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パトリック効果でバリエーションの増えたG大阪

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[8.9 J1第19節 大宮0-2G大阪 NACK]

 強いガンバ大阪には、必ず良い外国人FWがいた。9日の大宮アルディージャ戦を2-0で制し、5連勝で5位に浮上したチームにはFWパトリックがいる。

 G大阪と言えば、自陣からボールを保持し、細かなパスで相手を崩していくイメージが強い。しかし、この試合のG大阪は序盤から、シンプルにロングボールを大宮の最終ラインに蹴り込んだ。これを最前線のFWパトリックとFW宇佐美貴史が受けて、素早くゴールを目指す。守備ブロックを崩さない、人数と手数を掛けない攻めで、ボールを持って押し込んでくる大宮から好機をつくった。

 中盤の底でプレーするMF今野泰幸は、パトリックと宇佐美という2トップの相性の良さを口にする。「ガンバと対戦すると、相手は『つないでくる』という前提でプレスを掛けてくる。前半戦は、そんな相手にムキになってつないでいたけど、今はパトリックと(宇佐美)貴史のコンビネーションが良い。パトリックは常に裏を狙っているから出しやすいし、裏を狙うことでバイタルエリアが空いて、貴史が生きる。今はすごく配球しやすい」と、説明した。

 この日、2点目のゴールを挙げた宇佐美も同調する。「遅攻だけでは、相手に読まれます。ああいう速攻を混ぜて行くことで、次またゆっくり(の攻撃)が利くというか。今、上一発でボーンと蹴るのと、後ろからしっかりつないでいくのと、2つを使い分けしている。それは全部、ヤットさん(遠藤保仁)がコントロールしていると思いますけどね。ヤットさんも、相手ボールを無理やり自分たちのボールにしてくれるパトリックっていう選手がいるので、選択肢が増えたのかなと思います」。

 この試合の立ち上がり、ロングボールを意図的に蹴っていたことについて、遠藤は「一つ、今日の狙いだった」と明かし、「自在にゲームプランを変えていけるチームになるのが一番いいと思う。今日に関しては、多少、強引にでも裏をどんどん狙って行こうというのが、チームとしての狙いだったので。そこでミスをしても、何もチームにとってはマイナスにならないですし、チーム全体で意思統一ができていれば、積極的なプレーでミスしても問題ないと思うので。次もどういう戦い方をするかわかりませんが、できるだけ自分たちが主導権を握りながら、相手のウィークポイントを突けるように、一週間準備をしたいと思います」と、続けた。

チームの攻撃を掌握する遠藤は、5連勝での5位浮上にも冷静だ。「再開前は、トップと(勝ち点)14差があったのが、(首位の)鳥栖は今日試合をしていませんが、浦和とも7差くらいになったし、まだ手に届くところにいると思う。これから上位陣との対戦が多くなるので、そこでいかに勝ち切るかが大切になると思いますけど、まだ先がありますしね。今、5位になりましたけど、あまりトップを見ずに、まずは4位になるようにやっていけばいい。次も名古屋戦で、ケネディとかも帰ってきていますし、しっかりと課題を修正しながら、勝ちながらチームが成長していけるようにしたいと思います」と、一歩ずつを強調した。

 パトリックの加入、そして宇佐美のケガからの復帰によって、より対処しづらいチームとなったG大阪が、次節、チームの黄金期を築いた西野朗監督率いる名古屋に襲いかかる。

(取材・文 河合拓)
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