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[MOM1089]札幌U-18FW平川元樹(3年)_エース、苦手の暑さの中で2得点

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.30 日本クラブユース選手権準々決勝 磐田U-18 0-5 札幌U-18 前橋総合]

 相手にペースを握られた前半、守備陣は険しい顔つきだったが、前線にいるエースも苦しそうだった。数少ないパスを受け、体を張ってポストプレーを展開するが、試合の流れを変えるような動きはできなかった。コンサドーレ札幌U-18が誇る大型FW平川元樹は「暑さが苦手なんです。守備での貢献度を高めないといけないし、攻撃でももっと動かないとチャンスが来ない。前半は自分が動けなくてチームに迷惑をかけてしまった」と顔をしかめた。

 しかし、1点リードで迎えた後半の立ち上がりに見せた平川のゴール2連発は、一気にチームの足取りを軽くした。6分、自陣でボールを奪った左DF按田頼の縦パスに抜け出すと、左足で冷静にゴールを奪った。さらに11分、今度は右サイドの崩しからラストパスを受け、ゴールへ流し込んだ。平川は「(自分の)1点目は、オフサイドかからないことだけを注意して、あとは走った。抜け出しとパスのタイミングが合っていた。2点目は、後半に入って相手守備陣の足が止まってマークが外れていたので、ゴール前へ走り込んだら良いパスが来た。決めるだけだった」と2得点を振り返った。特に自身の1点目は、ハーフタイムで反撃ムードを作って来た相手の気持ちを折るような、貴重なゴール。四方田修平監督も「あれが大きかった」と振り返った価値ある一発だった。

 それでも平川は「動けなくて迷惑をかけていたから、自分の仕事であるゴールというところだけは絶対に狙っておこうと思った。そのチャンスが来た時に決められて良かった。個人的には3点目のチャンスがあったので、そういうところを決めないと。これからもっと厳しくなるので、満足はしていない」と控えめだった。実は交代直前の21分、右から流れてきたラストパスをフリーで狙った場面があったのだが、ゴール左に外してしまったのだ。ハットトリックを逃したシーンもあったためか、指揮官も絶賛などはしない。「まだまだ。煮え切らない。代えようと思ったら点を取ったから、もう少し(交代を)待とうかと思っていたけど」と甘くない評価を下す。しかし、それも未完の大器にかける期待の大きさゆえだ。指揮官は「魅力がある選手なのは、間違いない。(身長も)187cmもある。ただ、まだ物足りないけど、彼は小学生の時から毎年(確実に)ちょっとずつ良くなっている。地道にやっていけば、まだ上を狙えるんじゃないか。変わってほしいところは、思い切りの良さとか反応」というコメントも残した。

 平川にとっては苦手の夏だが、13年ぶりのファイナル進出や初優勝といった階段を上るためには、エースの活躍が欠かせない。「もっと思い切ってプレーしろというのは、よく言われる。シュートの数もまだ少ない。もっと、ゴール前で怖い存在にならないといけないと思っている」と話す大型FWがどこまでチームを引っ張るか見ものだ。

(取材・文 平野貴也)
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