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[総体]献身的に仕事をこなした星稜、帝京三を1点差で振り切る

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[8.4 全国高校総体3回戦 星稜高 3-2 帝京三高 韮崎中央公園陸上競技場]

 2回戦からの登場となった前日の初戦では米子北高に5-1と快勝を収めた星稜高(石川)。開催地代表の帝京三高(山梨2)と戦ったこの日の試合は1点を争う接戦を3-2でものにして昨年に続く準々決勝進出を決めた。

 河崎護監督が「あれは想定外やったね。『10分までは零点頼む』と話していたけど、1分も持たなかった。これからは、『1分は持て』と言わないといかんな」と振り返ったように、星稜は開始38秒で帝京三FW鳥居岳(3年)に得点を奪われる予想外の展開となった。それでも動じなかった星稜は、直後の6分にFW森山泰希(3年)がMF杉原啓太(3年)のスルーパスに反応して同点ゴール。これで試合を振り出しに戻す。

 さらに畳み掛けた星稜は14分にMF藤島樹騎也(3年)がDF宮谷大進(3年)のセンタリングを右足で合わせて逆転弾。あまりにも早かった失点を14分でリードに変え、試合の流れも一気に引き寄せた。その後、MF前川優太(3年)を中心に攻撃を組み立てて試合の主導権を握った星稜は、17分には最前線まで駆け上がっていたDF原田亘(3年)が前川の左サイドから上げたボールに右足で合わせたが枠の外。27分にも杉原がドリブルで仕掛けて左足でシュートを放つ。3点目を奪うところまでには至らなかったが、いい流れのまま前半を折り返した。

 ただ後半に入ると、帝京三は同点を狙うべく積極的なサッカーを展開。対して星稜は河崎監督が「この暑さで少しへばった。前半、相手はまったりしていたけど、後半はこんなに来るんかというくらい来てタジタジやった」と語ったように、帝京三は前からボールを奪いにいくと球際でも強さを発揮する。しかし、星稜は後半10分、左サイドでFKを獲得すると、DF鈴木大誠(3年)が森山の蹴ったボールを頭で合わせて貴重な追加点。苦しい時間帯に頼れる主将がセットプレーから得点を挙げた。

 その後は終始、帝京三にゴールを脅かされる苦しい展開になった。13分には右サイドをオーバーラップしてきたDF松澤諒(3年)のクロスから鳥居にこの日2点目となるゴールを頭で決められて1点差。さらに帝京三は22分にMF土屋守(3年)を投入し、攻撃への比重を高めていく。すると、その土屋が25分にゴール前で強烈なボレー放つと、28分にはこぼれ球を拾い得意の左足でシュート。星稜は終盤、同点の危機を迎えたが、本来のボランチではなく、CBでの出場となっているDF平田健人(3年)と鈴木を中心に何とか凌いでいく。そして最後まで高い集中力を維持して1点差勝利。「前半はサッカーをやったけど、後半は労働をしとった」と河崎監督は独特の表現を用いて試合を振り返ったが、苦しい展開でも勤勉に、献身的に仕事をこなした星稜が1点差を守り切って前橋育英高(群馬)と戦う準々決勝へと駒を進めた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 松尾祐希)
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