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[総体]鹿児島実との伝統校対決を4発勝利!“赤い彗星”東福岡が17年ぶりの4強進出!!

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[8.6 全国高校総体準々決勝 鹿児島実高 2-4 東福岡高 韮崎中央公園陸上競技場]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技準々決勝が6日に行われ、ともに全国高校選手権優勝経験を持つ東福岡高(福岡)と鹿児島実高(鹿児島)との九州名門対決は、東福岡が4-2で勝った。東福岡は7日の準決勝で青森山田高(青森)と戦う。

 東福岡は今大会、中国地区の強豪・作陽高(岡山)を6-0、関西の激戦区・兵庫予選を勝ち抜いてきた神戸弘陵高を8-1、そして4日の3回戦では開催地・山梨第1代表の山梨学院高との大一番を1-0で制してきた。激戦区と見られたブロックを堂々の戦いで勝ち上がった“赤い彗星”の8強決戦の相手は九州新人戦グループリーグで敗れている鹿児島実。東福岡の森重潤也監督は「ウチが戦ってきた相手は全国でも常連校の作陽と、レベルの高い兵庫の代表の神戸弘陵、地元開催で凄く優勝候補でもあった山梨学院という戦いの3試合だったと思うんですよ。厳しいゲームを乗り越えてきたと思うし、昨日に関してはリラックスはしていいけれど、気持ちを緩めずにしっかりと次のゲームに臨もうということを言いました。まずは鹿実には負けているから、ここはひとつ勝ちに行きたいねということは言いました」と振り返る。東福岡はこの日、大黒柱のU-18日本代表MF中島賢星主将(3年)を累積警告による出場停止で欠いていたが、大一番勝利の後でも気を抜くことなく伝統校対決に臨み、また強さを見せつけた。

 前半2分、東福岡は早くも試合を動かす。MF赤木翼(3年)の左クロスをファーサイドのMF増山朝陽(3年)が頭で折り返すと、MF中村健人(2年)が技ありヘッドでゴールへ押し込んで先制点。あっという間にリードを奪った東福岡は8分にも左サイドから崩して赤木が決定的な左足シュートを放つと、11分に2点目を奪った。増山の右クロスはファーサイドヘ流れたものの、赤木が左サイドから折り返したボールを得点ランキング首位のFW木藤舜介(3年)が打点の高いヘディングシュートで合わせて2-0。左の赤木と右の増山、チームメートが「元気がいい」と評するこの両翼がオープンスペースでボールを受けては、グイッグイッと何度も何度も前へボールを推し進めていく。

 サイドからのラストパスへの対応が乱れる鹿児島実に対し、東福岡はこの両翼の突破力とクロスからチャンスの数を量産した。27分にも増山が右サイドから出したラストパスからMF山根つばさ(3年)と赤木が連続して決定的なシュート。ただこのピンチをGK谷口周平(3年)のファインセーブで切り抜けた鹿児島実が追撃ゴールを奪う。29分、前線で激しいプレスを受けながらボールをキープしたFW前田翔吾(3年)が右サイドからダイアゴナルにゴール前へ走りこんだMF大迫柊斗(3年)へスルーパスを通す。これでGKと1対1となった大迫が豪快に右足シュートを叩き込んで1点差とした。ディフェンスラインから大きな展開でダイナミックにボールを動かしていた鹿児島実の反撃の狼煙。鹿児島実は初戦の盛岡商高(岩手)戦で2点差を逆転し、3回戦の西武台高(埼玉1)戦でも終了間際に劇的な同点弾を決めているだけに、一気に勢いづくことが予想された。

 だが、増山が「九州新人大会で負けた相手。絶対に負けられなかった」と振り返る東福岡はその追撃ムードをあっさりと消し去る。30分、右サイドを深く切れ込んだ増山のクロスを木藤がダイレクトで合わせて3-1。鹿児島実にとっては痛すぎる1点となった。その後も攻撃の手を緩めない東福岡は注目MF増山を後半7分に交代させながらも、連動性のある攻撃から中村や赤木がシュート。前半からゴール前でPKと紙一重と言えるような厳しい守りで何とか追加点を阻止していた鹿児島実は再び追撃のチャンスを伺っていく。すると22分、MF井上黎生人(3年)が右サイドへ展開。ここからボールを動かし、右SB鮫島大(3年)がPAへスルーパスを入れると、走りこんだMF渡邊大地(2年)が右足でゴールを破り、再び1点差とした。

 今大会開幕前までは逆転勝ちがなかったというものの、今大会で諦めない“鹿実魂”が明らかに身についてきている鹿児島実。この2点目はチームを加速させるのに十分なゴールだった。ただ東福岡は強さだけでなく、逞しさも発揮する。失点からわずか3分後の25分、左SB末永巧(3年)が深く切れ込みラストパス。中央で中村が潰れてこぼれたボールを交代出場のMF永田大樹(3年)が左足で決めてまたも突き放した。これでも心が折れない鹿児島実は、相手に決定機をつくられながらも懸命に1点を狙い、32分には前田のポストから渡邊が決定的な左足シュートを放ったが、ゴールの右外へ外れて追撃ならず。気温39度の灼熱の攻防戦は東福岡が制した。

 中島に代わってゲームキャプテンを務めたCB小笠原佳祐(3年)が「(中島)賢星がいなくて負けるのは自分たちの中でも嫌だった。絶対に勝ってやろうと思っていた」と説明したが、東福岡はエース不在の中で逞しく白星を掴んだ。森重監督も「中島賢星というキャプテン不在になってでも、そういうゲームもこなしてきたし、賢星がいない中でのサッカーでも良さはあると思った。そういう中で前半の立ち上がりから結果を出せた、得点に繋げたというのは確かに逞しさを感じます」と目を細める。鹿児島実の意地の反撃をやや受けてしまったものの、それでも主力不在の中で手にした貴重な4強切符。優勝した97年以来、17年ぶりの4強入りを果たした“赤い彗星”が青森山田との準決勝も強く、逞しく勝利する

(取材・文 吉田太郎)
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