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[MOM1081]FC東京U-18MF高橋宏季(3年)_精度にこだわるプリンス関東首位の“ハンドル”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.12 高円宮杯プリンスリーグ関東第8節 F東京U-18 5-1 川崎F U-18 東京ガス武蔵野苑多目的G]

 FC東京U-18の佐藤一樹監督が「チームのハンドルのような感じ」と評するように、プリンスリーグ関東首位チームに欠かせない存在。MF高橋宏季(3年)のプレー精度の高さと質の高い配球が際立つ試合だった。

 立ち上がりにワンツーからPAへ切れ込むシーンがあったが、その後は中盤の底の位置でバランスを取りながらボールを動かすプレー。決して目立つ役割を担っている訳ではないが、明確に意図のあるパスがF東京の攻撃時間を増やし、活性化していた。DFが食いついてくれば的確な1タッチパスで捌き、複数の選手が前にいる状況でも隙あればその間へボールを通していた。そして左右両足から放たれるミドルレンジのパス。サイドチェンジをしっかりとつけて上手く幅を使っていたほか、前半32分には自陣でDFを1人外して距離の長いスルーパスをMF蓮川雄太へ通して決定機も生み出した。

 前半不用意なミスからピンチを招いたシーンもあった。ただ相手にとって狙いどころとなりながらもMF安部柊斗とのコンビで上手く相手を外し、守備でも奮闘。「相手に寄せられないポジショニングをして、自分で上手く周りを使いながらできたと思う」と振り返る内容で5-1の快勝に貢献した。

 身長は173cmで特別な強さやスピードがある訳ではない。指揮官が「良くなってきた」という守備も、1対1の対応も得点力の部分も課題はまだまだある。だがその精度は高いレベルで勝負できる武器。「ミスしないのが特長。それだけは誰にも負けないように意識している」というMFは、6月の天皇杯予選で国士舘大や早稲田大という大学生相手にも「自分がどれだけできるのか試すいい機会」と臨み「できたかなというのが正直なところ。もっとチャンスをつくらなければいけなかったですけど」と格上との戦いでもまずまずの手ごたえを掴んでいた。
 
 天皇杯予選での健闘し、そしてプリンスリーグ関東で首位に立つチームを支えているが、自身の成長へ貪欲だ。「運動量と守備のところをもっと上げないといけない。攻撃ではもっと相手にとって怖い選手になりたい。90分走り切ってその中でできるようにならないと、上に行っても通用しない」。課題を突き詰め、その精度を追及する“ハンドル”がより武器を磨いて、チームを白星の方向へ動かす。

(取材・文 吉田太郎)

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