beacon

[総体]王者・市立船橋沈めた「カウンター返し」!広島皆実が0-2から逆転勝ち!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.3 全国高校総体2回戦 広島皆実高 3-2 市立船橋高 韮崎中央公園芝生広場]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技2回戦が3日に行われ、広島皆実高(広島)が前回優勝校の市立船橋高(千葉2)に3-2で逆転勝ち。3回戦進出を果たした。

 組み合わせが決まった時からターゲットにしてきたという市立船橋との2回戦。2点ビハインドから堅守・市船ゴールに3発をぶち込んでの逆転勝ちに緑と黒のユニフォームが舞った。試合終了の笛が鳴ると力の限り戦って掴んだ白星に選手、ベンチ、スタンドがそれぞれ全身で喜びを表現。そして広島皆実イレブンは熱い応援をしてくれたスタンドの控え部員たちとハイタッチして王者撃破の喜びを分かち合った。

 藤井潔監督が「目標としてきたチームとの対戦だった。内容的には先行され、突き放されという展開から自分たちのやりたいことが結果としてできたので手ごたえを感じるし、いろいろなものがにじみ出た試合じゃないかなと思います」と振り返った一戦。指揮官が「関東で揉まれている勝負強さやこのレベルで勝ち上がっているものを何とか注入したいと思っていた」と語ったように市立船橋をリスペクトし、目標とし、そして研究し尽していた広島皆実は“カウンター返し”で王者を沈めた。

 試合開始わずか20秒でFW磯野隆明(3年)に先制ゴールを決められた。その後ボールを持つ時間を伸ばし、サイドからラストパスを入れるところまで持ち込んだ広島皆実だったが、注目GK志村滉(3年)の好守に阻まれ、逆に後半10分にMF齊間隆希(3年)に直接FKを決められてしまう。

 だが、広島皆実は16分、17分に連続ゴール。カウンター攻撃に出た市立船橋に対してカウンターを浴びせて敵陣アタッキングゾーンまで持ち返し、そこからもう1回ギアを上げてボールを動かし、サイドを切り崩してゴールをもぎ取る「カウンター返し」を完遂。藤井監督が「市船のカウンターに対する“カウンター返し”。そのまま一気に行くんじゃなくて、カウンターから長い距離戻った後でペナ周りでしぶとくやるという狙い通りのサッカー。(目標として)市船を追いかけた甲斐があったかな」と語る攻撃で試合をひっくり返した。

 16分、カウンターに出てきた市立船橋の背後を突いて左サイドへ持ち込むと後半開始から交代出場のFW梶原亮、MF横路翔太(ともに3年)がシュートフェイントを交えながら逆サイドへボールを動かす。そして右サイドのFW俵脩造(3年)がDFを揺さぶってからクロスを入れると、飛び込んできた梶原が頭で追撃ゴール。MF油井喬介主将(3年)は「アイツが入って流れが変わった」と評していたが、半月板の怪我から復帰してきた“出場時間限定”のエース・梶原のゴールがチームを加速させる。そして17分、1点目と同じような形から横路が右サイドへ展開すると、右SB杉原孝啓(3年)がクロスを上げる。これを俵が頭でゴールへ沈めて同点に追いついた。

 2点差を追いつかれ、再度攻撃のギアを上げた市立船橋も磯野が力強い動きからDFに穴を開けようとし、FW永藤歩(2年)のシュートがゴールを襲う。だが1ボランチの脇を広島皆実のMF丸川太誠(3年)や俵にドリブルで切り込まれるなどリスクを背負いながらの攻撃。それでもチャンスをつくっていた市立船橋だったが、この勝負に強い思いをもって「懸けていた」広島皆実に決勝点を奪われてしまった。

 後半アディショナルタイム、広島皆実はカウンターから油井がスペースのできていた右サイドの横路へつなぐと、タッチライン際からゴール方向へ向かって仕掛けた横路が相手DFとの1対1からゴールライン際まで切れ込んでラストパス。これに飛び込んだ俵が右足で決勝点を押し込んだ。喜びを大爆発させた俵を控え部員だけでなく、スタンドの父母も両手を突き上げて祝福する。そして相手に決定的なシーンをつくられながらも凌いで迎えた試合終了の瞬間。選手たちは全身で喜びを表現していた。

 油井は「市船というのは特別な相手だとチームとして意識していた。きょうの試合が楽しみでもあったし、絶対勝ちたい相手だった。技術面では向こうの方が上だったかなと思うんですけど、自分たちは後半の大事な時に3点取れた。自分たちは攻撃面がストロングポイントなので次の試合も活かしていきたい」と市船撃破を喜んだ。ただチームは試合終了直後こそ、ターゲット撃破に満面の笑顔を見せていたが、新たな目標へ向けてすぐに次の試合への準備を開始。余韻に浸ることなく足早に会場を後にした。油井は「ここで一回リセットして、一戦一戦大事にして、ベスト8、ベスト4と積み重ねて行って優勝できたらいい」。12年度全国高校選手権日本一の鵬翔高(宮崎)、そして13年全国総体優勝の市立船橋を連破した広島皆実。“セクシーフットボール”こと野洲高(滋賀)との3回戦も突破して頂点への行進を続ける。

(写真協力『高校サッカー年鑑』) 

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2014

TOP