で、昨日の試合を見ても、相手の前に出てくる馬力、パワー、フィジカルの身体的な能力は褒め称えないといけない。単純に走るスピードが相手が上回っていたらどうしたらいいのか。単純に同じスピードで走るのではなく、できるだけボールを回して、パススピードを速めて、コンビネーションのスピードを高めて対抗していかないといけない」

―今大会では母国のイタリアなど欧州勢が苦戦し、アジア勢も苦戦している。一方で南米、北中米のチームが活躍しているが?
「明確な理由は見当たらないが、中南米のチームは距離的に遠くないこともあって、サポーターの後押しもある。気候条件も近いところがあると感じて、結果が付いてきているのかなと思う。相対的に言えることは、フィジカルで押し込もうというチームが今大会はいい結果を得ている傾向があると思う。ただ、明確な理由は正直見当たらないし、言えることは、それぞれのチームがそれぞれ持っている特長を生かすべきで、ストロングポイントを前面に出すサッカーをしていくべきだということは感じている」

―日本サッカーについて、もっとこうしたほうがいいということはあるか?
「日本サッカー全体の話になると、管轄から外れるので、日本代表チームに限定して話すが、このチームは自分たちのアイデンティティーを持っている。それを持ち続けないといけない。世界の格上とされるチームに対しても、勇気を持って戦いを仕掛けていく道を継続しないといけない。ただ、それが2日でできるようになるわけではない。それ相応の時間をかけて、やっていかないといけない。継続していくことで、世界とのギャップを埋められると信じている。これまでやってきたことを信じて、継続してやっていくことが大事だと思う。

 このチームのことを話していくと、本音だが、W杯に臨むにあたって、私をはじめ、だれ一人欠けることなく全員が、良い結果が出せると信じていたし、確信めいた自信を持っていた。それが真実だと考えている。ただ、1試合目のところで、ゲームの入り、アプローチで思ったような試合ができなかった。そこから修正するのに時間がかかってしまったというのが現実なのかなと思う。

(足りないところを)挙げていくとすれば、ゲームの中で起こり得る、自分たちの不利に働くようなエピソード、出来事、ジャッジが、自分たちの戦いを左右するのではなく、それに左右されずに継続してプレーを出していかないといけない。自身はこのチームを離れるが、このチームの一員だという自負があるので、そういう言い方をしている。成功体験は自信を深めるし、自分たちのやっていることへの自信を後押ししてくれる。もしも結果が出ていれば、より成長のスピードは速まったと思う」

―アジアでの戦いと世界での戦いは別物だと選手は話しているが、チームをつくるうえで大変だと思ったことは?
「個人的には、アジアのところには最初から目を向けていなくて、世界で戦うために、この4年間を費やしてきた。就任した時点で日本がアジアで一番の実力がある国だったと思うし、世界と戦っていくうえで、その差を埋めていこうと進めてきた。国際レベルでパーソナリティを出し切る、格上とやるときにも勇気を持ったサッカーを展開する。そういうことを植え付けていこうと思っていたし、大会が始まるまで、全員が自信を持ってこの大会に臨んだ。他の国の監督に話を聞いても、『日本はそういったレベルに来ている。脅威的な存在になってきている』と話していた。世界も日本をそういうふうに捉えていたと思う。

 アドバイスするとすれば、継続してこの道を進んでいくべきではないかということは言いたいし、このチームはまだ若いチーム。チーム全体を変える必要もなく、多少の選手の入れ替えはあると思うが、少しいじるだけでいいのではないかと思っている。引き続き、この道を進んでもらいたいと思っている」

「(質疑応答は終わったが、最後に自分から)最後になるが、この4年間、私のことを温かく迎え入れてくれてありがとうございましたと、ここにいるみなさんに伝えたい。素晴らしい4年間を過ごすことができた。みなさんのことは心に強く記憶しておきたいと思っている」

(取材・文 西山紘平)

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