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[総体]2014夏、注目チーム特集:『安定感』抜群の矛と盾を持つ広島皆実

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 固い守備と鋭い攻撃。強烈というより、『安定感』抜群の矛と盾を持つチーム。それが今年の広島皆実高(広島)だ。
 
 センターラインに冷静かつ技術の持った選手を揃え、何よりチームとしての戦い方を心得ている。軸となるのが、北尾涼藤原大輔のCBコンビ、ボランチの油井喬介、トップ下の横路翔太だ。トップ下からサイドへと自在に動く横路が攻撃の中軸を担えば、運動量豊富な油井と、対人に強い藤原と北尾が、堅い守備を構築する。

 相手の状況を見て、守備の陣形を整え、ボールを奪ったら、正確なミドル、ロングパスで一気に相手のスペースを切り裂いていく。これを可能にしているのが、藤原、北尾、油井の高いパスセンスと、横路、丸川太誠佐藤笑也俵脩造、そして復帰が待たれるエース梶原亮といった、個性豊かなアタッカー陣の質の高い動きだ。

 守備陣がボールを持った瞬間に、相手の守備陣のギャップやサイドのスペースに一斉に走り込んで、彼らの精度の高いボールを引き出す。この相互の密な関係性こそが、藤井潔監督の下、選手たちが紡ぎだした、今年のチームの『武器』である。

「僕らはまだまだ未熟。もっと発展していかないといけない。全国優勝してから、地道にコツコツとやる日々が始まった。その中で秋から前進してきている。今年のチームは近年よりアタッカーに面白い選手がいるし、縦のラインに軸となる選手がいる。だからこそ、去年を上回るパフォーマンスが出せる」と藤井監督は説明。キャプテンの油井も「今年は特長がある選手が多いので、それを全体の力として出せるように意識している。今年のストロングポイントは間違いなく前線の攻撃力。守備も前線がしっかりとその力を発揮できるように、ビルドアップや精度の高いキックを心掛けている」と語る。

「どの試合も監督とみんなで話し合って、意思統一を図って臨めている」(油井)。
藤井監督は確かな手ごたえを掴んでいる。プリンスリーグ中国では6勝2分1敗の2位をキープ。第9節の首位・立正大淞南高との直接対決は、油井と横路のゴールで、一度は逆転に成功するが、その後ひっくり返されて2-3の惜敗。だが、第8節では強豪・作陽高を相手に堅い守備と、鋭い攻撃を駆使し、4-1の圧勝。全国トップレベルの相手にも、決して引けを取らない、質の高いサッカーを披露している。

「もっと攻撃の流動性を高めたい。自分自身ももっと相手にとって怖い選手にならないといけないし、シュートを積極的に打って攻撃のリズムを作りたい。去年負けてきた分、今年は『堅守強攻』を全員で徹底してやりきって、インターハイでは自分たちがやり残したことが無いように、全力で出し切りたい」(横路)。

「去年、選手権に3年ぶりに出て、今年はまずひとつの目標として、インターハイに5年ぶりに出場をして、冬夏と全国を経験することだった。初戦から厳しい相手が続くけど、まずは夏の段階で自分たちのポテンシャルを出し切って見せたい。これまで積み上げてきたものを出し切る大会にしたい」(藤井監督)。

 選手、監督の思いはひとつ。現時点でのすべてを出し切ること。初戦の相手は一昨年度の選手権覇者・鵬翔高。ここを突破しても次はシードのディフェンディングチャンピオン、市立船橋高という激戦ブロックだが、彼らに『臆する』という言葉はない。今はチーム一丸となって、『安定した矛と盾』を磨き上げている。

(取材・文 安藤隆人)
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