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[総体]「絶対に負けたくない」熊本出身の東福岡MF赤木が決めた「魂」の同点弾

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[8.8 全国高校総体決勝 大津高 1-4(延長)東福岡高 中銀スタジアム]

 0-1で残り時間は5分を切っていた。追い込まれた東福岡高(福岡)の息を吹き返らせたは、左MF赤木翼(3年)の狙いすました一撃だった。後半33分、東福岡はMF近藤大貴が中央から左サイドへ展開すると、これを受けた赤木が「残り5分でパワープレーという形。ああいう状況になると、相手も気合入っていますし、身体をぶつけられて、触れないという状況も生まれるので、自分は枠内に蹴ってやろうと思って逆サイドのゴールネットへ狙って蹴った」と左足を振りぬく。

 そこまで好守を連発していた大津GK井野太貴はクロスを警戒しすぎたか、頭上目がけて飛んできたボールに一瞬反応が遅れてしまう。「蹴った瞬間、無回転でブレていたので、入ったなと思いました」という赤木のボールはGKが伸ばした指先を超え、そのままゴールの右サイドネットへ吸い込まれた。

 試合前、森重潤也監督から相手GKが前目のポジショニングを取ることを指摘されていた。そのため、全員が持っていたというゴール方向へのクロスボールの共通意識。クロスが流れて入ったように映った一撃は赤木が「あの状況はGK前に出ていたので裏を突いてやろうと思った。GKも出ていたんでいい感じで入ってくれた」と説明する、狙い通りの「ファインゴール」だった。

 赤木のゴールで蘇ったチームは延長戦を制して優勝。その瞬間、「幼稚園からサッカーやっているんですけど、小さいころから全国制覇という目標を持ってやってきたので全国制覇は嬉しいですね」という赤木の目からは涙が流れていた。熊本県出身の赤木にとって熊本の名門・大津との決勝には闘志を燃やす要素もあった。「絶対に負けたくないという気持ちがあって。その気持ちを持った中で魂の入ったゴール」。全国制覇、熊本勢には負けられないという強い思いも後押しした劇的な同点弾は、延長3発のきっかけとなる試合の流れも一変させたゴールだった。

(取材・文 吉田太郎)
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