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[MOM1111]大津MF坂元大希(3年)_恩師を「泣かしたい」歴史変えるV弾!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.7 全国高校総体準決勝 大津高 1-0 前橋育英高 韮崎中央公園陸上競技場]

 得点ランキング単独2位へ浮上する今大会6得点目。MF坂元大希(3年)の決勝ゴールが九州屈指の名門校、大津高(熊本)を初のファイナルへと導いた。

 後半10分、左サイドからPAへ走りこんだ坂元は「自分の走ったところに出してくれる」と信頼を置く10番MF葛谷将平のスルーパスを引き出すと「体開いて巻いて入れるというシュートを練習とかしているので、形にはまったという感じです」と右足でゴール右隅へと流し込む。ゴールの余韻を楽しむかのようにゆっくりと走り出した坂元はチームメートたちの祝福に笑顔で応えていた。

「気持ち良かったです」と歴史を変えたゴールの瞬間を振り返った坂元。1点を争う緊迫したゲームで決めた決勝ゴールについて「こういうところで決めてチームを勝たせるというのは、自分とか前の選手の仕事。できて良かった」と喜んだ。今大会は6試合中5試合で得点を挙げ、チームの快進撃の立て役者のひとりとなっている。ただ宿舎では守備の貢献度の低さやハードワークの不足の面をチームメートたちから指摘されるということで「夜とかみんなに言われます。(得点を)取らないと居られなくなってしまう」。チームメートから及第点を勝ち取るため、納得させるためにはゴールを決めることが重要なだけに、決勝弾にホッとした表情を見せていた。

 この日は攻撃の両輪とも言える葛谷が右足甲の痛みを抱えながらのプレー。「(葛谷)将平は右で打ち難そうというのがある。将平が持ったら自分が追い越したり、楽にしたいと思っていたけど、走れなかったですね」と首を振る。それでもチームのために献身的に守備へ戻り、球際で戦い、また攻撃面ではスピードを落とさずにPAへ切れ込んでくるドリブル、クロスでチャンスメークした。そして決勝弾でチームに勝利をもたらした。

 仲間のため、恩師のために日本一を勝ち取りたいという思いがある。「自分としても日本一になりたいというのがあるんですけど、いつも声を出してくれるみんなとか練習に付き合ってくれるヤツらのためっていうのが一番大きいし、(平岡)監督が20年くらい日本一になりたいと目標にしてきて、自分も監督にお世話になっているので監督を日本一にしたいという気持ちが一番強いです」。平岡和徳監督からは「試合中イライラしないで、自分がやりたいことではなく、チームのためにやるとか、心の持ち方」を学んできた。メンタル面を上手くコントロールできるようになり、自身はゴール数では決して満足していないものの、全国舞台でゴールを連発し、決勝進出することができた。その感謝の意を込めてあと1勝を果たすこと。「日本一になった時に監督を見てみたいです。泣かしたいです」。決勝でも恩師のため、仲間のために、全力で走り、ゴールを決めて勝利に貢献する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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