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[クラブユース選手権U-18]雷雨中断も味方に東京Vユース撃破!仙台ユースがグループH1位で決勝Tへ

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[7.27 日本クラブユース選手権1次R第3節 東京Vユース 0-1 仙台ユース 石関公園サッカー場]

 「adidas CUP 2014 第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」は27日、1次ラウンド最終戦を行い、グループHではともに決勝トーナメント進出の可能性がある東京ヴェルディユースベガルタ仙台ユースが激突した。

 前半、ボール支配率で上回ったのは東京Vだった。この試合では「(第2戦の)サンクFCくりやま戦では点を取りに行くために前で使ったけれど、今日は攻守のバランスやゲームを作るところを考えて」(富樫剛一監督)という狙いでU-19日本代表MF中野雅臣をボランチで起用。彼を中心にパスを回してチャンスを伺う。対する仙台は守備に回る時間が長かったが「うちはいつもはポゼッションのチームだけど、今回は相手にボールを握られることは多少、覚悟していた」(越後和男監督)と想定内の展開。中盤より前でパスは回されても、そこから先はしっかり守って失点を許さなかった。

 スコアレスで前半のアディショナルタイムに突入した時、アクシデントが起こった。朝から続く猛暑から空模様が一変し、会場に設営されたテントが飛ばされそうになるほどの強風が吹き荒れていく。さらに雷雨も確認されたことで、レフリーは前半終了と同時に試合を中断。選手はそれぞれのバスへ引き上げて様子を見ることになった。その後、天候は回復し、約1時間に及ぶ中断を経て無事に後半開始を迎えた。

 仕切りなおしとなった後半7分、仙台が先制点をあげる。MF茂木駿佑が蹴ったCKは中央で競り勝ったFW本吉佑多の頭に当たってファーサイドへ流れ、フリーで待ち構えていたMF小林拓真が体を懸命に伸ばしたヘディングシュートで押し込んだ。前半はシュート2本と苦しい展開だったが、引き分けでも決勝トーナメント進出が決まる仙台にとってはスコアの上でも、選手に勇気を与えるという意味でも、非常に大きな得点だった。

 こうなると試合の構図は“攻める東京V、守ってカウンターを繰り出す仙台”という構図がより色濃くなっていく。勝たなければ決勝トーナメント進出が絶望的な東京Vは富樫監督が早めの交代で次々とフレッシュな選手をピッチに送り込んでいくが、後半途中から前線へ上がった中野が「ペナルティーエリア手前から(エリア内へ)入っていくところのコンビネーションや個人の突破が無かった。相手に怖さを与えられなかった」と振り返ったように、なかなかシュートまで持ち込めない。逆に仙台はボール奪取からのカウンターが効果的で、守備一辺倒にならなかった。そのまま、試合は1-0で仙台が勝利。越後監督は「うちにとっては、あの中断が良かった。あのまま後半に行けば、気温や(東京Vがパスを回しやすい)ピッチコンディションで、少し難しかったかもしれない」と率直な気持ちを打ち明けている。前半は守備で走らされたが、1時間の中断で心身両面でのリフレッシュを図り、「後半は風上になるから、前からいく」(越後監督)という戦い方もはっきりした。本来のポゼッションスタイルとは異なる戦い方となったが、そこで結果をつかんでグループH首位で決勝トーナメント進出を果たした。

 一方、敗れた東京Vはグループ3位で予選敗退となった。今大会は初戦でU-19日本代表MF三竿健斗が負傷するなど、選手のやり繰りにも頭を悩まされた。怪我人の存在は「逆にみんなが一致団結した」(中野)という部分も引き出したが、戦力的なマイナスは小さくなかった。富樫監督は「今日に限らず、今大会は自分たちに原因があることがすごく多かった。シュートが少ないという課題も、ゴール前の選択肢が少なすぎるから。個人だけの問題ではない」と指摘している。警戒していたはずのセットプレーで失点を奪われたことも含めて、今大会での教訓を8月24日から再開するプレミアリーグに活かして再出発を図りたい。

(取材・文 雨堤俊祐)
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